2重ダンジョンと彼女の決意






◇原作の神殿二重ダンジョンに同行した話。
◇たまには真面目に下ネタなし。









私は死なない。死にたくない。
だから絶対死んでやるもんか。


「ミョウジハンター!!!!」

『わかってますっ!!』


回復が追いつかない。二重ダンジョン。ハンタースにまで応援を頼んで
私がいるのにハンターを死なせるわけにはいかない。

他のハンターを回復しても石像が早すぎて攻撃を躱しきれない。ただでさえ私も攻撃を躱しながらの回復。
集中してるつもりだけど、間に合わないっ!他のヒーラーもやられてしまった。

「なかなか人間もしぶといと思えば…ああ、あなたでしたか。」

でかい石像と目が合う。

「このくらいは予想の範囲内です。」

ドゴォオッ!!!!

「ミョウジハンター!!!」

ニイイッと笑う石像に指を刺されたと思ったら、次の瞬間身体が串刺しにされた

『っ!!!!!』


声も出ない。

「おや、本当にしぶといですね。」


自分の身体に身体強化と常に微弱回復を掛けていたおかげで即死は免れた。わずかでも息があれば回復できる。
S級ヒーラー舐めんな!
串刺し?絶対死ぬもんか!

石像が集中して私に襲いかかる。
なんとか攻撃をかわす。かわしきれない分は回復しまくって死なないことに集中する。
最上代表が援護してくれるけどなかなか倒せない。犬飼課長も必死で石像の動きをとめる。
躱しながら、できる限り他のハンターの回復も忘れない
やばいやばいやばい。消耗が激しすぎる!
ヒーラー狙ってきてんじゃねーよ!

でも死ねない!
死んだら駄目だ。
死んだらまた、大虎さんが傷ついてしまう。美濃部ハンターの話を黒須ハンターに聞いた。
絶対に死ぬわけにはいかない。
レイドでどんな事があっても死なないように。どうすればいいかずっと考えてた。

躱して、かわして、致命傷以外の傷は後回し、ギリギリだ…倒さないと生きて帰れないっ。

限界オーバーまで強化して地面を蹴る
ここだっ!!!

『おらぁあぁっ!!!』

石像を殴りつける瞬間
世界から色が消えた

「ミョウジっ!!!!」

拳は届かなかった

囲んだ石像の槍が何本も身体を穿いて


ああ、これは……
小さく私の魔力が揺らいだ

「さぁ、皆さん。続きをしましょうか。」

石像が笑う


世界が真っ暗だ
大虎さんが……、心配しちゃうな…。
ごめん、な、さい。


ピキッと割れる音がきこえて
私は世界にさよならを告げた。












いきてる………?

泥の中から起き上がるような重たさが憑き纏うなか
ゆっくりと瞼を開ける。

『ぁー……。』

とりあえず声は出る。手を握ろうとするけど、指を動かすのすら重だるい。
ベッドに寝ているようなので視線だけ動かして周りを見る

『病院……。』

人差し指にナースコールのコードが触れているのがわかって、眠たいけどここでまた寝たら犬飼課長に怒られそうだしなぁ
ゆっくりと手を動かしてボタンを押した


犬飼課長がきてくれて、あの後のダンジョンで起こったことを説明してくれた。自分の力不足が悔しくてたまらない。思わず拳に力が入る。
「ミョウジハンターがいなければ、もっと死者が出ていたはずです。」そう言ってはもらったものの、ヒーラーがやられてはいけないのに…もっと考えないと。



『あの…私のことは………。』

「容態は完全に伏せています。ただ、面会禁止にしていたら白川社長が暴れました。」

『す、すみません。』

「いえ。」

とにかく連絡しなければ、やばい…絶対めっちゃ心配させてる。
退院してもいいとの事だったので、大虎さんに電話をして病院を出る。「迎えに行く。」とかなり低くて静かな声で言われたものの、犬飼課長がいるので送ってもらうと言うと家に行くからと言われてしまった。
そりゃそうだ。

絶対に死にたくなくて、結果こうして生きているものの。私のした事は実験のような方法でしかなくて大虎さんには伝えてなかったから
かなり心配かけたに違いない。

暇さえあれば報酬の殆どを注ぎ込んだ媒体に魔力をため続けて
絶対に死なないように、なんでもいいから縋りついて
あがいていた結果今生きてるみたいだ。
あの時聞こえた小さな割れるような音は媒体にしていた石が砕けた音だったようだ。
成功すれば身体さえ安全なところに置いてくれれば回復できると思うので息が止まってても少し様子を見てほしい。と犬飼課長に伝えていたので
ああやって病院で寝ていたのだろう。
「ダンジョンを出る時には呼吸はしていたので安心しました。」犬飼課長が苦しそうに顔を歪めて話してくれた。
生きることにしがみついてよかった。


ピンポーン

玄関のチャイムがなる。大虎さんが来たみたいだ。

ガチャリとドアを開けて

『大虎さん………。』

「心配した……。」

開けるやいなやガバッと抱き締められて
苦しいくらいにギュウゥと締められる

『心配かけてごめんなさい。』

「よかった……。無事で、ほんとによかった。」

震える大虎さんの大きな身体をそっと抱きしめ返した。

『わたし、絶対死にません。』

「あぁ……。」

『大虎さんも死なせません。』

「ああ。」




ググっとさらに抱きしめられる力が強くなる。



「ナマエ……、好きだ。」


『っ、はい。』


いつも、私が好きって言わないと
好きって大虎さんは言わないのに

ギュッと大虎さんの身体を強く抱きしめる。


『大虎さん、好きです。』

「ああ、知ってる。」

『へへ、ずっと好きです。』

「ああ。」



死なない覚悟を強くもって

大虎さんへの愛としたい。







〈あとがき〉


たまにはエロなし。
白川社長は存在がエロいので、すぐエロに走らせちゃうんですけど、今回は珍しくちょっと真面目に。

連載再開しましたねー!でも白川社長が出てこないし、出てきても噛ませ犬化する未来しか見えない気がするので、適当に読んでます。笑
白川社長いっぱい出てきて、お願い。あわよくばかっこいいとこみせて。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。











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