関わるなと言ったのは、誰かな






それから暫く、俺は登校時間を変えて、朝練にもいつもより少し早く参加するようになんかして、なまえとの接触を避けていた


今日もいつもの30分前。まだ柳と弦一郎しか来ていなかった




「そうだ、幸村。この前、練習の後、大丈夫だったのか?」

「死ね弦一郎」

「え、や、お、俺はお前を心配して……!」

「前も同じ事言いながら余計な事言っただろう?な、弦一郎」


「精市、何をそんなにピリピリしているんだ?」

「蓮二…」



蓮二は本当に、風だか林だか森だか鳥だかに身を任せるターザンみたいな原始人とは違うよね。俺は落ちていたボールを思いきり弦一郎に投げつけながら蓮二に一歩寄った



「―――と、言うわけなんだけどさ。」

「なるほど。で、検討はついているのか?」

「まあね。あの時見たテニス部の子が、なんかしてるのは確実だと思うんだけど。」


「けど?なんかあるのか?」

「まあ、ね。俺が見た限りじゃなまえがいじめられてる、って感じじゃあ無さそうなんだ。だから、余計気になるっていうか」


騒がしく朝練が始まるなか、珍しく俺達所謂3強(源弦一郎ちょっと邪魔)は話し込んだ。正直県大会と言っても大会も近い訳だし気を抜くわけにはいかないのも事実だけど俺の心中はそれどころじゃなかった



「たるんどる、幸村。単に本当にお前が苦手、という訳では無いのか?」

「死ね生き返るな死ね風でもチリにでもクズにでもなってろ」



本当に、死ね源弦一郎。俺の事が苦手?なまえが?馬鹿も休み休み言って欲しいものだ。本当に。そうやって俺が弦一郎に笑みを向けると遠くで赤也が笑っているのが見えたから、ついでに微笑み掛けておいた。死ねワカメ


「しかし、そうだな……近い内に分かる確率、91%」

「ん?」


蓮二が一点を見つめ呟いた。近いうち?俺も一緒にコートの外を見ると、それに気づいた立海ジャージの4人組がそそくさと立ち去るのが見えた。そのジャージは女子部のもの。蓮二の計算に狂いは無いというか、でも本当に、真相がもう少しで明るみになる気がした


「じゃ、今日の練習終わり。皆お疲れ」




俺はそれぞれに声を掛けコートを後にした。焦ることは無い。きっと、待っていれば何か行動を起こす筈だと、確信していたから。


「あ」


色々な事をぐるぐると考えながら校舎へ入り、靴を履き替え教室へ行くべく階段を上がって行くと、階段すぐ横にあるF組から出てきたのであろうなまえがふわっと、俺の前に現れた。気まずそうに視線を反らすなまえに声を掛けたいという気持ちが逸ったけれど、




「…!」


俺はそのまま横を通りすぎた

なまえは目を見開き、俺が角を曲がり教室への道を歩き出すまで、そこに立ち尽くしていた


( イライラ、する… )


自分から何でもないと、俺を突き放したのは誰だ。関係が無いと声を荒げたのは誰だ。関わるなと、頼んだのは誰だ


望み通りそうしているのに、くそ、なんで、

そんな顔、するんだよ



「くそっ…」


なまえ、何を思っているんだい…?







お題 おい馬鹿笑え


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