天才集団?なんすね、
わかります





「あっちゃーん!」

「なに、なんなの」

「キミガイチバンウツクシイ」


「それ今日で何回目よあんた」




高校生活が始まり早1週間。なんとなく分かってきました。この学校のつくりというかなんというか。そしてあたしは、あっちゃんこと茜玲子ちゃんという巨乳美女とめでたく友達になり、ハッピーライフを送っている。

あっちゃんは中学からここに通っていて陸上ハードルの選手。1年生なのにインターハイ候補とか騒がれているらしい。ちなみに彼氏はいません。



「あーあっちゃんが一番」

「おっさんかお前」


このサバサバしてるところも大好き。とにかく、大好き。


「あ、てかさあっちゃん」

「ん?」


お弁当を机の上に広げ、初めて自力で作った焦げ茶色のおかずに箸を伸ばしながらふと口を開いた。


「あたしの隣の席の」

「ああ、柳くん?」

「そうそう、柳氏」

「なんなのその言い回し」

「彼、なんなの?彼の事を知らないと言ったら、お前外部入学だなカスみたいなこと言われたんだよね」

「いやカスはお前の妄想だよなまえ」


まあ、そうかもしれないけれど。そうなのだけれども!そこじゃないんだ!重要なのは!あたしは教室に柳氏がいないことを確認してもう一度あっちゃんを見た



「で、なんなの?」

「ああ、奴等テニス部なんだよね」

「テニス部?だってまだ部活入学始まってないじゃんね?」

「あ、そっか、お前今年からだからか。」


そうだそうだ。みたいにあっちゃんがひとり納得したように首を縦に振った。なんだ?なんなんだ?

「んん?」


「あ、いやだからさ、うちの学校中学も部活やばい強いでしょ?で、その中でもテニス部は毎年全国制覇してる最強でさ、特に去年は関東も全国も準優勝で終わったらしいんだけど、そのメンバーがまた。歴代の中でもイケメン揃いだったってわけ。」


「…で?」


「で?ってあんたね。そら学校中でファンクラブ出来るわ、話題になるわ凄いの。で、柳蓮二もその中のひとりってわけ」




なーんだ、と言って。
納得できる、わけねえだろおおおおお!!




「え?あの細目が?いや確かにあたしの中ではましってかイケメンな方だけど見る限りオタクじゃん!背高いだけでオタク顔じゃん!前見えてないよあれ!」

「あ、あたしに言うなよ!」


「こわ、こわ!高校生こわ!細目なの「俺はそんなに細目か?」



あたしがあっちゃんに猛烈に抗議の声を上げたその時、背後というかとなりの席から低く静かな声があたしの声にかぶってきた




ん?



今横を見たら何故か死んでしまうようなそんな気がしながらもカクカクと空いている筈のとなりの席に視線をやると、柳氏が座っていた。


Oh!



「……素敵なフタエデスネ」


くそう、いつからいたんだこの細目…


「内心いつからいたんだこの細目、と思っている確率94%それに俺は一重だ」


「え?何故それを、って、危ない危ない。いやおほほ、そんなわけないじゃないのやなちん」


「なまえ…いつから柳くんのことやなちんなんて呼ぶようになったのよ…」


ええと、細目の前では墓穴ばかりです。なんか慣れないこの細目。なんか、ダメなんだよなあ。と薄目で細目のやなちん(こう呼ぶことにした)を見ていると、物凄く怪訝そうな顔をされた。


「あ、部活といえばさ、なまえ女子サッカーなんでしょ?」

「うん」

あたしは薄目のままあっちゃんに向き直ったら物凄くにらまれたのでやめた。


「みょうじ、サッカー部に入るのか?」

「ん?ああ。そのつもり。サッカー以外に興味あるのは女の子だけだしね」

「あんた、柳くんに冷たくない…?」

「ソンナコトナイヨ!友達タイセツ!」

「みょうじは、変わっているんだな…」



お前に言われたくねえぞ細目!なんて心の中で毒吐きながら目に入ってきた校庭に意識をやると、野球部が所謂昼練というものをしていた。頑張るな、なんてぼうっと眺めていると、視点が帽子一点に集まった


ん?帽子?
そういや、テニスが上手かった知り合いがいたような。いなかったような、

名前は、たしか…




「さなちん?」

「は?」




あ、あからさまな目をした。今あっちゃんがあからさまに軽蔑したような目であたしを見た。でも、さなちん?たしか、小学校卒業して…


「ねえ、あっちゃん、でもやなちんでもいいんだけど」

「俺はおまけか」


「この学校に、さながつく名前か名字の男子いる?」

「さな?」

「そう、小学校の時まで一緒だったんだけど、中学から確か立海に行ったんだよね。その後なんの連絡もしてないからわかんないんだけど。」

「そのひとが、なんで?」

「いや、今野球部見ててさ、そいつもずっと帽子被ってて、堅物で、でもたしか、テニスが大好きだったんだよね…あーなまえなんだっけ…さな、さな…」


「ちょ、あんたそれって…」



突然慌てたようにあっちゃんが机から身を乗り出してきた。なんだ?あたしなんかまずいこと言ったのだろうか。それにしても、さな、さな…


あ。




「真田弦一郎だったよ「真田弦一郎は俺だ」







えん?


急に教室が静まり返ったと思ったら、背後にひと、ひとり。座っているあたしが見上げるには相当長身のそのひとは、眉間にシワを寄せながらあたしを見下ろした



「なんだ弦一郎、お前の事か」


いやいややなちん。
こんなおっさんの友達いないよ?眉間に皺寄せたおっさんなんて、おっさんなんて、あのさなちんの筈が…



「…!なまえ、か?」










違うと言ってもいいですか。


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