F組に、俺の事をあからさまに避けだした奴がいる。
「おはよう、なまえ」
「あら神の子幸村様じゃないですの、おほほ、今日もご機嫌麗しゅう」
登校中、いつも会うのだけれど、挨拶をしているのに返ってくる言葉は意味不明。それは今日も例外じゃない。別に今始まったわけでもないからいいけど、激しくイライラする。
「それはどうもありがとうなまえ、ところでなまえは今日もそんなにアホ毛を立てて楽しそうだね」
「キイイイイ!ひとが下手に出りゃつけ上がりやがって!腹黒!キチク!」
「どの辺下手に出たのかさっぱり分からないよ?」
話し掛ければ話題はあるのに、最近なまえは学校の正門をくぐった途端急に俺を避けるようにして先に行ってしまう。クラスのハムスターの世話とか言ってみたり隣の席の花子ちゃんの恋愛相談を聞かなきゃいけないとか言っていたりするけど、どれも嘘だって事、俺は知ってる。何せ1年生の時からの知り合いだし、何回か隣の席になったこともある。それなりに彼女を見てきたつもりだから、そのくらい。
あ、これを世間では
恋と言うらしいね
「ほんっとう、幸村って昔から恐ろしいよね。一瞬天使かなんかだと勘違いしてたあたしカワイソウ」
「俺が天使かい?」
「いえ、大魔王です」
「なんて?」
「ナンデモゴザイマセン」
今日は練習一日休みのこともあって、のんびりなまえと話が出来る。それだけで正直充分なんだけど、やっぱり引っ掛かるのが
「あ、そうだ、なまえ、きょ「ごめん幸村、あたし職員室に靴下取りに行かなきゃいけないから先にいくね」
そんな事を言いながら、俺の返事も聞かずにぱたぱたと先に校門をくぐって行ってしまうところ。2年生の時まではそんな事なかったのに、最近、よくある。考えすぎ?いや、そんなことない。大体、職員室に靴下の忘れ物なんか今時しないだろ。
「って、思うんだけど、どう?蓮二」
「お前、最近ずっとなまえの話ばかりだな」
だから、登校早々蓮二のところに押し掛けるのが最近の日課。
「なんか、あると思うんだよねー」
「何か理由がある確率は、69%」
「微妙だね随分」
「クラスで見る限り何かあるようには見えないからな。」
という蓮二の反応。確かに何か噂やそんなことがあるわけでもない。俺が嫌いなのだろうか。なんて柄にもなく心配しながら窓の外を見ると、職員室に行っていた筈のなまえが校庭に見えた
「あれ?」
「どうした精市。ん?あれはたしか、」
蓮二の言葉を聞かなくても分かった。女子テニス部の部長がなまえと何やら話混んでいる。テニスとは縁の無いなまえが何故彼女と一緒にいるのだろうか。
「聞いてみるしかないよね、」
「明日にしろよ?」
「なんで?」
「うちのクラス今日小テストばかりなんだ」
お題 ばかなおまえはいつも
より、 ( ばれてないと思っていそう )
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ばれてないと思っていそう