星達は唄うのです


俺の隣の席の倉田は、
少し不思議な女の子だ。
不思議というより、
ミステリアスと言った
方がしっくりくるかな。



「あれ、観月さん。
倉田さんどこに
行ったんですか?」

「また、いなくなったん
ですか。全く…」



そう、倉田は
テニス部のマネージャー
なのだ。よくどこかに
いなくなるけど、仕事は
きっちりやってある。
今日は、部活が終っても
倉田が戻ってくる
ことはなかった。



「いい加減、帰ってくる
と言う考えはないんです
かね!」

「仕方ないだーね、倉田
だからだーね」



それでも女の子ですよ!
なんて、ヒステリックに
騒ぐ観月に少し同情した。



「観月」

「何です?」

「俺、ちょっと探して
くる」

「では、淳くん頼み
ましたよ」



何となく、倉田の
行きそうな所の目星は
ついている。この時間
まで戻らない時は
いつもの岡の上で星を
見ていると思う。



「…ほらね」

『木更津、何してんの』

「倉田を探しに来たん
だよ」

『アタシを?』

「観月が心配してたよ」

『観月が?』



心底驚いたような顔を
見せる倉田。



「倉田はここで何
してたの?」

『歌を聞いてたの』

「歌?」

『そう、星達の歌』



やっぱり、倉田は
不思議だ。



『ほら、星がキラキラ
光ってるでしょ。それが
歌ってるように見え
ない?』



確かに、そんな風に
見えないこともない。



「倉田、帰ろうか」

『うん』



俺達もあの星達みたいに
なれるだろうか。
みんなで寄り添って歌う
のだろうか。でも、まぁ
そういうのも悪くないか。




星達はうのです

(君と一緒に)




「倉田さん!何時だと
思ってるんですか!」

『ゴメンね、観月』



案の定、観月に怒られて
いた。反省はしてない
みたいだけど。









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