き、聞いてねええええ!!!






Day12 出発
















「…というわけだ、皆、油断せずに行こう」

「「はい!!!」」




「じゃねええええええ!!!」







あたしは思わず激しく反発の声を上げてしまった。今日は巷で話題の黄金週刊1日目。数少ない友人たちとどこへ行こうか散々迷っていたあたしだったが3日前に突然入った竜崎せんせからのメール。素晴らしい体験をさせてやるから着替え持って学校に来いと言われたのでやってきたら、なんだ、このザマは。




「なまえ先輩、うるさい…」

「っせーよリョーマアアア!あたしのゴールデン!素敵なウィークは何処?ねえ?どこなの?」



そして、どうやらあたし以外の人たちはあたしがこの合宿に参加することを知っていたらしい。誰もがあたしがこの場にいることに平然としていた。焦っているのはどうやらあたしだけ。


狂ってしまいそうな気持ちを抑え話を最後まで聞くと、どうやらこれは3泊4日の合宿らしい。地方にある合宿所に泊まりながらそこの施設や周辺環境を利用してトレーニングを行うのが目的とか。

しかし、どうしてもあたしがここにいる理由が分からなかった。


手塚国光曰く、ちゃんとしたマネージャーがいないからだそうだが





( いや、あそこにいるよね?いるよね?あれ、あの子たちだよね? )





あたしの視線の先には越前リョーマに延々と話し掛ける女子二人組。そして、3馬鹿トリオみたいな男子3人組。どう見てもレギュラーではない。



「ねえ、あたし本当に必要?」


「ふふ、
必要だからここにいるんじゃないですか、なまえ先輩」


身体中に寒気が走りばっと後ろを振り返れば、当にバスに荷物を搬入し終えた不治周助の姿があった。今日も不気味に笑っているな、と怪しげに彼を見ると、それを見透かしたようにまたふっと笑みを浮かべた。


「あたしがなんで必要なわけ?」


「マネージャーじゃないですか」


「元!しかも今回こんなにマネージャーいるだろ!」



言って向こうの方に居るそのマネージャーらしき生徒を指差すと、前回越前リョーマをストーカーした挙げ句あたしに文句を並べてきた女子生徒1が化け物のような人相で詰め寄ってきた。



「あああ!あんたはあの時のリョーマ様のストーカー!」


「え、あたし?」



寄ってくるや否やストーカー呼ばわりをする女子高生。どちらかといえば彼女がストーカーだと思うが。



「なんであんたがここにいんのよ!」


「や、あたしも来たくて来たわけじゃないんっすけど…」


「じゃあなんなのよ!」


「こら、出発するぞ、早く乗れ皆!置いていくからなー」


あたしたちがガヤガヤと騒いでいると見かねた竜崎せんせがバスの中から大声で叫んだ。それを合図にあたし達も話すのをやめバタバタと荷物を搬入しバスへと乗車し始めた。

( 遅れないようにい… )



角言うあたしもいそいそとバスに乗り込み窓側の席を確保することに成功。安堵の息を漏らしていると横にどすっと音を立てて誰かが座った。



「あ」



越前リョーマだった。




「なんでお前ここなの?」

「別に。ダメ?」


「いや、別にダメじゃ「駄目に決まってんでしょおおおおう!!リョーマ様の隣はあたしと桜乃!さ、行きましょリョーマ様」




会話が終わる前に、越前リョーマは例の女子高生に最後列の席へと連れて行かれてしまった。越前リョーマがどうなろうとあたしには関係の無い話だがあの女子高生は、少し、迷惑かも、とため息をつきながら窓側を見やる。



「はあ…鬱…」

「あ、なまえ先輩、ここ、いいですか?」




そしてまた声が聞こえ、振り向くと不二周助がすでに腰を下ろしシートベルトを締めている姿が目に入った。




「答え聞く気無いだろ、お前…」


「ふふ、そんな事無いですよ」



( ひ、ひいいいいいっ )





「さ、皆乗ったかー?じゃあ出発するぞー!」






そして、恐怖に怯えるあたしを乗せたまま、バスは目的地である合宿所へと発進した。













Day12 終


遠征合宿編1
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