2024/03/31(Sun) ▼Blog
:今日、大好きなグループがなくなります。




 西暦2024年3月31日。
 私の人生の最推し「SexyZone」が、その歴史に幕を下ろします。
 正確には12年間グループを引っぱってきたエースの中島健人君の脱退、そしてグループ名の改名を経て3人の活動は続きますが、私個人としては「SexyZoneは終わる」と考えています。自分の気持ちを整理する意味でも今の思いを綴っておきたいと考え、ここに記すこととしました。



:不安に揺らいだ2023年秋

 今回のことを思い返すには避けては通れない問題があります。昨年春頃から取り立たされている所属事務所の創業者による性加害問題です。

 まず最初に、本件は当事者が死亡しており、事実の証明が困難なことから「性加害が事実であれば当然罪に問われるべきであり、虚偽であれば被害を訴える人やそれを取り上げるマスコミが推定有罪を提唱して個人的に罰するという法治国家にあるまじき悪行」というのが、私個人の考えです。被害者一方の証言しか得られない現状では、悪魔の証明にしかなりません。存命の元スタッフ(現在は退社済)にも性加害の事実があったと調査報告書にありますが、そちらは当事者同士のご意向に沿って法律で決着をつけるべきだと考えています。マスコミや関係のない部外者が憶測だけでやんややんや騒ぎ立てて当事者たちが思い詰めてしまう構図は、もううんざりです。

 所属事務所は現在、法的に有罪判決が出ていない事案に対して推定有罪を受け入れ、被害を訴える方々と対話し、賠償金の支払いに従事している状態です。残念ながら明らかに虚偽と思われる内容で補償窓口を利用している人も一部いらっしゃるとか。そういった人に時間を割くことによって、本来の補償が遅れてしまう。残念でなりません。本当に一生の心の傷を負ってしまった人には、一日でも早くきちんと補償が行き届いてほしいと思っています。

 一方、この問題は創業者のみならず、現在所属しているタレントにも大きな影響を及ぼしました。

・事務所名の変更
・創業者を想起させるグループ名の改名
・創業者の名前が歌詞に入った曲の封印
・創業者の名前禁句
・CM、広告の撤退
・出演番組の終了、降板
・スポンサー側から別事務所への移籍を促す圧力
・タレント自身が性被害を受けたかどうかの発言を強要するマスコミ、SNSによるセカンドレイプ
・当事者意識の欠如を指摘する度を超えた誹謗中傷

 思い出せるものを書き連ねましたが、もっとあったような気もします。ファンとしては、とにかく苦しかった記憶しかありません。創業者と所属タレントは同罪だと宣う一部の人からしこたま叩かれ続けました。彼らを擁護しようとするファンは信者と呼ばれ、宗教扱いです。それでいてすでに移籍したタレントや事務所を移った責任者は無罪放免なのだそうです。変なの。

 そんな中で、私が応援してきたSexyZoneも「グループ名を改名する」という大きな決断を下しました。


:グループ名の改名

 タレント、社員、ファンが不安に揺れていた2023年10月5日。ファンクラブからメールが届きました。事務所が2回目の記者会見をした3日後の出来事でした。
 スポンサーから移籍の提言があったり、独立報道が相次いだり、「エージェント契約」という新たな方針の発表など、心が落ち着かない日々を過ごしていた中で届いた「SexyZoneよりファンクラブ会員の皆さまへ」というタイトルのメッセージ動画。色々な可能性が頭を過りました。最悪の結末も想像しました。何が起きてもおかしくないタイミングでしたから。

 そこでメンバーから告げられたのは「グループ名の改名」という報告でした。

 今回の性加害問題以前に、SexyZoneというトンチキでちょっと卑猥なネーミングの影響で、海外のお仕事が飛んでしまうことがあったと。言葉狩りされた「J」はないものの、これを機に新たなグループ名と共に歩んでいきたいという内容でした。

 その時に思った率直な感想を書きます。

「改名? いいよ、全然オッケー! これからもグループ活動を続けるための選択だもんね!? 寂しいけどメンバーがずっと一緒にいてくれるならかまへんかまへん! 新しいグループ名楽しみだね!!!!!」

 ほとんどの箱推しファンが、同じような気持ちだったのではないでしょうか。
 タレントの独立や脱退報道が続く中で、グループを存続させるための決断をしてくれたと私は解釈しました。名前は代わってもこれからもSexyZoneは続くし、12年間セクシーの名の下に生きてきた彼らのアイデンティティは失われることはないと信じていました。

 だから、希望しかなかった。希望だけを抱いて次のステージへ進もうと思った。全員が寂しさをわくわくに変えて、同じ一歩を踏み出せる。そう信じてやまなかったから、これからも彼らを応援し続けようと迷いなく思えたのです。

 まさかこの時からタレントとファンの見ている未来に食い違いがあったなんて、今も信じたくありません。


:違う世界を見ていたアフタークリスマス

 改名発表から約2カ月半後の12月26日、アフタークリスマス。私は東京ドームに来ていました。
 その日はSexyZone名義でのファイナルツアー千秋楽。グループ名にお別れを告げるための大切なライブ。今回のドームツアーのタイトルは「ChapterU」。最年少のマリウスくんが卒業して四人体制になって迎えたChapterU。そしてグループ名を変えて次のChapterVへ行くための時間。
 たくさんの感謝を直接伝えて、新しい未来へ進みたい。今までにないくらい何度も「SexyZone!」と叫びました。

 メンバー、スタッフさん、ファン。それぞれがそれぞれのお別れを噛み締めたドームライブ。いつもは泣かない最年長が最後の挨拶で涙ぐんで言葉に詰まったので、思わず嗚咽が漏れました。

「SexyZone」という嘘みたいな名前を多感な十代で背負って、ずっと先頭を突っ走ってくれた中島健人君。下ネタ弄りされる名前を愛し、「セクシー=いやらしい」というイメージを払拭するために努力してきた、愛情深い人。グループの顔であり、心臓であり、走り続けるための足だった。
「SexyZoneという名前が好きだった」と涙ながらに語る姿が忘れられません。それでも中央に集まって肩を抱き合って「Stay Together」と最後に歌った彼らを見たら、名前が変わろうと、この先どんな困難が待っていようと、このメンバーならきっと大丈夫だと思えたんです。「SexyZone」は永遠なんだと。

 あの涙の本当の意味を知ったのは、それから二週間も経たない夜の出来事でした。
 私たちファンが永遠を夢見たあのドームで、彼らは違う景色を見ていたんです。


:地獄の年明け

 2024年1月8日。連休最終日の夜に激震が走りました。

「4月1日のグループ名改名をもって中島健人がSexyZoneから卒業。以後、ソロ活動へ」

 誰も予期していなかった未来が突然隕石のように降ってきました。
 先にも語りましたが、中島健人くんはグループの顔であり、心臓であり、足。地球が逆回転するよりありえないと思っていた、エースの卒業。
 頭が真っ白のままファンクラブ動画を見ました。

「ソロ活動は去年の夏頃から検討し始めた」
 
「メンバーとも何度も話し合いを重ねた」
 
「その中で導き出した一歩進んだ革新的な答えが、グループからの卒業」


 彼らの口から語られる事実を聞いても、何も頭に入ってこない。まるで知らない人たちのように感じました。どの言葉も納得ができず、「どうして?」という感情しか湧いてこない。

 というのも、私たちはあのアフタークリスマスでSexyZoneに永遠を夢見てしまっていたのです。なのにSexyZoneはすでにエースの卒業を胸に秘め「本当の終わり」を見ていました。このすれ違いが、今なおしこりになって胸を軋ませます。

 あの人たちは、最後の最後に優しくて惨い嘘を吐きました。

「永遠なんてものはないのかもしれない。いや、永遠なんてきっとないんです。でも、だからこそ、永遠を信じられるような僕たちでいたい」

 ライブで語られたこの言葉の真意に気づいた時には、もう全てが手遅れでした。

 約束なんかしてないないのに、勝手に期待して、勝手に夢を見て、勝手に裏切られた気持ちになって、勝手に悲しんで、勝手に憎らしくなって。どこまでも身勝手な自分が本当に嫌だった。

 結局ファンは、推しの顔と名前と生年月日と血液型しか知らない。彼らの本当の気持ちはわからないし、永遠なんてものは存在しない。だから推しの決断を責めるのは見当違いだと頭ではわかっているのに、どうしても心が納得してくれない。

 どうしてグループを選んでくれなかったんだろう。
 どうしてメンバーは止めてくれなかったんだろう。

 答えの出ない押し問答をぐるぐる繰り返して、創作どころではなくなってしまいました。何せ私の創作活動は彼らと彼らの音楽によって支えられてきた部分が多くありましたから。あの時のカクヨム近況ノートの乱心っぷりは、今読み返すとちょっとヤバイですね……。


:向き合うための3ヶ月

 どれだけファンがごねようと、決まってしまったことは覆りません。それに終わりを迎える日はもう決まっています。2024年3月31日。私たちに残された時間は3ヶ月もありませんでした。

 推しの決断を受け入れて背中を押す人。受け入れられず悲嘆に暮れる人。愛情が憎しみに変わってアンチに転向する人。色んなファンが入り乱れた地獄絵図の完成です。ここぞとばかりに信憑性の薄い熱愛報道を週刊誌からぶち込まれて更に大炎上。ファンの分裂は続きました。

 今回の件で最もダメージを被ったのは、間違いなくグループ箱推し中島健人担です。私もその中の一人でした。
 グループでいる時の中島君と、中島君がいるグループが好きだった。その両方を一度に喪失することになり、当然、簡単には受け入れられません。


 グループに所属しながらソロ活動をすることはできなかったのか。

 グループを抜けなければ手が届かないソロ仕事とは一体何なのか。

 独立するならまだしも、同じ事務所に所属してかつソロでアイドル活動も続けると言っているのになぜグループから卒業する必要があるのか。

 中島君が海外志向であることはわかっていたから、今回の改名はその意向に沿うためのものだと思っていたのに。

 10年かけてやっとドームライブも成功させて、CDも売れるようになって、いよいよここからってタイミングで、どうして。

 もっとグループ仕事があれば、もっとCDの売上があれば、ファンがもっと盛り上げられていれば、別の未来があったのか。


 困惑と、疑念と、不安と、後悔と。色々な感情に押し潰された3か月間でした。

 この3か月間、涙が止まらないほどの不安に反して、グループ活動の供給はほとんどなし。もともと個人活動がメインのグループではあったけど、最後くらいもっと、一緒にいる姿を見せてくれるものだと思っていました。マリウス君が卒業した時の雰囲気とどうしても比べてしまう自分も嫌でした。別れを惜しんでいるのはファンだけで、中島君以外の三人は彼を簡単に手放して、本人はとっくに未来に向かって歩き出している。そう思えて仕方がなかった。気持ちがついていけず、置いて行かれたような気分になって、寂しくて。勝手にズンドコ進むなよ、って。

 そんな時、中島君のシンメである菊池君がラジオで脱退について語ってくれました。

「友だちだったら止めてた。でも、シンメだから止めなかった」

 シンメとは線対称。センターを挟んだ双璧。常に反対側にいるけど、折った時にピタリと重なる。つまり2人は同じ存在。だから彼の決断を聞いた時、即座に応援しようと決めた。否定する感情なんて微塵も湧かなかった、と。

 友だち、ライバル、兄弟、相棒。二人組を表すあらゆる言葉がある中で菊池君から「シンメ」を出されたら、私たちはもう何も言えない。納得するしかなかった。いや違う、ようやく納得できたんです。

 メンバーの幸せのためなら繋いでいた手を放すことができる。思えば、SexyZoneはそういうグループでした。
「うちはセンシティブ(繊細)なメンバーが多い」と中島君が語っていたように、感情や願い、未来とか、そういう直接目に見えない何かに敏感な人たちの集まりです。松島聡君がパニック障害でお休みしていた時も「戻ってきてほしい」と言葉にできず、5人が揃う日が来るのをひたすらに祈り続けていました。なのに「もし"戻らない"って選択が聡ちゃんの幸せに繋がるなら、それでもいい。聡ちゃんの幸せが何より大切」と言葉にするような人たちでした。

 悲しんでいるファンに背中を向けてでもメンバーの幸せを優先してしまうのが、SexyZoneという不器用さんたちのグループ。そのことをようやく思い出して、やっと気持ちの整理がつきました。

「5人全員の、SexyZoneからの卒業」

 佐藤勝利君の言葉です。
 飛び立った2人、残された3人に別れるのではなく、5人全員がいっせいにSexyZoneというグループから飛び立つ。だから4月以降も新しい名前で走り続けるし、不安になっている時間はない。楽しいことがたくさん待っていて、すごくわくわくしている。誰よりも「5人」であることを大切にしていた勝利君が語る未来の5人に、少しだけ希望が湧いてきました。

「SexyZoneを終わらせることで、SexyZoneは永遠になる」なんて、セカイ系主人公みたいなことを素でやっちゃうグループを好きになってしまったのだから、私も前に進むしかないんです。


:2024年3月31日、卒業

 激動の三ヶ月が、今日で終わります。
 SexyZoneというグループに自分たちでピリオドを打ち、永遠の記憶に変えて宝箱にしまい、彼らは5人同時に新しい道へ踏み出します。

 私がこれまでと同じような気持ちで共に進めるのかは、4月1日からの未来を見てみない限りは、まだわかりません。もしかしたら当たり前のように彼らは一つの画面の中で笑っているのかもしれないし、別々の場所でお互いの活躍に感化し合いながら、何十年も先の未来で、また道が交わったりすることもあるのかもしれない。彼らは口々に「誰も想像していなかったことが待っている」と語っています。今は不安よりも、その答え合わせをする瞬間を待ち侘びる楽しみの方が強いです。

 最後に。
 私は繊細で夢見がちで信じられないくらい心が綺麗なSexyZoneが作るエンタメに魅せられた者です。アイドルという偶像に全力を注いで私たちを楽しませてくれる最高のエンターテイナーたちを、心から誇りに思います。そこでです。





 今日の20時からYouTubeチャンネルでラストライブの配信があります。チケットは必要ありません、無料で見れます。たぶんアーカイブも残ります。

 一度だけでいい、ほんの少しでいい。彼らが作るステージを、どうか一人でも多くの人に見届けていただきたい。アイドルなんて馬鹿らしいと思っている人も、海外のハイレベルパフォーマンスの方が優れていると思っている人も、数秒だけでいいです。SexyZoneは、これで本当に最後なので。


 今日、私の大好きなグループがなくなります。









▼Comment

:from ほしのしずく [2024/03/31 08:58]
言葉に、表すことが難しい感情を表現して頂きありがとうございます。同じくです。この文章を読んだ時にそういう感想しか出てきませんでした。

この配信が誰かに観られますように。
届きますように。

小さな画面の向こうから願っています。




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