「まじでいーの?」

『うんっ』

「んじゃいくか」

鍛錬を終えてシャワーを浴びて、一応別々に出て駅で待ち合わせた。

「さみぃ」

『うんー、さむいね』

高専からの最寄り駅だけどわりと人がいるので紛れてからキュッて金次くんの腕を抱きしめて体温を分け合うみたいにくっつく。
電車に乗り込んで、地味に埋まってたから端っこに二人で並んで立つ。
今日はもう最初っからフルスロットルで甘えたモードになっちゃって、だって寒いからだもんって自分に言い訳しながら金次くんの左手を握った。
彼女なんだからちょっとくらい甘えてもいいよね?え……さすがに付き合ってないってことはないよね?これで
チラッて金次くんをみると何でもないみたいに線路の奥をみてて、全然私に意識なんか割いてない。
ああやっぱりドキドキしてるのは私だけだなぁって思いつつも、でも嫌がってないならいいかってそのままキュッて指と指を絡めて恋人繋ぎにする。
でも、元カノにも……こんな甘えさせてたのかな。なんてせっかくのデートなのにいらない事ばっかりが頭を過る。
だって、金次くんすごい優しいんだもん。女の子にこんな風に優しく接してたら、そんなの好きになっちゃうに決まってる。私みたいにきっとずぶずぶ抜け出せなくなっちゃう。
じゃあ歴代の元カノたちとはなんで別れたんだろう。ギャンブル狂いって言っても、金次くんは金欠ってわけじゃなさそうで。まぁなんか常に回してるって感じでお金が手元にあるイメージはないけど……借金とかも多分ないし。てかこの歳で借金は……そうとうだよね?闇金ってやつになっちゃいそうだし。そう考えるとお金に困ってるわけじゃないと思う。
じゃあ別れる要素なくない?だなんて思う。
こんなに優しくて、その……エッチもめちゃめちゃ気持ちいいし、あ。なんかこれは想像するのやだな。
そう思ったら、金欠くんが別れようって言うんじゃないかって思えてくる。
飽きたとか、相手の子が重くなってきたとか……そういう、感じで別れるのかも。そうなったら、私もやばいんじゃないかって思って慌てて絡まっていた指を解く。誤魔化すみたいに反対の肩にかけていたスクールバッグのチャックをあけてスマホを取り出す。
視界の端っこに金次くんを追いやったのに、全身全霊で挙動をチェックして
ほらやっぱり繋いでた手を離してもなにも変わらないって思う。

なんか……だめだな。わたし

せっかく金次くんが誘ってくれたのに。
一人で虚しくなってきて、スマホをバッグになおしてから窓から外を眺める。
ヒュンヒュンッてすごいスピードで動く街並みをボーッと眺めて、思ったより京都と大阪って近いんだなぁって考える。
私が"制服デートしてみたい"だなんて言っちゃったから、京都だと呪術師が腐るほど歩いてそうだから思い切って大阪に行こうって話になった。
だからこうして電車に乗っているわけで
そして隣にいる金次くんはスマホを触っている。常に私にかまってくれだなんて全く思わないから全然いいんだけど
一人でボーッとしてると、金次くんが好きってばっかりになって浮かれると同時にどうしてもネガティブな事が頭をよぎる。
こんな……そんなに秤くんのこと好きじゃないもん。だなんて、どの口が言ってたんだと一人で自嘲して
ライトな感じで恋愛しなきゃいけなかったのに、こんなに好きになって執着して
ほんと……ぜんぶ金次くんのせいだ。前に貰った言葉を引っ張り出して来て律儀に人のせいにする。
こんなに依存させるみたいに優しくしてさ

え?もしかして私メンヘラってやつでは?と頭を過ぎって
じゃあ金次くんはメンヘラ製造機じゃん
別れた暁には、秤金次被害者の会を設立しようかな。だなんて一人でちょっと面白くなってきた。だってこんな、優しく甘やかされたら女の子ダメになっちゃうでしょ。きっといっぱい金次くんにダメにされた子はいるはずだ

私が会長だなんて烏滸がましいかな?なんて馬鹿みたいな思考でなんとかネガティブを上書きして
てか、メンヘラの定義ってなんだろうって気になりだしてスマホで調べようかと思っていると

右手に触れる体温に

掌に触れる硬い皮膚の感触に

心臓がひどいくらいに音を立てて

大袈裟にならないように注意を払って目線をやれば、やっぱり金次くんはスマホを弄ってるのに左手が私の右手を握って
するりと指と指が絡まる。
ゆるって握られると同時に私の心臓はキュッてひねり潰されたんじゃないかってくらいの負荷がかかって、思わずピクリと身体が小さく揺れてしまった。

ひどい

ひどすぎる

私がこんなふうになったのは

やっぱり金次くんのせいだ

秤金次被害者の会を本気で設立しないとって、頭の中でぐるぐるテンパる。

「ナマエ」

ふいに名前を呼ばれて、思考が爆発しそうなまま金次くんを見上げて

『なに?』

必死に平然を装ってるのに、きっとバレてる。

「べつに?なんもねーけど」

グッと寄せられた身体が私に覆いかぶさるみたいに密着して、耳元に寄せられた唇。微かに触れた柔らかさと、体温に

あたまがまっしろになる



「デート。たのしみだな」


そんなことを、言うなんて


なんて人なんだ

ひどい

ひどすぎる


金次くんはほんとうに

身体を起こした金次くんが、目を細めてフッて優しく笑う。


なに、これ


頭の先から爪先まで、沸騰したみたいに熱くて突破して感覚がなくなって


どうしようもなく


溢れそうになって必死にとめるけど
でももう、金次くんのせいなんだし
どうにでもなれって。半ばやけくそみたいな気持ちが出てきて



『金次くん。すき』


ガタンゴトンッて揺られながら

あまり深く考えきれずに発した言葉を、自分でしっかりと理解するよりもはやく

目の前の金次くんの眉が上がって、パチリと一回瞬きをして
閉ざされていた唇が緩く開いて金次くんが小さく息を吸う。




そのさまをみて、事の重大さに気づく

あ、


わたし。いま"すき"って言っ



「知ってる」

いたずらっぽく笑った金次くんが、そう一言発して。
それにパンッて、撃ち抜かれたみたいに
脳みそ破裂したみたいに思考が止まって。

しってる、んだ。そっかぁ

って何も考えられない頭で反芻して

知ってるって、なにそれ。なんだそれ

まぁでも、金次くんが知ってくれてるならそれでべつにいいか

何だかもうまともに思考できなくて。キュッて絡められた指を強く握り返して、指のさきっちょが熱くて脈をうってるのがわかる。きっとこんな事になってるのも金次くんは"知ってる"のだろう。
そこからもう何も言えずにただただ窓の外を熱い顔のまま眺めることしかできなかった。





大阪駅で金次くんと手を繋いだまま歩く。きっとここなら本当に見知った顔に出会う確率はほぼなくて、気が大きくなって身体を寄せて歩く。だって寒いしね!なんてここでも自分自身に言い訳しながら。ガヤガヤした喧騒にさらに後押しされる。
すたすた歩く金次くんのスピードが急に緩んで、なんだろうと顔を見上げると

「どこだここ」

『ぇ』

金次くんに任せっぱなしでぼやって歩いてた私にはわかるはずがない。そういえば改札出て階段を上がったり下がったりしてたな。だなんて思いつつ頭上にある大阪駅はこっちだよって矢印を眺める。
え、でもあっちの看板には違う向きの矢印がかいてあって
何事だと脳内が迷う。行き交う人は縦横無尽に歩き去っていて、人の多い方になんとなくついていくのも危険な気がした。田舎生まれの田舎育ち。頼りは金次くんだけで……

「とりあえず、地上でるか」

『ん』

なんだか金次くんが迷ってるだなんて意外だなって思いながらも、ちょっと可愛いかもだなんてどうしようもない。
適当な階段を上がって地上にでれば、ビュッて冷たい風が頬を撫でて思わず肩が上がる。握っている手をさらにキュッて握って、きょろきょろと周りを見渡す。
金次くんを伺えばなんとなく把握できたらしく、さも迷ってないですみたいな足取りで歩き出した。

「さみぃ。ナマエ大丈夫か?」

『私は大丈夫だよ』

一応制服の上からコート着てるし、金次くんの方が寒そうだなって目をやる。

「さみぃからもっとこっち来い」

んって腕を差し出すみたいに手を握ったまま少し挙げられて、心臓ばくばくしながらギュッて腕を絡めて身体を密着させる。
こういう、ところだぞ!絶対に被害者の会作ってやる!って思いながらも口元が緩むのをとめられなくて、見られないようにちょっと俯きがちに歩く。

「ちょっとマシだな。反対側がさみぃ」

私じゃ足りないみたいに言われてちょっとだけムッとする。そう思ってると綺麗なおっきいビルについて、人の波に乗って中に入る。
行き交う人同士が入り口で鉢合ってぶつからない様にと避けると、ピッタリくっついていた身体に隙間ができて、そのまま流れで繋がれていた手も離れてしまった。
ブワッて暖房の独特の少しまとわりつく暖かさに、室内は暖かいからって自分に言い聞かせてそのまま金次くんの手をとることはしなかった。

「んじゃ、適当にみてまわる?」

『うん!』

「あー、上から順に?」

『うん。そうしよ』

前のデートで私のお店周りの順番を覚えてくれてたのか目の前のエスカレーターに金次くんが向う。後ろをついてあるいて、東京とエスカレーターの立つ位置反対なんだっけ?なんて思いながら進むと

エスカレーターの前でナチュラルに金次くんがスピードを緩めて私の横に来る。腰に手を添えられてゆるく誘導されて、先にエスカレーターに足を載せるとその後につづいて金次くんも一段下に足を乗せた。
普段は結構ある身長差がぐっと縮まって、1段差の体の近さにドキドキして
上からだから途中階を跨ぐ時だけ少し離れてまた近づく。一応平日だからごった返すほど人はいないなかでぐっと近づく距離に。金次くんの手すりを持つ位置が私を少し飛び越える位置。自然にやってのける近さにくらくらして

「なぁ」

『ん?』

「今日いつもと違うのつけてんの?」

『え?』

唐突な質問になんの事だろうって頭を働かせるけどピンとこない。いつもと……

『ッ』

「やっぱちげぇ」

更に近づく距離。口の近く顎に寄せられた唇に一瞬キスされるのかとびっくりして
心臓がどんどこ煩く音を立てる。

「いつも甘いにおいしてっだろ?」

『ぁ』

必死に回した頭で弾き出した答え。もしかしてリップのこと?って心臓が煩いままに口を開く。

『リップ、かな?今日は違うのにしたから』

「あー……どうりで、チューすっときいつも甘いと思ってた」

顔が熱い。そんなこと思われてたんだって恥ずかしいけどなんだかむずむずする。いつもは普通に保湿目的のリップクリームだけど今日はデートだからってティントにしたんだった。そんな些細な色味の違いを金次くんがわかるとも思えなかったけど、ちょっとでも可愛い私を見てほしいって思ってつけた。でもそんなふうに思ってたんだって思ったらいつものもつけたら良かったな。なんて

『いつものはこれ』

顔が熱いのを誤魔化すみたいにスカートのポケットからいつものリップクリームをとりだす。

「へー」

適当な返事をしてきたのに、左手で私の手ごとリップクリームを包んで右手でキュポッてキャップを開けて
そのまま金次くんが左手を自分の方に引き寄せて鼻先にリップクリームがつく。私の親指の爪のさきっちょが金次くんの唇に一瞬だけ掠めて


「あー。これ、これだ」


もう全部火がついたみたいにあつい


「なにこれバニラ?」


心臓の音うるさすぎて、金次くんの声を拾うので精一杯。


『バニラマカダミア』

「あ?」


なんとか返事はできたけど、もういっぱいいっぱいで
「なんて?呪文みてーだな」なんて言いながらキャップをはめて私の手を開放する金次くんをただただ眺めるしかできなくて



「俺それ好きだぜ。ナマエって感じする」



金次くんは私を殺そうとしているに違いない
ズキュンと心臓と脳みそと、身体あちこちが撃ち抜かれた気分で


「でもこれ腹へんねぇの?」

こんな馬鹿みたいな質問に可愛いって思っちゃうなんて
そうとう私は重症らしい。








レストラン街になってる上の階で、「そういえばまじで腹減った」だなんて言ってお店に入ることにした。
なんかもう、ずっとドキドキしっぱなしで、撃ち抜かれっぱなしで本当にこのままだと私はどうなるんだろうって心配でしかない。どんどん好きになるのに、どうしたらいいんだろう。
「なに食いてえ?」の質問にいっぱいいっぱいで味なんかわかる気がしないって思っちゃってじゃあ濃いのじゃないと。て謎の理論に行きついて『中華』って答えちゃった私に、金次くんが笑って「俺も中華くいてぇ」って言って
それだけなのに、ちょっと金次くんが楽しそうにするだけで……もう、心臓ギュッてされて堪らない。
いまさらもっとパスタとかパンケーキとか可愛い感じの返事をしたらよかったのにって思って、そして挙げ句の果てにはこうして無理やり食欲を勝たせて酢豚を選択してしまった自分に若干の後悔が生まれる。
でも金次くんはガツガツ食べたい系だよね?きっとって自分を励まして、目の前に来た料理に目をやる。

『おいしそう』

「だなー、食べようぜ」

金次くんが炒飯に手を付けているのを見て、わたしも小さく『いただきます』をして箸を持つ。そこそこの品数と量が並んだテーブルをみて
あわててカバンからスマホを取り出す。
カメラを起動させて画面に料理を写す。
普段から料理の写真を絶対撮る派とかでは決してないけど、だって今日は金次くんがいるから

画面の端っこに入り込んだ金次くんの腕をそのまま切り取って
ちょっとだけならいいよね。って、スマホの角度を上げて

もぐって頬張る金次くんをカシャッてこっそり自分だけのものにして


画面を見ながらあらためて

顔いかついし、イケメンじゃないし
見た目から粗暴なとこでててオラオラやんちゃ系だし

全然タイプじゃないって

おもうのに


胸が一杯になりながら、スマホをしまって



『おいしいね』

「だな。中華で正解だったな」

『うん』



胸がギュッてして、すきっておもう


おっきい口開けてもぐもぐしてるとこ好きだなとか
なんかいちいち好きって思って、ちょっとでも長くこうして金次くんの事を好きって思っていられたらいいのになって思った。















日が傾きかけた外はやっぱり寒い。
一通り見て回って、同年代の子がいきそうなビルやお店を網羅して、そろそろ高専に戻んなきゃかな?って思いながらきっと二人して自然と改札の方に歩いてた。
だって大阪まででてきたから京都にもどるの時間いるしって
明日も一緒だから、全然寂しくないもんって思って


なのに


外の駅の改札があるフロアに続くエスカレーターの裏側。
道路に面してて、車通りはあるけど人の群れからは死角になってる場所で
向き合う様に立った金次くんの身体が重なるほどに近くて、両手で握っていた紙袋が金次くんと私の足に当たってガサリと小さく音を立てた。

「なぁナマエ」

『ん』

耳元に寄せられた唇に名前を呼ばれて、プルッて小さく身体が震える。耳の先、耳たぶに唇が触れる。外だから寒いはずなのに触れられたとこがあつい。
ちゅぷって耳下の首筋に唇を当てられて、舌先で優しく嬲られてぞわりと背筋が伸びる。つめたい足のつま先に力が入る。チュッて可愛い音を立ててはなれて

「やっぱもう今日泊まろーぜ」

心臓がどくどくいう

一応遠征だから外泊はそもそもそんなによろしくない。でも今回は状況が状況だから、ちょっとぐらい好きにさせてよ何があるかわかんないんだしって感じで許容されそうな雰囲気だったから
明日くらい外泊してもいいよね?って認識だった。多分それは金次くんもそう思ってるだろう。金次くんには関係ないかもだけど、たぶん私が気にするからって明日1日だけ泊まろうって言ってくれたんだと思う。
だから、そんな中で二人揃って2日もいないって事は

きっとさすがに皆に知られてしまう


それでも、いいってことで


「いやか?」


そんな聞き方されたら


『いや、じゃない』


こう答えるしかなくて


「じゃあこれに着替えてこい」

手をクンッて優しく引かれて持っていた紙袋が揺れる。
さっき買ったワンピース。「あれ、かわいいな」金次くんがマネキンを指して一言呟いて、私もそちらに目をやると本当に可愛かった。綺麗なコートを纏った中に見えるアイボリーのワンピース。キュッとウエストマークされた王道の綺麗めなシルエット。繊細なレースが大人っぽくて綺麗で
「ナマエ好きそう」って一言に『うん。すき』って反射で答えたくらい。なんでわかったんだろうって嬉しくなって
でもすごい可愛いけど、結構キレイめだし
こんなの普通にただのお出かけじゃ着れないやつで、ちゃんと靴とかメイクとか髪とかアクセサリーとかトータルでしないとこの素敵なワンピースにまだ私は幼くて負けちゃうって
だからすごい好きだけど、実際買うのは……着ていく機会もないしって思ったのに
「着てみろよ」っていわれてほいほい着て試着室のカーテンを開ければ金次くんが目の前で待っててくれたことだけでドキドキしちゃって「かわいいじゃん」に顔真っ赤になって「俺が買う」の一言に
テンパり過ぎて『ダメッ』て言っちゃって、金次くんをおいやって自分で勢いで買ってしまったワンピース。

それを、いま?

「さすがに制服だとラブホはいれねーし」

今はタイツ履いてるし、靴もローファーだし
コートは制服用に買ったダークネイビーのシンプルなやつだし
メイクもしてないし
髪もそんなにセットできてなくて
せっかく綺麗なワンピースで、金次くんがかわいいって言ってくれたから。どうせならちゃんと大事に着たいって思うのに


それでも


いいやっておもうほど


『うん』


わたしは金次くんに絆されている











金次くんは「俺のは制服なんてわかんねーだろ」って自分だけそのまま制服でホテルに乗り込んで、来たことのない大阪のホテルのはずなのにこの前みたいに慣れてるようすで真っ直ぐに部屋の前まで足をすすめる。心臓がばくばくしてしかたがない。

だって、今日は

ガチャリとドアが開いて
金次くんに続いて中に入る。緊張して喉が渇く。せっかく着たワンピースだけど、皺になっても嫌だから早く脱ぎたい。お風呂にすぐ入るよね?なんて緊張してるわりにはそんなことが頭に過ぎって思考が散らかってる。

『んぅ、ふ』

ドアが閉まると同時に、いやまだ閉まりきってないくらい
ガバッて両手で強く引き寄せられて唇に齧り付くようにキスをされる。舌を捩じ込まれるみたいに唇を抉じ開けられて、開いたそばから舌を絡めとられて
そのままジュルッと舌を扱かれるように吸われる。
貪られるみたいなキスと、頬と腰を荒く掴むおっきな手に一瞬で身体が全部熱くて

子宮がきゅんきゅんする


『ぁ、きんじくん』

唇がはなれて金次くんと視線が絡まる。
グッて強めに引っ張られて、足が絡まりそうなくらいの勢いで部屋の中に踏み入って
その勢いでバフッてベッドに押し倒される。
いつもなんだかんだで優しい金次くんが、今日はちょっと荒々しいくらい強引で
ギシッて私を跨いで馬乗りになる金次くんにお腹の奥じんじんして

「ナマエ」

『ぁ、う』

ナマエって名前を呼ぶ声は優しいのに、頬に添えられた手はグッと力が入ってる。
親指が唇を割って歯茎をなぞって、ぞわぞわして緩く口が開く。
その隙間に金次くんの人差し指が入ってきて、わたしを暴くみたいに舌を撫でられる。ちょっと塩っぱい。ごつごつしてて、硬い指の皮膚にオトコを感じてしまう。

くちゅ、ぴちゃ

エッチな音が頭の中で響いて
脳みそとろんって溶けてるみたい
舌で金次くんの指を絡めて柔く吸って、指の股に舌を這わさせて
とろとろの顔で金次くんを見る。
チュポッて指が引き抜かれて、無意識に舌で指を引き止めるみたいに絡めようとした自分に気づいて、自身の厭らしさに胸がきゅってする。

「舌だせ」

金次くんに言われて、言われたとおりに
ゆっくり口をおっきく開いて舌を『んぁ』って差し出す。

「口あけてろよ」

また差し込まれた人差し指が、上顎を指先で優しくなでなでしてきて、ギシッてちっちゃくベッドが音を立てた。

「腰揺れてっぞ。くそエロいなオマエ」

口の端から唾液がたれて頬を伝う。

『ぁ、や』

口を開けとけって言葉を忠実に守って垂れる唾液なんかおかまいなしに、金次くんの指が動きやすいように口を開け続ける。


「口ん中指突っこまれて感じてんのかよ。まじでドMだな」

楽しそうに金次くんがそう言葉を吐き捨てて、それにまた頭がめろめろになる。
自分でもよくわかんないけど、だってなんだか

わたしが本当に金次くんの"物"になったみたいな気持ちになって

頭ぼーっとして、身体がじくじくして


金次くんがすきって思っちゃう



『はひ』

「あ?」

好きって言ったのに、口を開けたままで舌までだらしなく出してるこの口じゃあ上手に伝えられなかった。
全然伝わらないソレにじゃあいっぱい"好き"って言っても金次くんにバレないって逆にどきどきして

『はひ、はひはの』

すきって、すきなのって

金次くんがすきって

口に指を突っ込まれたまま馬鹿みたいに紡いだ。

「俺の指好きって?」

金次くんから発せられた"好き"にバレちゃったって心臓がギュッてして
でも指って思われたんだって、少し寂しくなって。でもバレてないならそれでもういいって思ったのに




「ああ、ナマエは俺が好きなんだもんな?」


金次くんに見おろされて

そんな言葉をぶつけられて

上顎撫で撫でされながら、反対の手の指がで私の右耳の穴に差し込まれる。耳の裏から頭皮をゆるく撫でられて
ぞくぞくしっぱなしで頭がおかしくなりそう。それでも口を閉じれなくて、歯を食いしばって逃すこともできないこのぞわぞわがどんどん大きくなって確実な快感として脳に刻まれる。

「大好きな俺に口ん中虐められて感じちゃう?」

『んぁ、う』


そうなの

大好きな金次くんに虐められてきもちいいの

金次くんに見られながら
ビクッて身体がおっきくはねて
お腹の奥がギュウッてつよくうねった



唾液でベチャベチャな指が引き抜かれて、クタッて体の力が抜ける。
とろんとした頭で金次くんにちゃんと伝えないとってだらしなく開いていた唇に力を込める。

『金次くん』

「ん?」

ちゅうって唇を一回食べられて、金次くんが私の言葉を待つ。

『あの、ね……今日はね』

じっと見つめられて恥ずかしくてたまらない。なんて言えばいいかぐちゃぐちゃで



『わたしを、金次くんにもらってほしいの』


蕩けた頭の中はぐるぐるして
最後までいいよって、言いたくて
でも恥ずかしい。それにいいよってなんか……上からっぽいかな?とか
じゃあなんていうの?とか
急にわかんなくなっちゃって
抽象的な表現をしてみたりして、金次くんの様子を窺う。

「俺の、モノになりてぇの?ナマエ」


『うん。金次くんのモノにして』


心臓ばくばく言ってる。
ずっと思ってた言葉を金次くんから引き出してもらって


「この状況で、んなこというってオマエ」


金次くんの瞳がギラギラしてる



「そんなに俺にめちゃくちゃにされてぇのかよ」


"めちゃくちゃ"にきゅうって心臓を掴まれたみたい


『ん』

金次くんの目を見ながら、こくん、って頷いて


「んじゃ遠慮なくめちゃくちゃ抱くから」


こころもからだも
ぐちゃぐちゃに掻き乱されて

すきって、ただそれだけでいっぱいになる。




せっかく買ったワンピースだったのに、まさかこんなに雑に脱ぎ散らかされるなんて
きっとワンピースもびっくりしてるに違いない。背中のファスナーに手をかけながら「しくった。脱がせにくい」だなんて言いながらも器用にシュルッて脱がせてきて、小さな椅子に放り投げるみたいにくたって掛かったコートの上にだらりとワンピースが適当に置かれた。

ブラははぎ取られたのに、ショーツとタイツはそのままだなんて、間抜けで恥ずかしい状況でベッドに転がされてて
金次くんは自分の制服をガバッて大胆に脱ぎだした。待っとくのもって思ってせめてタイツは自分で脱ごうって思ったのに

『ひっ』

足の間に割ってパンツ1枚になって陣取った金次くんが、太腿に口をつけてて

『な、にッ金次くん』

タイツの上からべろりと太腿の内側を舐め上げた。
今まで感じたことない感覚にぞわぞわして、お腹の奥きゅうってする。
こんな、恥ずかしすぎる

『ゃめ』

びちゃ、れろっていっぱい唾液を絡ませて舐める金次くんに
もうお腹痛いくらいエッチな気持ちが昂って
徐々に上がる位置に、ダメッて言わないといけないのに頭がぼんやりする

『きんじ、くん……ひゃぁ!』

タイツ越しにショーツを唇で啄むみたいに口付けられて顔が沸騰したみたいにあつい。
まだお風呂だって入ってないのにそんなとこダメ!

『やめ、そこ恥ずかしいからッ』

「あ?」

顔を埋めてベチャベチャと大事なとこを舐められて、金次くんの荒い息とじわりと滲む唾液にあったかくて恥ずかしい。
真冬とかそんなの関係ない。
汚いし、それにだって……今日はずっと金次くんとひっついてて
いっぱい好きって思って
明日金次くんとホテルで最後までって頭を過ぎって
デート中何回も、お腹じんじんしてた

さっきも口の中ぐちゃぐちゃにされて、エッチでたまらなくて気持ちよくて

だから


「すげーエロい匂いすっけど」

『ぁ……や』

金次くんが身体を起こして口元を手で拭う

「触ってほしかった?」


もう、泣いちゃいそうなくらいドキドキしてる



「パンストとかタイツとか定番だけど、まぁたしかにエロいよな」

金次くんがそんなことを言いながらガバッてタイツに手をかけて太腿まで下ろす。
タイツのなにがエロいの?って頭の中で金次くんの言葉を咀嚼して

「でもそれより普通にはやく直接触りてぇ」

タイツと素肌の間、太腿に潜り込んできた手が熱くて

「タイツがどうとかっつーか」

グッて太腿の肉を掴む指先にきゅんきゅんして


「ナマエがエロすぎてオマエならどんなんでもガン勃ちする」

ピトッて足に押し付けられた勃起した熱
パンツ越しでも固くてあつくて、グリグリッて押し付けられたら
お腹がじくじくして痛い。



「はッ、蕩けた顔してっけど。なに?今の言われて嬉しかった?」

『ふぁ』

するってタイツを引き抜きながら、顎を掬うように指先で持ち上げられて、喉を優しく撫でられて甘い声が漏れでる。
もう私の挙動の全部が金次くんにバレバレで
それがすごく恥ずかしいのに、なんでか嬉しくて胸がいっぱいで堪らない。

「オマエまじでかわいいな」

優しく喉を撫でられ続けて
頭のさきっちょからつま先まで痺れる

「あ、これも嬉しかったか?」

金次くんが意地悪な顔で笑ってて
もう全部とろとろで、きもちいいって嬉しいって好きって多分全部顔に出ちゃってる。

『んぁ!』

「こっちも嬉しいって言ってるもんな」

ショーツの上から指で溝を撫でられて腰が跳ねる。

「ぬるぬるだなぁナマエちゃん」

『ひゃ、ん』

ググッてお尻側から掴むみたいにおっきい手で太腿を開かされて、両方の親指がクロッチの脇を優しく撫でる。
グッて親指が皮膚に沈んで揉む様に動く。割れ目を開いたり閉じたりするように
それだけで子宮が収縮してるのがわかって
金次くんが欲しいって誘う様に腰が揺れて、入り口はひくひくしてる。
ショーツを隔ててるから、直接は見られてないのにダラダラと涎を垂らしただらしなさは絶対にバレてしまってる。そう思うともう頭おかしくなる。
一回だけなぞられた入り口が、もっと触って奥までちゃんと挿れてって我慢ができなくて
開いて、閉じてって

そのたびにクチュッて小さく音がする気がして

もう太腿ぷるぷる震えてる

『ぁ、う……金次くんっ』

太ももに触れた擽ったさに髪の毛だと気づいて
ひくつく入り口が歓喜して拾う熱に


『舐めちゃ、だめぇ』


はずかしい

「あ?なんで」

そこで喋んないで、はやく顔離してって思うのに全然話してくれなくて
グッて指で入り口を開いて舌を捩じ込むみたいにショーツの上から舐められる。

『せめて、お風呂はいってから』

「風呂でたらいっぱい舐めてってこと?ここ」

『んッ』

また意地悪なこと言ってるっておもうけど、もうそれでもいいからって目を合わせてコクコク頷く。それを金次くんはちゃんと見てたくせに、鼻先がツンツンッてクリトリスを掠めてビクッて身体がふるえる。
だから辞めてって言ってるのに全然離れてくれなくて


「わーったって、風呂のあとも今もいっぱい舐めてやっから。な?」

『ちがッ!ひゃぅ』

じゅるッてショーツ越しに唇でクリトリスを挟まれて舌で転がすように刺激される。
ビリビリきもちいいのに襲われて腰が痺れる。
金次くんの指がショーツを引っ掛けて、隙間から舌がべろりと溝を舐め上げて


『きた、ないからぁ、やめて』

泣きそうになりながら懇願したのに


「それがいいんだよ」

『ばかぁ、金次くんのへんたいッ』

恥ずかしくてすごい嫌なのに
どんどんお腹あつくてきもちよくて




「ばーかナマエだからだろうが」

『ッ』


もう、そんな言われちゃったら


『んんッ!』

柔らかい力の抜けた舌が被さるようにクリトリスを圧迫してゆっくり動く。
ビラビラの間まで丁寧に舐めるその動きに死にそうなくらい恥ずかしくて気持ちよくて



なにこれ


チュッチュッて優しく唇で挟まれてクリトリスを吸われる。
ビリビリッて強い快感が全身をかけめぐって


『あっ、や』


こんなの知らない


気持良すぎてわけがわからない

チュウッて吸われて、柔らかい舌で転がされてて
頭の中パチパチして
背中が浮いて身体から力が抜けない
気持良すぎて息もできない


『それッ、きもちぃ』

「んー」

咥えたまま金次くんが返事をして、逃げる腰を押さえつけるおっきな手にグッて力が入って指が食い込む。

『あ、も……く』

パチパチ弾ける感覚が早くなって頭の中が真っ白になる。
ググッて身体に力が入ってガクガクッて震えてとめられない

金次くんの唇がはなれて、やっと呼吸を再開できた。
ふうふうおっきく胸が上下する。

『ぁんッ』

ちゅぷって唾液絡めて太腿の内側を舐められてまたぞくぞくって身体が跳ねる。
お腹の奥きゅうきゅうしっぱなしで、呼吸もとぎれる。
ギシッてベッドをならして金次くんが距離を詰めて、ベチャベチャなショーツを剥ぎ取られて

「すげーとろとろ」

『ぁ、ひゃあ』

人差し指で入り口の縁をゆっくり撫でられて、もうたまらない。


「で?どーする?」

『ぁっ、ん』

どーするってなに?って頭ん中で考えながらも、そんなの挿れてほしいに決まってるって答えはわかりきってて

『……れて』

「ん?」


声が、ふるえる


『挿れて』

金次くんがギラギラしてる目を細めて、その色っぽさにくらくらする

「どこに?なにを?」

どくんって心臓が痛くて


『ナカ』

「ん?」

ゆっくり指先を持っていって、金次くんのおちんちんにあてがう

『ナカに、金次くんの』

はずかしいのに
すごいえっちなきぶんで

かたくて
あついのを指先で撫でて感じて



『金次くんのおちんちんほしい』


すごいすきっておもっちゃう


『奥、いっぱいおちんちんで撫で撫でして』


子宮がきゅんきゅんして
自分でもあざといってわかるくらいの甘えた雌の声で

金次くんを誘って


「いいぜいっぱいちんこで撫で撫でしてやるよ」

いいこいいこって頭を撫でられて
とろんってきもちいい
頭を撫でる金次くんの手首にすきすきってチュッチュッてキスして

「……だろ」

『ぇ』

金次くんがぽつりと呟いた言葉が聞き取れなくて聞き返すけど

「んー?おら、足持ってひらいとけ」

金次くんがいつの間にか枕元に転がしてたコンドームに手を伸ばしてる間に
太腿の裏に手を回して、恥ずかしながらもはやく金次くんがほしいって気持ちのほうが勝って足を開く。


「ナマエ」

呼吸の仕方も忘れるくらいにどきどきして
ピトッて入り口に当てられる熱
クチュッて滑ってクリトリスを撫でられて、もう本当に脳みそが溶けて流れてしまいそう。
挿れてって腰が揺れて

『きんじ、くん。挿れて』

ちっちゃい声でおねだりして

『んッ』

ぐぷって埋まるさきっちょに息が止まって
もうぐちょぐちょのぐすぐずで、受け入れる準備は万全なのに流石に初めてだからか痛みはないけど、なんだか中から持ち上げられるみたいな圧に眉に力が入る。

「いたくねぇ?」

『いたく、ない……けど。わかんない。苦しい、かも』

なんて形容したらいいかわかんないけど
ぞりぞりってはいってくるおちんちんに
ぞくぞくして、もう頭がめろめろで
でもやっぱりちょっと苦しい。息が止まる。
グッて奥まで
金次くんの腰がぐぐっと差し込むみたいにゆっくり動いてとまる。重なった肌に奥まで入ったんだって認識して

なんかもう

金次くんのおちんちんで奥までいっぱいハメてもらえたんだって思うだけで
子宮が喜んできゅうきゅううねる


「くっ、ナマエ力抜け」

金次くんが肘をついて身体を倒してチュウッてキスされて、ゆっくりお互いに舌を絡める。髪の毛優しく撫でられて、フッて顔に入ってた力が抜ける。
太腿で金次くんの身体を挟んで、素肌が擦れるのがあったかくてきもちいい。


「やばい」

耳元で金次くんの吐息混じりの声にまた身体が甘く痺れてきゅんきゅんする

「ナマエんナカあったかくて、くそきもちい」

ガバッて金次くんが身体を起こして

「やべぇ、腰……とめてらんねぇ」

グッて眉間に皺を寄せた金次くんの腰がゆらゆら揺れて

『だい、じょうぶだよ。うごいて』

痛くないから、好きにしてって
金次くんの好きなようにめちゃくちゃにしてほしいって思っちゃう

はあはあって息荒くなってる

ぱちゅぱちゅってエッチな音響いて

奥優しく揺らすみたいに動かされて

じわって気持ちいい波が広がる

「ぬるぬるぐちょぐちょですげぇきもちい」

金次くんきもちいいんだってもう嬉しすぎて

「ポルチオコリコリあたって、ちんこやばい」


優しく甘やかすみたいに、奥おちんちんで撫で撫でされて
きもちいいの、ぐわぐわひろがって
頭の後ろっかわ脳みそからブワッて気持ちいいので体全部を満たさそうと、いまにもあふれだしそうで

視界が揺れて、ゆれて

ぐわんぐわん

頭の中まわる

『きもちぃ』

「んッ」


『きんじくん、きもひい』

「おれもッきもちーぜ」


ああもうやばい


ほんとに


こんなの


もう、戻れないって理解させられる


『あッ、ん』



ブワッて溢れたおっきな快感の波に


『んんんッー!』


頭から足の先まで身体ぜんぶ

こころごとぜんぶ


きもちいいので攫われて


金次くんがすき

きもちいい


もう、頭の中幸せで染まる



「も、ムリだ」

『ぁッう』

ガシッてポルチオアクメで跳ねる腰を掴まれて


ぱちゅぐちゅって

甘やかしから一転して
おちんちんを打ち付けられて
身体が揺れて頭痺れてきもちいいのが途切れない。

『まっ、あ』

「わりぃムリ。やべぇきもちよすぎッ」

はぁはあって腰を振る金次くんにギュンギュンにときめいて

金次くんが気持ちよくなってる
金次くんのおちんちんすごい
あついのでポルチオ、ごちゅごちゅ

あ、やばい

おく、ポルチオ金次くんのおちんちんでごちゅごちゅされてる

『きんじ、く』

めちゃきもちいポルチオアクメの幸せとろとろのまま
いっぱいごちゅごちゅされて、きもちいいのおわんない

「ナマエッ」

エッチな声でナマエって呼ばれて
もうずっとイキっぱなしできもちよすぎて


しあわせすぎて



あたまめろめろのとろとろが煮詰まって


トんじゃう












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