優しそうに見えるのは
見た目だけ


…不思議だ。何故、
気付かんのかね?
あんな、腹黒魔王。
そして、どこがいいんだ
あんな奴の。



「煩いよ、結。
犯すよ」

『…スミマセンデシタ』



柳の後ろに隠れながら、
一応謝っておく。
一応ね、一応。



『柳、あいつヤダ』

「諦めるんだな」



何で、あんな奴のどこが
いいんだよ。勝手に人を
マネージャーにする
ような、あんな奴の
どこに好きになれる
要素があるんだよ。今の
女子中学生はSっ気の
ある男子が好きなのか。
幸村の場合、Sっ気じゃ
なくて魔王って言うん
だぞ。目を覚ませ、
女子達。



「結、そんなに
犯されたいの?」

『…イヤデス』

「片言鬱陶しい」



…こいつ、ぶん殴って
やろうか。一々、
腹立つな。



「「幸村先パーイ!
頑張って下さーい!」」



……おぅ、あそこにも
幸村中毒者が。幸村の
方を見るとアタシには
滅多に見せない、あの
ニコニコ笑顔の仮面を
被っていた。もう、
ガチでこいつ怖くなって
きたんだけど。



「ありがとう。なるべく
静かにね」



ぅわー。うーわー…。



「流石、幸村じゃのう」

『…アタシ、ガチで
マネージャー止めたい』



部長がSで黒くてツンで
魔王なんだもん。誰か
代わってよ、切実に頼む
から。



「結」

『…何』

「マネージャー、すごく
助かってるよ」

『…さいですか』

「だから、これからも
よろしく」



……確信した。アタシは
もう、この腹黒魔王様
から逃げられない
のだと。あの黒い笑顔が
肯定している。





しそうに見えるのは
見た目だけ

(誰か、助けて)









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