別に方向音痴じゃなーくて
行き当たりばったり!
これが旅行の基本!





あたしは飛行機から降りるや否や、同行者のひとりもいないくせに大声で叫び周りから白い目をされていた。田舎者丸出し?キョロキョロしすぎ?そんな事は関係無い

だってここは


「うおおおお!遂に来たぜイッシュー!!!」



小さい頃からずっと来たかったイッシュ地方だからだ。遠いところにあるイッシュはそう簡単に行ける場所ではなく、旅行をするにしてもいつもジョウトとか、遠くてもホウエンとか。たまにオレンジ諸島とか。イッシュみたいな大都市が沢山ある遠い地方を訪れる事は無かったのだが。

この度ついに!!
その夢を叶えることに成功したのである!!



「とりあえず、ライモンシティだよねーチカテツってやつに乗ってみたいし!」



あたしは近くのポケモンセンターに立ち寄り大きなマップを見た。そこには大きなイッシュ地方の文字。なんだかとっても嬉しくなって、持ってきたカメラでぱしゃりとそのマップを写真に納めた。



「おねーさん!ここからライモンシティにはどうやって行けばいいんですかね??旅行で初めてイッシュに来たんですけど、知り合いも何もなくて」

「こんにちは、あら?イッシュは初めてなんですか?それならようこそ!イッシュへ。ライモンシティ…そうね、歩いてもいいけど…少し遠いから…あ、ちょっと待ってね」


丁度手が空いていたジョーイさんに訪ねると、親切に答えてくれた。ジョーイさんもかわいいし、流石都会のクオリティは高い。そして、ジョーイさんは誰かに電話を掛け始めた。

暫くその電話は続き、じゃあ。とジョーイさんが電話を切った時には待合室で流れているニュースが終わっていた。



「丁度良かったわね、この町のジュンサーさんがライモンシティの方まで見回りに行か時間だから、ここに寄って送っていってくれるそうよ」

「えっ!本当ですか?!」





というわけで。
なんてラッキーなあたしはその後物凄い勢いでポケモンセンターまでやってきたジュンサーさんに乗せられて見事ライモンシティに行くことに成功した。こうやって地元のひとと触れ合うのも旅行の醍醐味!あたしはジュンサーさんにイッシュについて質問しまくりながらライモンシティまでの道のりを楽しんだ。

流石違う地方、というか。
ポケモンが、知らない種類ばかりで、道を行くポケモン、戦っているポケモン、空を飛ぶポケモン。どれも見たこともない。あたしは興奮しまくり若干ジュンサーさんに引かれたところでライモンシティに到着した。



「ほんっとうに有り難うございました!!!」

「いいえ、道案内も仕事のうちですし!楽しんで下さい!」



そんな優しいジュンサーさんに甘えて。深くお辞儀をしたあたしは目の前に見える大きな建物を見上げて呆然とした。





「うわ、でっか…」



ジョウトにあるコガネシティに行ったときも相当な衝撃を受けているあたしは、その近未来的な建物に圧倒されてしまった。本当に、まるで未来にでも来てしまった気分になる。並ぶ沢山の店も、会社もひとも。あたしの住んでいるカントーとは全く雰囲気が違う。



「あ、っいけないいけない。さ、チカテツチカテツ!リニアとどう違うのかしっかりこの目に焼き付けないと!」



思わず雰囲気に呑まれそうになったあたしは首をぶるぶると振り、気を取り直して出発することにした。せっかくここまで来たんだし遊ばなきゃ損!というわけであたしはどこにあるかも分からないチカテツの乗り場を探し始めた。


のだが





「なあああいいいいいい!!」



無い。無い。チカテツがどこにあるのか、チカテツ。歩いてもあるいてもでかいビル、公園、ジム、観覧車。どこにもチカテツが見当たらないのだ。

こうなったら交番!とも思ったのだが、交番も見つからない。このままじゃあ夜になってしまう。まだポケモンセンターにも行けていないのに。荷物を持ったまま野宿なんて嫌!


と、いうことで。




「すいません!」




最終手段。【ひとに尋ねる】というコマンドを選択することにした。丁度目の前には緑色の髪の青年。きっと優しく丁寧に教えてくれるに違いない。あたしは迷うこと無く彼に話しかけた



「はい?」


振り向いた青年はもう見た感じ好青年。あたしの目に狂いは無い。



「あたし、この地方に今日来たばかりの旅行者なんですけど、地図とか何も無くて、でもチカテツに乗りたいんです!…けど、どこにあるか分からなくて。もしお時間あれば場所を教えて頂けませんか?」



と、あたしがべらべらべらべら個人的な事情を話し終えるまで、青年はひとことも喋らなかった。話し終えた時にはしまった失敗した、と後悔したが暫く青年は止まったまま動かない。


「あ、の…?」


すいません、と言葉を出そうとしたその時、ばっと手を思いきり握り締められた。あたしはびっくりして思わずその青年を見ると、物凄く物凄くキラキラとした目をしながらこちらを見ていた


「ち、地下鉄に乗りたいだって?!ふふふ、このサブウェイマスター、デントにお任せ下さい!」







やばい、あたしの目に狂いは無い筈なんだけど…ミスったかもしれない。人選







つづく



都会進出!
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -