私のいた時間よりも私のいない時間を愛してください | ナノ

 隣で小さな手が揺れた。何かと思ってみてみると、打ち止めが私の手を握ってふんわりと笑っていた。つられて笑うと「あなたの手をさりげなく握ってみたり!ってミサカはミサカはあなたの隣を独占してみたり」なんて可愛らしい言葉が紡がれた。打ち止めは本当に可愛いなあ、なんて思っていると打ち止めとは反対側にいる一方通行に向かって打ち止めが話しかけた。
「あなたは握らないの?ってミサカはミサカは尋ねてみたり。」「面倒臭せェ。」「名前はすごく喜ぶよ!ってミサカはミサカは熱く言ってみる。」「だいたいどォやって握るンだよ。」
 杖をついていないほうの手を揺らすと、夕飯の食材が入ったスーパーのビニール袋が乾いた音をたてた。ちなみに、同じものが私の手にも一つぶら下がっている。一方通行とは反対側にいる打ち止めに向かってにっこりと笑いかけながら「私はいいんだよ、打ち止め。こうして一方通行の隣を歩いているだけで満足だよ。」と言うと「名前は強がりだねってミサカはミサカは呆れながら言ってみたり。」と返された。あらら、打ち止めにはお見通しですか。でもこうして一方通行と打ち止めに挟まれてて結構幸せなんだけどなあ。