牡丹を慕うは想恋歌


柳はいつも落ち着いて
いる。そして、頭も
良いし。何か、頭に
くるな。理不尽だけど。



『…でも、好きなんだよ
なぁ』



平凡のアタシが柳に敵う
筈がないのは、考えず
とも解っているのだが。
それでも、神様は不公平
だと言いたくなる。



「倉田」

『ん?何?』

「この本、借りたいの
だが」

『あ、ハイ』



そう、アタシはこの
時間、図書の係になって
いる。柳は、決まって
この時間に本を借りに
来る。



「俺の顔に何かついて
いるか?」

『え、あ、否、ゴメン』



つい、じっと見て
しまった。…顔も整って
いるから悪いんだ。



『…』

「…」

『…柳』

「何だ」

『…部活は行かなくて
いいの?』

「今日は休みだ」



あ、そうなのか。
珍しいな、休みなんて。



『帰らないの?』

「退屈だからな」

『柳でも退屈だって
思うんだね』

「それは、俺だって人間
だからな」



そうだよね、柳だって
人間だもんね。



「倉田」

『何?』

「この後、暇か?」

『え、あ、うん』

「少し付き合ってくれ
ないか」

『いいけど…』

「ならば、お前の仕事が
終るまで待つとしよう」



そう言って柳は椅子に
座って、さっき借りた
本を読み始めた。何
するんだろ。って、
その前に柳と一緒に
帰るって事だよね。
嬉しい。嬉しいんだ
けど、明日柳のファンの
子達に刺されないよね?





牡丹を慕うは恋歌

(想えば通じる?)









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