知ったかぶりの偽善者共


「幸村君てさ、花が好き
なの?」

「絵、上手だね」



その辺のミーハーな
女共は、俺の事をさも
全て知っていると言う
ような口を叩く。
お前等が、俺の何を
知っていると言うんだ。



「……ホント、反吐が
出る」

『神の子もグチるんだ』

「!」



人がいたのか。全然
気づかなかった。



「俺だって、人間
なんだよ」

『そうだね、ゴメン』



何だろう、今まで会った
女子とは違う。そんな
気がした。



『他人が自分の事を
どうして知ってるん
だろうね』

「!」



何で解ったんだろう。
俺の考えている事が。



『僕が幸村君について
知っているのは、
テニス部部長でここの
花を世話してるって事
だけかな』



基本的な事しか知らない
んだ。この子は。



『知ったかはいけない
よ、ミーハー諸君』

「……ありがとう」

『僕は何もしてないよ。
じゃ、またね』

「ねぇ」



俺は知らずに、彼女に
声をかけて呼び止めて
いた。



「名前、教えてよ」

『倉田結』

「倉田」

『何?』

「また、会える?」

『君が望めば、ね』



サラリとキザな台詞を
吐いて、倉田は屋上を
後にした。俺は、倉田
なら媚びたりしないと
思った。また、会いたい
と思った。





知ったかぶりの
善者共

(君なら、また会いたい)









第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -