王様ランキング

5


※流れ上捏造、ほぼオリキャラしかない
。そしてかなり端折ってます。



「あんた、馬に乗れないのか?」

『ぁ……乗れません』

「はぁー、まぁそうか」

申し訳なくなり下を向く。やはり私じゃないほうがと思って胸の前でギュッと手を握る。

「馬に慣れてないこの人の為にゆっくりでいいと言われてるんだ。こっちもその方が楽できていいだろう」

「たしかにな。まぁ、しばらくよろしくな」

『はい。よろしくお願いします』


目の前の二人の兵と2頭の馬を見て頑張ってついていかなくてはと気合を入れる。


アピスから、正確に言えばダイダ王にだけれど任務を託された。
ボッジ様が冥府で修行中とのことで、それをお迎えに行く任務だ。冥府までは距離があるので、その中間地点のわりと栄えてる街まで移動してそこでボッジ様をお迎えする事になっているらしい。
私は手話もできるし、ダイダ様の側にいたので顔も知られているから、いかつい兵士だけよりかはボッジ様も安心するだろう。と言う事で私も共に。と言われた。

馬も乗れないし、国から出たこともないから少し不安だけれど与えられた以上はしっかりと仕事をしなくては。と気合を入れる。
日数も多めに見積っているから無理せずにゆっくり行ってくれ。とアピスが私の頬を撫でながら言って
本当に彼は私に優しいなと自惚れる。
日が出て直ぐの時間。それを私に伝えて、いかなくてはならないから。と部屋を出て行こうとする彼に
ちゃんと休みは取れてるのか。とかご飯食べてね!とか口煩いくらいに言ってしまった。困った様に眉を下げて、「私の成すべきことをするだけだから」と彼は言ったけれど

もっと彼には自分を大事にして欲しい。

優しく髪を撫でられて、いつもとは逆のまだ寝間着姿の私に彼はキスを落として部屋を出ていった。



アピスが頑張っているのだから

私もやるべき事をしなければ。





『うう……』

「大丈夫か?」

『大丈夫ですっ』

水を飲みながら久しぶりの地面に一息つく。お尻も痛いし、太もももプルプルする。馬に乗るのはこんなに大変なのかと。まぁ私は後ろで捕まっているだけなんだけど。
女の格好は何かと不都合だからと、とりあえず兵士と合わせて男の格好をしている。上から外套を羽織って、纏めた髪を隠すようにフードを被れば。見た目は小柄な少年のようで、わりと上手いこと誤魔化せてるとは思うけれど
誤魔化せたところでこのざまじゃあ情けない。体力が全然ないなと。隣でピンピンどころか物足りなさそうにしている二人を見てやはり兵士は凄いのだと感心する。

「少し歩くか。馬に乗るほうがしんどそうだもんな」

「そうだな」

『すみません、私のせいで』

「いやいや、ゆっくり行けって言われてるから。俺らも旅行気分でいこー」

「お前本当お気楽だな」

鼻歌を歌いながら馬を引いて歩き出す彼らの後ろを慌ててついていく。一緒に来てくれたのが彼らでよかった。
アピスが心配ないように実力がある兵をと、直々に彼らに任務を伝えてくれたようだった。彼らも「次期四天王は俺だな」なんておちゃらけながらも尊敬するアピス様からの任務だ!と気合いが入っている。

当たり前だけれど、本当にアピスは強いのだな。と自分の事のように嬉しい。

そういえば私はあまり彼の戦っている姿を見たことがないなと、道中彼らに四天王の戦いぶりを聞きながらゆっくりと進んでいった。


彼らはなるべく野営をしなくてもいいようにと慣れるまでは馬と徒歩を上手に使って移動をしてくれた。そのおかげでほとんど野営をせずに済んでいるし、思っていたよりもはやく落ち合う予定の街まで来てしまった。多めに渡されたお金から宿代を出す。
ボッジ様が来られるまでここの街に滞在することになる。ボッジ様の移動の日数もあるから数日間はここに泊まるかもしれないと言われていたので、とりあえず街をブラブラしたりと各々で時間を潰す。

そんな中私はひとり部屋でアピスから受け取った袋をあけてる。「必要になるかもしれないから」と貰ったそれを城から出てすぐに覗いたら、見た事もない量の金貨が入っていて怖くなってすぐに閉まってしまった。
ベッドに腰掛けてこっそりとそれを開く


『なんでこんなに……』

逆にもってるの怖いよ。と私の給料の何ヶ月分なんだろうかと思う。落ち着かなくてとりあえず3分の1を内ポケットに、残りを荷物のバッグになおした。これでまだどっちか何かあって盗られてしまっても(いや、そんな事あってはならないけれど万が一)大丈夫だろう。
任務で渡されているお金とは別にこんなに渡す必要はないのに、アピスは心配症なのかな。愛しい彼を思って早く会いたいなと想いを馳せる。

アピスはいま元気だろうか

無理をしていないだろうか


ぼやっと彼の事ばかりを考えていると、ドアの外がバタバタと騒がしい。夕食の時間だろうか、と今何時頃だろうかと窓から空を見る。まだ日が明るいから夕暮れまで少し時間はありそう。

「おいっ!あけるぞ!」

ドンドンッと強めにドアをノックされると同時に焦ったような声をかけられて、いきなりのことに身体がびくりと跳ねる。

『あ、はいっ!』

バンッと強くドアが開いたと思ったら、険しい顔をした彼らがすぐに口を開いた。

「すぐ城に戻る!」

『え』

ボッジ様は?

「隊から連絡があって、城が何者かに占拠された。だから俺達は今すぐ城に戻る」

『え……』

強く早い口調で言われた言葉を咀嚼するには時間がかかって、疑問で頭がいっぱいになる。連絡?占拠……言葉を何とか頭の中で繰り返してやっと理解が追いつく。

『なんで、そんな連絡って』

「とりあえずすぐにもどる。あんたはここに残ってていい」

『え』

「状況がわからない以上、あんたは連れて帰れない」

そうか、と。城が占拠ってことは戻ってもただのメイドにはどうすることもできない、それにボッジ様のこともあるし。

「王も拘束されている様だから、戻っても危険なだけかもしれない」


王が拘束


アピスは?


彼は無事なの?


どくりと、心臓がなる。ざわざわと、嫌な予感がして喉が詰まる。

『わたしも、帰らせてください』

「は?」

「おい」


もしも、最悪の事態が起こったら?ここに残ったとしたら私は一生自分を怨むに違いない。

『大切な人がいるんです。だから』


「………」


足手まといなのはわかっている。それでもわがままでも、なんと思われようと帰りたい。

沈黙が部屋に響く


「はぁ……途中で置いていけないから、へばっても縛って連れて行くぞ」

『はいっ!』

よかった。とりあえずは一緒に帰れる。

「今からすぐ出る。この辺はまだ平坦で道も整ってる。夜通し走るぞ」

『はい』

「何処かで野営も必要になる。でもあんたにとっては一瞬しか休憩もないぞ。構わないか」

『はい』

ギュッと拳を握る。


「はぁー、まあボッジ様のお迎えの件は何とかなるだろう。とりあえず宿の主人に手紙を預けて……それで事情を把握できればわかってくださるはずだ」

任務を放棄するなど、罰を受けるかもしれないけれど
もうそれでもいい。メイドを辞めさせられるかもしれないけれど、それより大事なものがあるから。申し訳ありません。と心の中で深く謝罪をして、私達は急いで宿を発った。










僅かな仮眠だけで後はずっと馬で走りっぱなしだ。落っこちないように手を紐で彼の腰元に結びつけている。もう身体の感覚はあんまりないし、きっと太ももだとかお尻の皮なんかも擦り剥けている。それでも痛みなんて感じないふりをして歯を食いしばってひたすらに耐える。ただただ乗せられている私は祈るしかない。

みんなが無事でありますようにと



「おいっ!大丈夫か!」

『ぁ……』

ひたすらに耐えていると、急な大声にびっくりして顔を上げると目の前に人々が倒れている。やっと国に帰れたと思えばこの惨状に思わず息を呑んで体の疲れも忘れてしまう。
腕の紐を解いて馬からゆっくりとおりる。踏ん張りが効かず思わずよろけてしまった。そのまま膝をついて目の前に横たわる人を見ると血が流れていて、慌ててバッグから止血できる布があった筈とそれを取り出す。


「なに!?みな一人にやられたのか!?で、そいつはどこへ行った」

「それが、ボッジ様が連れてきてくれた兵士の一人が縛り上げてくれた。多分それから城の方に」

「ボッジ様が?」


え……どういうこと


私達3人の空気が凍ったように止まる。


知らせを受けて私達を無視してそのまま国に戻られたのか。でも私達もすぐにあの宿を発ったのだ。どうしてボッジ様のほうがはやくついたのだろう。それに兵って……たしかに見たことのない鎧を着た兵士が倒れている。とりあえずと目の前の兵士の止血を急ぐ。

「……ッ、とにかく俺は城に行く。お前はここに残ってい兵達の様子を見ててくれ」

『はい』


慌てて二人は馬を出して城へと駆けていった。その後ろ姿を眺めるだけしかできない。
アピスは無事なのだろうか。今更じくじくと身体全部が痛い。私が城に行っても何も出来ない。なんなら殺されてしまうかもしれない。せめて無事か如何かだけでも確認して……

『あの、メイド達はどうなりましたか』

「あ?……あんた女か!?」

『ぁ、城のメイドです。訳あって彼らと共にしていました』

「メイドも兵も城をでろと。それで家を守れとしか言われなかった………だからメイドも無事だろう」

『そう、ですか……』

メイドの中には昔の戦争で家を無くしたものもいる。皆無事だろうかと、そして彼はと

『あの……四天王は…、』

「あッ!!イテッ!!」


いきなり目の前の兵が飛び起きてびっくりする。

「あいつらに伝えてないっ」

『え、何をですか……』



「アピス様がそいつらを引き入れたんだ」


『え』



そいつら?



「魔物を、引き連れて……アピス様がッ」


いみがわからない

アピスが?

だって、彼がそんな事をする理由がない


「あの人が裏切ったんだッ」






そんなはずない



目の前が真っ白になる


耐えていた痛み全部がまるごと襲いかかったように
身体全部が引き裂かれ悲鳴をあげるように痛い



きっと何かの間違いだと




最後に見た

アピスは


どんな顔をしてたっけ



思い出せない








※ここでいったんアニメにあわせてしばらく連載をおやすみさせていただきます。
こちらでは完結させるべく執筆は続けますが、一応アニメのアピスを見届けてから最後はアップさせて頂きたいです。


しばしおまちください。
皆でアニメも楽しみましょう。それではここまで読んで頂いてありがとうございました。



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