君との日々を、これからも
「幸村、今日部活何時までだ?」
「今日は8時くらいかな」
「県大会も終わったばっかなのに大層な事で。流石、運動と花馬鹿は違うね」
「運動もろくにしない文化部には言われたくないな。その内豚になるよ、豚」
「キイイイイ!ああ言えばこう言う!」
「俺の台詞だよ、それ」
あれから2週間。俺たちはこれまでと変わらない生活を送っていた。無事県大会優勝を果たした俺たちは関東大会へと駒を進め、今も練習に励んでいる。
なまえとは、というと。なんだか曖昧な関係のまま。という感じで、特に進展とか、そういうこともない。ただ、前より沢山一緒に帰ったり話したり、そういうのが増えただけで。お互い素直に、というか。そういうのは無い。
後になって柳達から聞いた話では、元々なまえを好きだった立川が俺らをよく思ってなかった女子部と組んで、なまえに絡んだらしく、テニス部と関わったらテニス部が大会に出れないようにしてやるとかなんとか言ったらしい。で、立川がなまえに、俺と付き合ってくれたらテニス部に被害はやらないとかなんとか。で、優しいんだかお人好しなんだかそんななまえは頷いて交際を認めた。っていうね。
本当に、くだらない。
俺らがそのくらいで屈するわけないだろうに。なんだかんだ、そういうとこなまえはひとりでなんとかしようとするから可愛い。
なまえはっていうと、俺に公園に来いって言われたすぐあと、立川のところに行って別れようと言ったみたいなんだけど。立川も、
「いつか奪い返す」
ってさ。でも、悪いひとではないのかもしれないね。偽りの交際なんて、自己満足だってわかってた、なんてなまえに言ったらしいじゃないか。そういうところは尊敬するよ。
まあ、渡さないけどね。
「なまえ」
「なに?」
「俺と、夏になったら海に行こう」
「ああ、いいけど」
俺の突然の提案に、驚いたような表情を見せるなまえ。それでもぶっきらぼうに答えてくれる。
「夏祭りにも行こう。浴衣着てさ」
「乙だねえ」
「文化祭も盛り上げて」
「いいねいいね」
「クリスマスも、その先も、俺と、一緒に過ごさない?」
なんて、俺が少し言葉を付け足して、一歩、また一歩なまえに距離を縮めた。誰もいない放課後の教室はまだ明るいくせに、夕日に当てられたみたいに真っ赤に染まるなまえは、やっぱり女の子だな、と思う。
「どう?いいと思うんだけど」
「…な、にが言いたい…」
必死に俺と目を合わせないように横を向いたりしたを向いたり上を向いたり。なんだかとても、危なっかしくて、俺より小さいくせに全力で強がるその体ごと、ぎゅうと抱き締めてやった
「俺と付き合ってって、言ったつもりだったんだけどな」
格好つけて、なんて言えないけど。伝わったかな?
「…シュークリーム」
「ん?」
「シュークリーム、沢山買ってくれるならいいよ」
なんて、また可愛い顔しながら言うものだから。今度は少しとがったその唇にちゅっと口づけた
シュークリームなんて、いくらでも。君との生活には代えられないからね
( そういえば、なまえ、甘いもの好きだったの? )
( 別に、普通 )
( シュークリームは? )
お前がくれたから、好き
だなんて言えない
お題 ろくでもない今日をもう少し
――――
長らく失礼致しました。とりあえずお題での連載を終えることが出来ました。なたねです。皆様には誤表記を始め様々なご迷惑をおかけした事をお詫び申し上げると同時に、ここまで閲覧頂いた事感謝致します。
まだまだ私至らない点も御座いますが、これからも頑張りたいと思います。
有り難う御座いました
全お題 斜め読みで10題
【ばかなおまえはいつも】
お題配布元
反転コンタクト様
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