私のいた時間よりも私のいない時間を愛してください | ナノ
同じクラスに居る三人の野球部員。そのうちの1人に私は恋をしていたりする。ポジションはピッチャーで、名前は三橋廉君。 話すとどもってしまうし、自信がないのか、ネガティブにものを考えがちな子である。そんな性格なのによくピッチャーなんてやっていられるなあ、と感心してしまう。でも、それほど野球が好きなんだろうな。 そういう風に一生懸命頑張っている君にいつの間にか私は惹かれていたみたいだ。
「あ、のっ!」 「ん、なに?」
ぼうっと、そんなことを考えていると、御本人様から声を掛けられた。振り返ると、両手でプリントの山を抱えている三橋君が視界に入った。
「プリン、ト!」 「私の?ありがとう。」 「どっ、どういたしまし、て!」
お礼を言ったからなのか、三橋君の顔が物凄く緩んだ(可愛いなあ)。 三橋君からプリントを受け取ってから、もう一度彼をよく見ると抱えている山は重そうだ。腕が震えている。
「私、半分持とうか?」 「いいっ、よ!」 「でも阿部に怒られるよね。」 「う‥っ、」 「‥じゃあ、3分の1持たせてよ。そしたら、三橋君もそこまで重くないし、私も軽くて一石二鳥でしょ?」 「う、うん!」
目分量で上から取ったプリントを抱えて、三橋君と並んで廊下を歩く(流石に野球部なだけあって鍛えられた体してるなあ)。 話し掛けられることも、話すこともなく無言で歩き続けていると、横から「うー」「あー」などの声が零れだした。‥‥もしかして、話し掛けようとしてくれているのだろうか。
「あのさ、」 「! な、なに?」 「(タイミング悪かったかな)今度の日曜、試合だよね?」 「う、うん!そう、だ、よ!」 「見に行ってもいい?」 「きっ、来てくれる、の!?」 「うん!三橋君、頑張ってね。」 「お、オレ、頑張る、よ!」
ちゃんと聞いてね、 (下準備完了。後は告白するだけ)
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