私のいた時間よりも私のいない時間を愛してください | ナノ

 好きな女の子がおるんは年頃の男子として普通なことやと思う。っていうか、それが普通じゃなかったらどうやって青春せえっちゅーねん。
 せやから俺にも好きな女の子がおる。ほかの女の子にはせえへんスカート捲りとか、背後から寄って行って胸揉んだりとか、セクハラとか仕掛けたりするくらいとびきり可愛え女の子や。出雲ちゃんほどじゃないですけどちょっとツンデレなところも可愛えし、デレた時なんて最高やんなあ!‥っと、話が逸れた。まあその子にこの間告白して晴れて恋人になったんや。
 「恋人」っちゅー枠組みに入ったんですからまあ、色々としたいわけで(年頃やし)。でも彼女を大切にしたいって気持ちのが大きいから、変な気持にならんように今までしてたスカート捲りとか、背後から寄って行って胸揉んだりとか、セクハラとか仕掛けたりするんを一切合切止めて手を繋ぐことさえせんようにしてる(これは偉業ですえ)。

「‥え?」

 それやのに男子寮の部屋に戻るとなぜか彼女がおった。しかも俺のベッドの上。正座を左右に崩したような、所謂女の子座りというやつで座っている。ああああ、下着見えてまいそうっていうか太ももめっちゃ白いやんなあ‥‥‥じゃなくて、なんか睨んできとる目が潤んどる。Why?

「志摩の、ばか。」
「ええ?」
「志摩のばか!」
「ちょお待ってや。どういうことなん、これ。」

 尋ねると彼女は爆発したような音を立てて顔を真っ赤にさせて(めっちゃ可愛え)、近くにあった俺の枕を引っ掴んで抱きしめると、赤い顔を隠すようにそれに顔をうずめた。ああああ、彼女の匂いが!俺の枕に!!今晩ちゃんと寝れるやろか。

「志摩が好きだから、付き合ってる、のに。」
「え?‥あぁ、おん。」
「付き合いだしてから、せ、セクハラとかもして来ないし、手だって繋いでくれないし、」
「‥‥‥。」
「‥私、志摩が予想してた以上に色気とか、魅力、なかった‥?」

 埋めていた枕から少しだけ顔をあげてちらりと此方をうかがってきた彼女は泣いてはった。あかん、不謹慎やけどめっちゃ、ほんまに可愛え。
 教科書が詰め込まれているカバンをそこら辺に放り投げて彼女に覆いかぶさると、ベッドが軋んだ音を立てた。相部屋の人、堪忍な。可愛すぎる俺の彼女が悪いんです。

「愛想尽かすわけないですやろ。好きやから大切にしたい思てたんに‥‥もう、知りませんえ。」

 何か喋ろうとしてうっすらと開けた口を塞ぐように、ふっくらとして柔らかそうな彼女の唇にかぷりと噛みついた。




えっと、不法侵入犯罪です。
(オオカミに食べられてまうからしたらあかんで?)


20110801
企画サイト変態で愛します。様に提出。