1度きりのシャッター
チャンス


「倉田いる?」

『ん?あ、不二』

「この間の写真
できてる?」

『できてるぞ』



倉田は、写真部の
部長であり、校内新聞の
写真担当者だ。この間、
撮影したテニス部の
写真を見せてもらいに
来たんだ。



『このおチビ君、
楽しそうにテニス
してたな』

「越前か。うん、彼は
テニス大好きだから」

『あと、絶対負けず嫌い
だろ』

「その通りだよ」



珍しいことに彼女、
倉田はテニス部の
ことをよく知らない。



「あ、英二だ」

『あぁ、菊丸か。放課は
楽しいのに授業は退屈で
眠いのか。ほら』



見せられたのは英二の
寝顔。



「クスッ、英二らしいね」

『だよな』



倉田は本当に写真が
好きなんだ。楽しそうな
表情、…今かな。



カシャッ



『…?』

「ん、撮れた」

『何をだ?』

「窓の外の鳥」

『それも現像するか?』

「これは、自分でする」



そうか。そういう彼女は
解ってないんだ。君が、
どんな表情をしている
か。見せたら驚くかな。




度きりのシャッター
チャンス

(それとも怒るかな)









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