「3回エッチしなさい。これが課題。」
ぶわぁっと脳みそが沸騰しそうなくらい顔が熱い。
『え、エッ、あ。え、、。』
「ナマエちゃんには、色んなことを教えてあげたんだけど、やっぱり実践が1番じゃない?」
『じっせん……。』
「相手は誰でもいいわよ。」
『えっ、誰でもいいんですか?』
「ええ、3回おんなじ相手でも、違う相手でもいいわ。ナマエちゃんは真面目で初だから、まぁそこも可愛いんだけどね。でも、やっぱりセックスほど欲望まみれるものはないわ。悪魔らしく、ね。」
「ナマエ。あなたは自分の欲望と向き合うべきだわ。そうすればもっと素敵になれる。」
女の私ですらクラクラするほどに色気たっぷりにアム様はそう言った。
どうしよう。いや、課題と言っても別にこなさないとアム様に酷いことをされる。とかではない。 多分うじうじと何もしない私を無理矢理動かすためにこういう方法にしたのだろう。 悪魔なのに、好きな人にアピールも出来ないなんて、私はいままでアム様に何を教わってきたのだろう。 でも、せっ、セックスって。 キスだってしたことないし、なんなら手だって繋いだことないのに!!実践練習はアム様相手だったし。 あ、ジャズくんに最初にあった時に手を引いてもらったけど…。 うー……誰でもいいって、そんなの
アム様との相談?も終えて、なかなか精神錯乱中のためカフェに入って落ち着かせる。 普段あまり頼まないような、クリームもりもりのフルーツ魔茶とやらを飲んでみて気を紛らわせる。 カフェの外をふと見るとキャッキャと同じ年頃の男女が楽しそうに腕を組んで歩いている。 私もあんなふうにお出かけとかしてみたいなぁ。付き合うって、どんな感じなのかな。 ボーッとガラス越しに道行く人を見る。
人混みの中に、赤い瞳が飛び込んできた。 あれ?もしかしてジャズくん? 休日にジャズくん見れるなんて!と喜んだのも一瞬だった。
ジャズくんの隣に女の人がいる。
しかも美人な年上のお姉さん。て感じの人だ。ギュウゥウ!と心臓が鷲掴みされたように痛い。呼吸の仕方を忘れたかのように、苦しくて身体が重い。 よくみたらジャズくんの前に、多分問題児クラスのリードくん?いて、彼もまた違う綺麗めなお姉さんと会話している。
もしかしてサバト!?
見たくないけど、どうしても目で追ってしまう。 別に腕を組んでるとか、手を繋いでるとかじゃないみたい。ジャズくんはポケットに手を入れてるし ちょっと安心したのに、慌てたように顔を赤くしながらジャズくんが笑ってそれを見たお姉さんが綺麗に笑ってジャズくんの腕をつかんで……
やだ。彼に触らないで。
心臓は痛いままで、バクバクと脈打つ音が聞こえる。 楽しそうに4人はカフェの前を通り過ぎていった。
綺麗な人だった。私みたいな愛嬌で女の子らしさを補っているような紛い物とは違う。 バッチリメイクしてて、切れ長の目が色っぽくて睫毛はクルンとこれでもかって天まで伸びてた。 ミニのスカートから伸びる太ももは細くてすらっと長くて、高いピンヒールを履いて背筋がピンとしてた。 赤い唇にグロスがテラテラとひかってて
私とはまるで正反対だ。
ジャズくんは大人っぽいから、もしかしたらああいったタイプが好きなのかもしれない。 目頭が熱い。なのに身体は凍りついたように冷え切っていて暫くそこから動けなかった。
あの赤いテラテラと厭らしく誘うような唇と 彼はキスをするのだろうか?
嫌だ。
ジャズくんのおっきい身体でギュッとして 甘い声で名前を呼んでほしい。 あの爽やかで甘い香りにつつまれて いっぱいキスして 長くて綺麗なあの指で私に触れて、そのままナカに埋めてほしい。 そしてそのまま………
私、ジャズくんが欲しい。
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