初恋アフレイド


「あ、またいる」



テニスコートを悲し
そうな目で見つめて
いる、女子。何で、
そんな目でテニスを
見てるんだ。



「…何で」

「あんな目してんだ、と
お前は言う」

「柳先輩」

「アイツ、倉田がどうか
したか?」

「あの人、いつも悲し
そうにコート見てるん
スよ」

「…まぁ、色々あった
からな」



色々って…。一体、
何があったんだろう。
それからも、倉田
さんはコートを見に来て
いた。時々、口の端が
切れて赤い色が滲んで
いたりもした。理由は、
俺には解らない。



数日経ったある日。



「幸村部長、何か音
しません?」

「え?」



耳を澄ますと聞こえる、
ガッとかドッていう音。



「…また、始まったかな」

「え?」

「柳、行こうか。赤也も
来るかい?」

「ッス」



よく解らなかったが
付いていくことにした。
向かったのはテニス部
部室の裏。そこにいた
のは。



「…倉田さん」

『…君は?』

「テニス部の2年エース
だよ」

『あぁ、君が切原君か』

「倉田、止めなよ」

『…もう止めた、幸村』



倉田さんの足元には
折れたラケットと1人の
男。よく見ると、倉田
さんは血だらけで腕
からはおびただしい量の
血が流れていた。



『僕といると、ケンカに
なってしまうんだ。
目付きが悪いから』

「そんな…」



倉田さんは、また
泣きそうな笑顔だ。



『君も、僕に近づかない
方がいい。幸村や柳とは
違うだろ?』

「…そんなの関係ない
ッス」

「赤也、まさか惚れたの
かい?」

「みたいッス」

「血塗れの女をか」

『…物好きもいたもんだ』



倉田さんは照れた
ように苦笑した。





アフレイド

(怖い出会いでも関係
ない)









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