大学生と中学生真田



晴れてるから一緒にAV借りに行こうとメールをしたら、送信後10秒経たずに我が家のピンポンがなった。










「なまえ!た、たるんどる!」


「中学生のあんたがあたしにタメ口きくほうがよっぽどたるんでると思うんだけど」


玄関にこの少年、真田を入れたら早々におっさんみたいな顔声態度で怒鳴られた。ちなみにあたしの方が5歳も年上である。

まあ、ととりあえず真田をあたしの部屋まで通すとそこんところは律儀にお邪魔します、なんていいながら入ってくるこいつは小さい頃よく構ってやった隣の家の子供だった。

なんやかんやで時が経っても、一人前みたいに大きくなっても、たまにこうして会うことがあった。



「で」

「なによ、でって」

「なんの悪戯なんだ」


まるで父親が子供のおいたをたしなめるように、あたしの部屋で正座した真田が言った。眉間にシワをよせて。こうして見ると本当に中学生かと疑ってしまうのは、着ているのがジャージな筈なのにおっさんの休日に見えてしまうからで。


「ぷっ」



いつものことながら笑ってしまうのは仕方がないこと。で、そのあと真田に一発ぶん殴られるのも、恒例のようなものだった。


「なまえ!ふざけるのもいい加減にしろ!」



なんて、顔を赤らめて言うものだから。



「別に?真田とデートしたいだけなんだけど」


と、ニヤニヤ笑みを浮かべながら真田の反応を待つ。どうやら今まで交際の経験のひとつも無いこいつは、そんな些細な言葉で顔を真っ赤に染めてしまうほどのうぶ。


「で、デートだなどど!」

「いやなの?」


そういうと黙ってしまう真田は本当に可愛い。顔とか言うこととかおっさんだけど、まだまだそういうところは中学生で。

じゃあ、決まり!
と、あたしは真田の手を取って立ち上がった













「…なまえ…」

「何よ、今度は」


あたしらはそのまんま、二人ともジャージのまま財布とケータイだけを手に家を出た。親にはどこにでもいってこいなんて途方も無い事を言われたので問題はなし。真田は、さっき出掛けるとかなんとか連絡をしていたような気がする。



「本当に、なんだ、その…」

「なんだよ、男ならバシッと言いなさいバシッと!いつものあんたらしくもない」



口ごもる真田の背中をばしっと叩くと、あたしより長身の中学生は頬を赤らめ顔を反らした。


「本当に、か、借りるのか…?」







「は?」





真田から出てきたそのひとこと。聞き逃したわけじゃあ、ない。聞き間違いでもない。借りる?借りる?借りる…あ。


「は、とはなんだ人聞きの悪い」




と、今度はおっさん面してそっぽを向いてしまった。もしかして、メールのこと引きずってるのか?





「真田…もしかして本気で一緒にAV借りにいくとか思ってる?」


「…な、な…」



あたしのその一言に、真田は大ダメージを受けたらしい。自分の失態になのかあたしの態度になのか、わなわなと怒りに震える真田が目に入っていた。

このまま放置しておいてもそのうちもとに戻るのは時間の問題なのだけれども。



「ごめんごめん、真田が18歳になったら一緒に行こうね」



と、一応慰めの言葉をひとつ。
入れた、つもりだったのだが





「た、たるんどるー!!!!」





と、中学生に鉄拳を食らった。
まあまあ落ち着けやと言ったところで無駄なので、真田が好きな和菓子でも餌にして機嫌を立て直すことにしよう。


折角晴れてるわけだし







「今日はデートだし」


「何か言ったか?」

「いーえ真田副部長!ささ、早くあんみつ食べにいこー!」





そんなある晴れた日







mae tsugi


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