ペダル | ナノ
泉田くんと真波くん


優しい泉田くん


「あ、泉田くん!今日も早いね。一番乗りだよ」
「こんにちは。日向さんこそお早いじゃないですか。一番乗りは僕じゃありませんよ」
「え?じゃあ誰が一番乗りなの?」
「日向さんに決まってますよ」
「自分のことカウントしてなかった…」
「誰よりも早く部活に来て、色々準備していてくれて、本当に尊敬します」
「そ、そんな…泉田くんだってたくさん努力してて、私も尊敬してるよ!泉田くんには叶いません!」
「僕の方が叶いません」
「むぅ、折れない…」
「はは、すみません。あ、それ持ちますよ。無理しちゃダメですからね」
「わっ…ありがとう。やっぱり泉田くんは優しいなぁ、」
「そんなことないですよ。俺にとっては日向さんの方が優しいと思います」
「えー、泉田くんの方が…ってこれじゃあさっきと同じになっちゃうね」
「そうですね。でもこのやり取り楽しくてつい…」
「本当?私も楽しくてついついやっちゃうんだぁ、」
「日向さん、何だか元気ないですね」
「泉田くん鋭いなぁ。うん、こうやってみんなが助けてくれるのは嬉しいんだ。でも、私、助けてもらってばっかだなって…」
「日向さん…」
「私の体を気遣ってくれてるって分かってるんだけど、私ね不安になるの。ここにいていいのかなって」
「それは愚問です」
「えっ…?」
「僕達は、貴方にいてほしい。というか貴方がいないとダメなんです」
「泉田くん、」
「貴方の優れた洞察力も情報量も勿論ですが、日向さんという人物が何より必要なんですよ」
「ふふ…恥ずかしいな」
「僕だけではないですが、僕は日向さんが大好きなんです。だからそんなこと言わないで下さい」
「私も、可愛くて優しくて努力家の泉田くん大好き」
「ありがとうございます。でも可愛いって素直に喜べません…」
「可愛い後輩さんです」
「(うーん、まぁいいか…後で皆さんに怒られるだろうなぁ)」





遅刻魔の真波くん


「日向さーん!」
「あっ、遅刻だよ。真波くん」
「えへへ、ごめんなさい。坂があったからつい」
「もう、坂が好きなのは良いんだけど、福富くんに怒られちゃうから程々にね」
「はーい!あー、日向さんまた重たい物1人で持ってるー!」
「えぇ、これは私の仕事だもん」
「誰でもいいから頼めって言われてるのに〜。福富さんに怒られちゃいますよ?」
「だ、大丈夫だよ。私マネージャーだし、このくらい、」
「ほら貸して下さい」
「あっ…」
「無理はダメですよ?」
「で、でも…選手にこんなことさせられないよ」
「いいですって」
「ダメだよ…、私、役に立ちたいのに…何も出来ないから、これくらい、」
「何言ってるんですか?」
「えっ…だ、だから、」
「日向さん、自分がどれだけみんなに影響力があるか分かってないんだ」
「影響力?」
「俺もみんなも日向さんがいないとダメになっちゃったんです。役に立つとかそんな物みたいな存在じゃなくて、いてくれなきゃ困るんです」
「真波くん、」
「知ってます?日向さんがいない日、福富さんはしょんぼりしてるし、荒北さんは不機嫌だし、新開さんはパワーバーをボロボロ溢すし、東堂さんなんか鏡に向かって日向さん呼び続けるんですよ。泉田さんは普通を装ってますよ。心配してるのバレバレですけど」
「…ふふ、可笑しいね」
「でしょ?俺も、日向さんいないと部活楽しくないんです。大好きな坂を登っていても日向さんが見ていてくれないと、嫌です」
「真波くん…」
「だからそんなこと言わないで下さい。俺、日向さん大好きなんですから」
「…ありがとう。私も真波くん大好きだよ」
「じゃあチューしていいですか?」
「こら、冗談言わない」
「(しょんぼり)」
「そ、そんな目で見られても…」
「ほっぺで我慢しますから」
「東堂くんとかなら怒らないんじゃない?」
「えー気持ち悪いです」
「(ハッキリ言った…)」
「ね、お願い日向さん」
「真波、遅刻した罰にグラウンドを走ってこい」
「あ、福富くん」
「…余計なことは言うな。聞こえてたぞ」
「…はーい」


「(ちぇ、邪魔されちゃった)」

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