嘘をつくのが下手っぴね


嘘。人を幸せにする嘘。
人を不幸にする嘘。
吐いて良いのと悪いの。
アタシが吐く嘘は
良かったり悪かったり。
まぁ、てんでバラバラ。



「あ、倉田。おはよう」

『おはよ、木更津』



隣の席の木更津も嘘を
吐く。でもアタシと
違って、そのほとんどの
嘘が人を助ける嘘。
だから、見抜きやすい。
つまり、嘘が下手。



「倉田、これ教室まで
運んでくれないか?」

『いいですよ』



嘘。本当はめんど
くさくてやりたくない。
それでも、笑顔で快く
受けるのはあとあと
めんどくさくなるのを
避けるため。クセに
なって、それが身体に
染み付いている。



『…直そう』



本当にそう思った、
その時。



「木更津君、好きです」

『!』



…先生、何でこういう
タイミングの悪い時に
呼ぶかな。絶賛告白中
じゃん。



「ゴメン、俺好きな人
いるから」



嘘だ。女の子泣かせない
ための嘘だ。だって、
そんな話聞いたことない




「…誰なの」



いるとすればそこは気に
なるカモ。



「ん〜、スゴく鈍くて
いつも一緒にいるのに
全然気付いてくれない
けど、皆にスゴく
優しくて笑顔が可愛い
んだ」



…何だ、そのリアルに
いないだろって言う
理想の女子像。これ
ばっかりはバレるだろ。



「…そうなんだ。
気付いて貰えるといいね」

「うん」



あの子、笑ってたな。
そこは、木更津のスゴい
所だよね。



「盗み聞きなんて趣味
悪いよ」

『…好きでいたんじゃ
ない』

「わかってるよ」

『嘘、わかってないよ』

「わかってないのは
倉田だよ」

『ハ?』

「あんな解りやすい嘘
吐いたっていうのにさ。
やっぱ、鈍いね」



どういう意味だよ、
それ。



「それに対して顔は正直
なんだから可愛いよね。
倉田、泣きそうだよ?」



嘘だ、嘘だ嘘だ


「俺の好きな人って
倉田だよ」

『嘘…』

「ホント」






を吐くのが下手っぴね

(下手じゃなくて)
(正直なんだよ)









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