私のいた時間よりも私のいない時間を愛してください | ナノ

 ※素人の知識で縫い合わせたものなので注意。


Requiem æternam dona eis, Domine,et lux perpetua luceat eis.
(主よ、永遠の安息を彼らに与え、絶えざる光でお照らしください。)
Te decet hymnus, Deus, in Sion,et tibi reddetur votum in Jerusalem.
(神よ、シオンではあなたに賛歌が捧げられ、エルサレムでは誓いが果たされます。)
Exaudi orationem meam,ad te omnis caro veniet.
(私の祈りをお聞き届けください すべての肉体はあなたの元に返ることでしょう。)
Requiem æternam dona eis, Domine,et lux perpetua luceat eis.
(主よ、永遠の安息を彼らに与え、絶えざる光でお照らしください。)


 気が付けば頭の中にピアノの音が響いていた。身体のあちこちが酷く痛むけど、その綺麗な音と酷く鼻につく薬品の臭いだけははっきりと知覚していた。
 鼻と口に被せる様に付けられている人工呼吸器の所為で、変に巧く呼吸が出来すぎていてしんどいし、体中が痛過ぎて目蓋を抉じ開けることさえ出来ない。いくら綺麗だといっても、すぐ近くで弾かれているピアノの旋律は頭に響いて痛かった。


Kyrie eleison.
(主よ、あわれみたまえ。)
Christe eleison.
(キリストよ、あわれみたまえ。)
Kyrie eleison.
(主よ、あわれみたまえ。)

 次に目が覚めたときにもピアノは弾かれ続けていたので、暫く眠っていた事に気が付かなかった。だんだんと体中の痛みに慣れてくると目を閉じ続ける事の方が辛くなった。鈍痛に耐えながら、ゆっくりと目蓋を開くとぼんやりと見慣れた白髪が見えた。いつかピアノを弾いてくれるという約束を覚えてくれていたのだろうか。こんな形で弾かれるピアノに、あまり感謝はしたくないが約束を守ってくれたことに感謝しよう。


Confutatis maledictis,flammis acribus addictis,voca me cum benedictis.
(呪われた者たちが退けられ激しい炎に飲みこまれる時、祝福された者たちとともに私をお呼びください。)
Oro supplex et acclinis,cor contritum quasi cinis:
(私は灰のように砕かれた心で、ひざまずき、ひれ伏して懇願します。)
gere curam mei finis.
(終末の時をおはからいください。)

 ソウルは何時間ピアノを引き続けているのだろうか。入祭唱は終わった。キリエも、続唱も終わった。続唱が呪われた者だったことからすると、それは私が魔女なことに当てているのだろう。先の戦いで交戦した相手なのだから知ってしまっていて当然なのだが、嫌味ったらしい。どうやら最後まで皮肉を忘れずにつけたいらしい。

 きっとソウルが全て弾き終えた時に、私は彼に彼がデスサイズとなるための糧として魂を食べられるのだろう。恋した相手の夢の為の糧になれるなんてこれ以上の至福は無いが、欲を言えば私は殆ど虫の息だがまだ生きているのだから、鎮魂歌は貴方の中で聞きたかった。


葬送曲

何処