粉雪が舞う空の下


『観月、寒くない?』

「いえ、普通ですよ」



何だ、この人は。今日、
一番の冷え込みって
言ってたじゃん。天気
予報のお姉さんが。



「寒いんですか?倉田
さん」

『寒い』



ハァ、なんて溜め息
吐かないでくれるかな。
寒いものは寒いんです、
しょうがないでしょ。



「しょうがないですね。
少し待っていて下さい」

『ハーイ』



アタシは子供か!否、
子供だな。



『…寒ッ』

「何回言えば気が済むん
ですか、貴女は」



何時の間に戻ってた
んだろ?



「どうぞ」



そう言って、アタシに
ブランケットを掛けて
くれた。


「これでもう、寒くない
でしょう?」

『…うん』

「あと、ミルクティー
淹れましたから。蜂蜜も
入ってますよ」



好きでしょう?なんて。
アタシの好みを知って
いるとは…。流石、
観月。



『…ありがとう』

「珍しいですね。倉田
さんがお礼を言うなんて」

『…失礼な。あ』

「どうかしました?」

『粉雪』

「本当ですね」



窓を開けて空を見た。
季節的にはもうそろそろ
春だ。だが、空からは
小さな綿のような雪が
ハラハラと降っている。



『…綺麗』

「そうですね。しかし、
ただでさえ寒がりの
貴女がこの格好のまま
窓を開けることに僕は
驚きです」



さようですか。長々と
説明ありがとうござい
ます。



『ミルクティーあるもん』

「…羽織って下さい」



寄越されたのは先程の
ブランケット。



『ありがとう』





ハラハラと降る粉

(紅茶の中へと吸い
込まれ溶ける)




†アトガキ†
今日、季節外れの雪が
降っていたので慌てて
書き上げたもの。自分
でもビックリ。









「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -