モザイクロール


ねぇ、もういっその事
殺してよ。言葉が突き
刺さる位なら。



「倉田先輩、また
来ますッ!」

『赤也、気を付けて帰る
んだよ』

「解ってるッス!」

「倉田…」

『何だい?蓮二』

「…1人で背負うな」

『解ってるよ』



赤也と蓮二が帰った後、
アタシは自分の中に
溜まった重い空気を吐き
出した。息が詰まって
いるようで息を吐き
出すのが辛い。



『…蓮二は見抜いている
かもしれないな』



昨日は見舞いに精市と
弦一郎が来て、一昨日に
ブン太、ジャッカル、
柳生。アイツは来ない、
来た事がない。アイツは
今頃、多分女の家か。
良い噂は聞かなかった
が、話が面白くて気も
合ったからアイツとは
よく話してた。ただ、
アイツは女遊びが酷い
らしく、女を取っ替え
引っ替えしてるらしい。
アタシへの思いやりが
欠けている分、他の女の
所の情事はしっかりして
そうな気がする。でも、
形だけのような気がして
ならないのはアタシの
願望だろうか。



『…仁王』



それでも、アタシは
アイツが好き…、とか。
アホみたいだ。愛されて
いるって訳じゃない
のに。しがみついて懇願
するような、そんな関係
でもない。これも、運命
か。



『他の女がいるなら
アタシ1人、いなく
なっても解らないよな』



ふと目についた果物
ナイフ。そっと手に
して、手首に当てた。
君に飽くぐらいなら、
この気持ちごと捨て
去ってしまいたい。
それでも良いから
アタシをこの世から消し
去ってくれ。



『…さようなら』



愛したって言えるの
だろうか。この気持ちを
縛って誰も触れない
ようにしまっていければ
良いんだ。そして、
いっその事殺して
しまおう。君が嫌う
アタシなんて、いる
意味がないから。



『…ゴメン、仁王』

「待つんじゃ!!」



何か聞こえた気がした。
……腕に痛みはない。
恐る恐る目を開けると
シーツが赤く濡れて
いた。果物ナイフを
見ると自分の手首を
傷つけないようにと
誰かの手が刃を掴んで
いた。



「…間に合ったナリ」



聞こえたのは、今聞き
たかった声。



『な…んで…』



何で君がここにいる
んだ。



「ずっとおったよ」

『…ハ?』



どういう事だ、それは。



「中に入れなかったん
じゃ」



君を汚してしまいそうで
怖くて、そう君は言った




「二度とこんな事せんで」

『…ゴメン』

「倉田、好きじゃ」

『ん、アタシも好きだ』



愛したって良いじゃない
か。しがみついたり、
もがいたりしたとして
も。これもアタシの運命
なんだ。例え、消えても
来世でまた愛してよ。





モザイクール

(消える消えるとある
愛世)




アトガキ
どんな状況だ。
ちなみに、ヒロイン
入院してます。企画
恋する王子様。」に
提出しました。









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