「幸村」

「なんだい?」

「どうしよう」

「なに」

「生理が来ない」

みょうじなまえ、生理が来ません。予兆もありません。

「は?何、誰と浮気したの死にたいの?」

「え、いや…あなたのミスだとかそういう事は「この俺に失敗?」そうですよねすみません死んできます」

勿論あたしは浮気なんてしていない。正確に言えばそんな時間すらない。大学から交際を続けていたあたしたちは卒業し就職を機会に同棲を始めた。会社も自宅のアパートから遠くはなく会社での飲み会やそんなもの多くないあたしたちは退勤次第用事がなければ即帰宅。いつ浮気をすりゃあいいんだ。まあ、する気なんてないのだけれど。

それにしても、困った
まだ子供なんて…結婚さえしていないのに。就職一年目だし。せっかくしたかった仕事につ就けたのに

「おい馬鹿」

「んあ?」

ぼーっと考えてたら後ろからぎゅうと抱きつかれた。温かい、幸村の体温。それだけで今の今まで考えていた事がどうでもよくなってしまって、振り返って正面からぎゅうと彼を抱き締めると少し不機嫌そうな顔の幸村があたしの唇を奪った。ちくしょう不機嫌でも綺麗な顔だ。それにしても何故不機嫌なのだろうか、浮気の事なら当然だがしていない。彼がそれを一番よく知っている筈なのだが。

「子供、一緒に育てる」

「子供?」



「戸籍、一緒になっちゃえば問題無いだろ?」

嗚呼、彼のこんなところが愛おしいんだあたしは















後日談

「ねーゆきむら」

「なんだい?」

「せーりきた」

「ふうん、でもまあ。戸籍一緒になるのは変わり無いし、子供はまたゆっくり考えようか」

「本当、さらっというよねあんた」





おわり
あっけらかんとした幸村


mae tsugi


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