あまいあまい
でもほんのり苦味のある




「なまえー!」

「なに」

「君のためにスウィーツを作ったのだけど!一緒に食べないかーい?」

「や、いらない」


あたしの彼氏、サンヨウシティのジムリーダーの三つ子のひとりで、ポケモンケムッソだかソムリエだかのデントは、あたしより家庭的でとても優しい

レストランをジムと並業しているからかポケモンフードも人間の食べ物も物凄く美味しい。

但し性格に難あり。


「なまえー!君に似合う服を見つけたよおぅっ!」

「フリルは趣味じゃないんだけど」

「なまえー!ラブロマンスの素敵な映画のペアチケットがこんなところに!」

「あたしアクションがすき」

「なまえー!」

「うっさいわ!!」

そう、激しく貢いでくる上に趣味がとっても女性らしい。女子力が半端無い。そして、めげない。かなり、面倒くさい。かわいいロリータみたいな服を見せて似合うから着ろだの見ただけで歯が溶けそうになる甘そうなパフェ持ってきて食えだの歯が浮くような台詞ばかりのラブロマンス映画を見ようだの。どっちが彼女なのか分かったもんじゃない。

「お前ら、よくやるよな…」

ポッドにさえ冷たい目線を送られる日々。よくやるとか、正直よくやってない。

そして今日もコーンに届けなければいけない手紙を持ってレストランに来たにも関わらず、あたしは待っていたと言わんばかりに入り口に立っていたデントに捕まり現在、特等席とかなんとかと言って用意されたあたし専用の席に座らされている。勿論コーンのために持ってきた手紙は早々に没収され恐らく今ごろデントの手によってポッドに回されそこからコーンに渡っている頃だろう。さて、今日は一体何が出てくるのだろうか

「なまえー!!」

ジャジャーン!と威勢の良い声と共にキッチンから出てきたデントの手には皿。今度はどんなあまったるい菓子を食べさせられてしまうのだろうかとビクビクするあたしとは反対に、よほど自信があるのだろう。ニコニコと笑みを浮かべながらデントはそのフタを開けた

「あ、これ…」

「そう!今日は、あまーっっいのではなくホロ苦なテイストのスウィーツ!抹茶サンデーデントミックス!どうだい?なかなか素敵だろう?」

そこにあったのはいつものようなドピンクで見るからに甘そうなお菓子ではなく、緑と茶色を基盤とした落ち着いた色合いのワガシ風デザート。なんだ、あたしが甘すぎるのは嫌って言葉、ちゃんと聞いてたんじゃないか。

「さあ、食べてみて?君のためだけに作ったんだよ?」

開店前の誰もいないレストランでいち早く料理を口に出来るあたしは一体どれほどの幸福者なのだろうか。一口スプーンで掬って口に入れると、これはなんとも。ほろ苦い抹茶の味と甘さ控えめな小豆がマッチして絶妙なハーモニーをかもしだしている。…最近彼に表現が似てきたかもしれない

しかしなんにせよ、美味しい

「美味しい…!デント!これはやばい、今までの中で一番美味しい!」

「本当かい?!それなら良かった、なまえに喜んでくれることが僕にとって一番の幸せだからね」

他に客がいないからと言って平気でそんな事を言うデントはやっぱりどこかずれているしアホかもしれないけれど、やはりこんな彼を独り占め出来るあたしは最高の幸福者なのだと思う。いつもはうざいとか不味いとか嫌いとか沢山言ってしまっているけど、こうやってちゃんとあたしの事を考えていてくれる彼が、あたしは大好きだ。あたしのひとことでコロコロ表情を変えてしまう彼が、本当に、愛しくて仕方がないんだ

「デント」

「ん?なんだい?なまえ」

「ありがとう」

そういって立ち上がり際に少し背の高い彼の唇に口付けてやると、彼は心底嬉しそうに笑みを浮かべた。この笑顔はどこのイケメン主人公やライバルや敵やジムリーダーにも負けない!と胸を張って言えるあたしも相当なデントバカなのかもしれない。


それでもデントが、いちばんなんだけどね!







おわり

 ̄ ̄ ̄ ̄
なんともお粗末な内容になってしまい申し訳御座いません。リクエストして頂いた月詠 碧様に捧げますデント夢でした。わたしの中のデントってあくまでアホなんですよね、イメージでなかったらすみません。訂正してほしい!とかも御座いましたらご一報下さいませ。

それではありがとう御座いました!



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