私のいた時間よりも私のいない時間を愛してください | ナノ
「打ち止め、私は覚悟を決めたよ。」 そういうと打ち止めは一瞬、面食らったような顔をしたがすぐに「わかった、ミサカも応援するから頑張って!ってミサカはミサカは応援アピールのために拳を握ってみたり」と返してくれた。
とある日曜日の正午頃。一方通行と打ち止めと私の3人は愛穂ちゃんのマンションから少し離れたところまでお散歩に出ていた。そして今は少し日が傾いて2時半。帰路についているところだった。 「ったく、なンで散歩なンかに付き合わなきゃいけないンですかァ。」 「アナタもたまには体を動かすべき!ってミサカはミサカは一方通行の健康を気遣ってみる。」 「余計な御世話だ。」 「まあまあ一方通行。好意はきちんと受け止めてあげないと。」 打ち止めを真ん中にして並んで歩いていると、前から見慣れた車が走ってくるのとその車の窓から愛穂ちゃんがこちらに手を振っている様子が見えた。近くに行くと愛穂ちゃんは窓から身を乗り出して(運転席の桔梗ちゃんに怒られてた)、 「今から桔梗と一緒に服買いに行くけど一緒に行くじゃんよ?」 「行く行くー!ってミサカはミサカは手を挙げてみたり。」 「私も行く!」 一方通行は「勝手に行ってろ」と面倒くさそうに言うと一人でマンションまで戻ろうと足を踏み出した。すると打ち止めが激しく振り返り、一方通行の腰を掴んだ。 「アナタは名前と一緒に帰るのってミサカはミサカは訴えてみたり!」 「あァ?買い物に行くンだろォが。」 「名前は財布を取りに戻らないといけないの。何故なら財布の中には割引券が入っているからってミサカはミサカは伝えてみる。」 「なんで打ち止めが私の財布の中知ってるの。」 わいわいと道の端でどうするかしゃべった結果、愛穂ちゃんと桔梗ちゃんは打ち止めを連れて夕飯の買い物してからマンションの前まで迎えに来るから、私と一方通行で先にマンションに戻ることになった。別れ際に打ち止めが「頑張るんだよ、エレベーターとか好都合かもってミサカはミサカは結果を聞くのが楽しみな感じで言ってみたり」と耳打ちされた。ありがとう打ち止め。私頑張る!
「エレベーター点検中‥?」 エレベーターホールの前には、黄色いヘルメットを着けて頭を下げた作業員のイラストが入った立て看板が立てられていた。 「階段だな。」 「ええええ‥‥。不幸だ‥‥。」 どこぞの不幸少年のセリフを借りながら階段に向かう。結構上の階だからしんどいぞ‥‥。なんで愛帆ちゃん上の階にしたんだろう。いや、景色はいいから文句はないけどね!楽しく上れる方法ってないのかなあ‥‥あ。 「ねえ一方通行。」 「あァ?」 「喋りながらしりとりしようよ!で、喋った文字だけ階段を上がるの。」 「面倒臭せェ。」 「いいからいいから!」 じゃんけんをして先攻を決める。グーとチョキで先攻は私になった。 「えーと‥‥。か、い、だ、ん、の、ぼ、る、の、し、ん、ど、い、ね!」 「寝てばっかのオマエには丁度いい運動だろ。」 「ロデオ、に、乗ったり、してるから、運動、して、る、よ!」 「よく言うぜ。その分食べてんだろォが。」 「学校でも運動してるから大丈夫なの!」 どうやってしりとりを自然に続かせるか悩む私に対して、一方通行はすらすらと答えていく。難しそうなのだしてるんだけどなあ。ここはさすが第一位と思うべきなのかな。 そうして続けていると、あっという間に愛穂ちゃんの部屋の階の扉が見えた。 「結構早く着いたね!この方法中々いいかもしれない。」 「いいよォに解釈する頭だな。」 「なんだと!」 階段だからか声が反響して一方通行は顔をしかめた。 「どォでもいいがそのデカい声はやめてくださァい。」 「いえっさー。あのさ、聞いて欲しいことがあるんだけど、いいかな。」 「なンですかァ?」 面倒臭げに一方通行が階段を上る。ちなみに今、私の方が一方通行よりも上に立っている。あと8段で私は階段を上りきる。 「ア、ク、セ、ラ、レ、ー、タ、が、」 とっとっと、と上りきる。下にいる一方通行を見やると、顔に面倒臭せェと書いてあった。打ち止め、エレベーターじゃなくてよかったかも。だって、あんな狭いところに2人きりで、しかも返事を待つなんて、私には無理。耐えられないよ。 赤い顔の私は走って逃げるための助走の分の言葉を吐き出した。
「好き!」
ラン アンド エスケープ! (うわあああ、凄い速さで追っかけてくる!)(言い逃げなンざ許されると思うなよ?)
20110407
|