こわいよ、こわいよこれ。この生き物、なに…?




02話
美しいお姉さん博士とマジキチっぽい青年とポケモンという異世界












「おおお…」














あたしたちは、草むらを抜け、カノコタウンという町に来ていた。














「博士の家、家…」





町に着くや否や、青年はぶつぶつと呟きながら何かを探していた。聞けばどうやらそれは誰かの家?らしいのだが、生憎あたしが助けになれるような事はなく。ただひたすらに青年を見失わないように後をついていった。狭いように見えたその町であったがなかなか広く、また快適に見えたが買い物をするには少し不便にも見えた。






( まあ、あたしが住む訳じゃないし )








そしてついに。どうやら青年はその目的地を見つけたらしかった。ひと家族住むには大きすぎるように見えるそこは、家というよりはまるで、





( ラボみたいだな… )







青年が玄関の前でノックをすると直ぐに返事があった。ドアが開き、返事の主なのであろう。白い白衣を纏った女のひとが出てきた。





「はーい!あらら?トウヤくんでもチェレンくんでもベルちゃんでもないわ?どちら様ですかー?」




その女性は明るく気さくそうなイメージだった。声のトーンは女性らしく、笑顔も可愛い。



( 胸もでかい…お姉さん、あたしと友達になってくれないかな… )





すると、余計なことを考えていたのがバレたのか、青年にものすごく睨まれた。ような気がした。






「あ、俺、カントー地方のマサラタウンから来ました、レッ「ええええええ?!カントー?!どうやって来たの?!こんな遠くまで?まだ飛行機出来てないわよ?!空を飛ぶを使っても難しい距離なのに?!!」



は、はあ…」






お姉さんはどうやら激しく興奮したらしい。鼻息を立てるような息づかいで奥の部屋に消えていった。そして、取り残された。





「ねえ、あんた…そんな遠くから来たの…?」


「お前のせいでな」




「あたしか」




なんだか、申し訳ない。ものすごく申し訳ない。しかし、あたしはだからと言ってしてあげられる事さえ、なさそうだった。あたしがため息をついたころ、お姉さんが戻ってきた。







「はーい!博士今大丈夫っていうから、入ってー!って、博士に用事でいいのよね?」


「あ、はい…」




「あら?そっちの子は?」





「あ、あたしは「俺のつれです」







ええええええええ







「あ、そうなの?ま、とにかく入って入って!」








わあ、すごく、スルーされてるよ、あたし







しかも、ツレ、ときた。あたしは青年のことを何も知らない。洞窟で出会ってここまで数時間、交わした会話は数えられる程しかない。

あたしは自分の前を歩く青年の背を見つめながら考えた。そういえば、何も、しらない。もしかしたらこの世界では物凄く悪い奴かもしれないし、これは地方のアジトなのかもしれない。もしくは、あたしはループとかじゃなく、誘拐?


あたしはしばらく考えてみたが、でもここまで一緒に来てくれたわけだし、悪い奴、ではない、と。信じたい



と、思っていれば、部屋についたらしい。先ほどの女のひとがノックをして入るとそこにはとっても美人なお姉さんが白衣を着たエロい格好で出迎えてくれた。

























「そう、マラサタウンから…」



「シロガネ山というところにいたのですが…」



「でも、どうなっているのかしらね。その、あなたも」








一通りこの青年がいきさつを話すと、美人なお姉さん、アララギ博士は驚いた様子こそ見せたものの、直ぐに一緒になって考えてくれた。




「そう、なんですよね…あ、でもあたし、この人に助けてもらわなかったら死んでたかもしれないし…」



「そうね、レッドくんには感謝しなきゃね」

















ん?








レッドって、誰だ……?
















「あ、は、はい、そうですよね、レッドくん「お前、俺の名前知らなかっただろ」








しまったあああああ




一番大事な情報を聞き逃していたあたしは、今ものすごく、青年、基、レッドさんに睨まれた。あ、その目、人ひとり殺せそう







「まあまあ、ところで、あなた、名前は?」





あたしは美人博士に救われた。







「あ、私はみょうじなまえって言います。」




「なまえちゃんね!素敵な名前!」





「変な名前……」



「聞こえてるぞせいね「あ、そうだレッドくん。お家に電話して見たら?こんな機会だし」





あたしの反抗は虚しく美人博士によって打ち消された。そのままレッドさんを見ると、家族に電話、と言ったら普通安心するだろうに、彼はなんだか乗り気ではなさそうだった。





「いや…」


「じゃ、せめてオーキド博士に!あたしもポケモン研究の先駆者である博士とは話がしてみたいと思っていたのよ!」



「はあ…」


「じゃ、今夜にでも!そして、なまえちゃん、あなたなんだけど」






話しはいつも唐突に訪れる。







「はあ…」


「今他の研究員に言って調べているんだけど、時間が掛かりそうなのよ。あなたの故郷も、聞いたことが無いし、まだまだ時間が必要なの。」




「あ、そうなんですか…」





帰る術、なしか…
なんとなく予想していた展開ではあったがそれでも嬉しい知らせではなく。あたしは唇を噛み締めた。すると、それを見かねた美人博士がぱたぱたといなくなり、どこからかぬいぐるみサイズの動物…?を連れてきた。







「まあ、でも、ゆっくりしていくといいわ。あなたの知らないポケモンを知って、仲良くなれば、少しは悲しくもなくなるはずよ?」



「あ、ありがとう御座います…」






言うと博士はあたしの横にその動物をおろした。うさぎのようなリスのようなねずみのようなこれが、ポケモン。しかし、洞窟の中でレッドさんがあたしに見せたでかい恐竜みたいなポケモンとはまるで違かった。





「ポ、ポケモン…」


「チラーミィよ。あ、レッドくん!是非ジョウトのポケモンたちが見たいんだけど、今夜はここに泊まっていきなさいな。これからどうするかは、夜にでも決めればいいわ!ね?」




「あ、はい…」





「じゃあ決まり!夜ご飯までは時間もあるし、町を歩いたりしておいでなさいな!それまでになまえちゃんは、レッドくんにポケモンの事沢山教えてもらいなさいね?」






わ、凄い嫌なパターン。
横にはポケモン。後ろにはレッドさん。散歩。時間潰し。レッドさん。



どう転んでもあたしはこの青年と一緒に過ごさなければいけなさそうだ。




「…… おい、」


「ヒィッ」




あたしは思わず化け物を見たような悲鳴をあげてしまった。レッドさんは怪訝そうにこちらを見たが、顎で玄関の方をさした。外に出ろということなのだろうか。くそ生意気な奴め、とは思ったが何せ今のあたしは彼がいなければなにも出来ない。あたしは大人しく立ち上がった。







「チィ…」





「あ…そうか。お前も、いくか?」



「チィ!」




チラーミィ?の存在を忘れていた。あたしはチラーミィをよっこらせ、と抱き上げレッドさんに続いて玄関に向かった。まずは、このポケモンと仲良くなって、ポケモンに慣れなければいけなさそうだ。





「なまえ、早く来い」









お?





「あたしの、名前、ちゃんと聞いてたの?」


「俺はお前とは違うからな」




「あ、そうすか…」















02話
美しいお姉さん博士とマジキチっぽい青年とポケモンという異世界 終



002話
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