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箱学3年とお姫様大作戦1



「ペース落ちてるよ!あと1周踏ん張って!」


選手の記録を1つ1つ記してあるノートにお気に入りのボールペンを片手に持ち、1人1人に的確な指示を送っていた。

しかし、ふと練習場の外を眺めると化粧をし、女の子らしい服を着て楽しく会話をしている同学年くらいの女の子達が目に入った。それはとても可愛らしくて思わず目を奪われる。

そして、自分の姿を見た。
薄汚れたジャージに適当にくくっている髪の毛。化粧なんてまるでしたことがない顔を一撫でし、再び自転車に乗る選手達へと視線を変えた。


彼らがそんな彼女に気付かないわけはあるまい。そうしてアクションが起きたのは練習後のことだった。


「日向ちゃん先ほどはあの女子達を見ていたようだね」
「えっ…!そ、そんなことないよ」
「嘘吐かない。俺達ちゃーんと見てたんだから」
「見てたって言ってもチラッとだよ。可愛いなって」
「ハァ?日向チャン、あれどう見ても化粧してるから、」
「靖友、それは言うな」
「日向はいつもジャージで俺達のサポートをしてくれている。練習が多くても何も言わず。感謝している」
「だが日向ちゃんは女の子だ。たまにはああいった格好もしたいだろう?」
「私はそんなっ…!」
「あっ、責めてるわけじゃないぜ。ただいつもお世話になってるから知りたくて」
「…言いにくいだろォ」
「では俺達から」


4人は顔を合わせてコクコク頷いた。彼女は不思議そうに首を傾げていた。


「俺達は日向ちゃんをプロデュースしたいと考えているのだ!」
「プロデュース…?」
「うん。日向ちゃんをとびきりのお姫様にするぜ」
「まァ、あれだ。いつもの礼ってやつだヨ」
「これくらいしか出来ない俺達だが、やらせてくれ」
「みんな…」
「では急いで準備せねばならんな!」
「明日休みだし、丁度いいね。やろうか」
「休みにやんのかヨ…、ちっ、しょうがねーな!」
「後輩達は呼んだ方がいいか?」
「呼ばなくていいぞフク!」
「しかし、」
「俺達だけでいいから福ちゃん!」
「そ、そうか」
「可愛いおめさんは俺達だけ見れればいいんだよ。あいつらには写真でも見せとけばいいだろ?」
「うむ。真波と黒田が怒りそうだな…、あの辺りは恐ろしいぞ」
「バァカ!!ンなの怒らせときゃいいンだヨ!!」
「そういうものなのか…」
「寿一は優しいなぁ」




こうして彼女のためのお姫様大作戦(ネーミングセンスは無視)が決行されるのであった。後輩達には内緒である。




続きます

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