ペダル | ナノ
箱学2年と大好きな先輩

昼休み中、彼女は見知った顔を中庭で見つけた。向こうは気が付いていないようなので、こっそりとその相手に近づく。



「黒田くん」
「うわっ!?」
「きゃわ…!」


自分が声をかけたのに予想以上に相手が驚いたもので、こちらとしても声をあげてしまう。


「びっくりしたぁ、」
「え、あ…日向さん!すみません、何か」
「ううん。私が突然驚かせちゃったから…、ごめんね」
「いえ、謝らないで下さい」
「黒田くん優しいねぇ」
「それは…、その日向さんだけと言うか…その…」
「黒田くん?」
「い、いえ!何でもありません!えっと、日向さんはこんなところで何をしているんですか?」
「飲み物買いに来たら黒田くん見つけて」
「え…、それでわざわざ俺のところまで来てくれたんですか?」
「うん、そうだよ」
「(ま、まじで…!?日向さんが俺に会いにとか…!嬉しすぎる!)」
「おーい、黒田くーん?」
「ハッ…!えっと、お昼途中なのに戻らなくてもいいんですか?」
「でも、もう少しお話したいからいいの」
「友達に悪いですね(お話したいとかヤバい嬉しい…!)」
「大丈夫だよ。福富くんなら後輩とのコミュニケーションは大事だって言うと思うし」
「え…昼飯、福富さんと食べてるんですか?」
「うん。いつもじゃないけど…、今日は3年のみんなと」
「…羨ましい」
「えっ?」
「あ、何でもないです」
「黒田くんは1人?」
「いえ、塔一郎が今昼飯買いに行ってて、葦木場は〜…どこだ…?もうすぐ来ると思うんですけど」
「お待たせユキ。あれ…?日向さん。こんにちは」
「あっ!泉田くんだぁ。こんにちは」
「あぁ、走ってきたらダメですよ。いつも言ってるじゃないですか」
「えへへ、はーい」
「(塔一郎…、タイミング良く来やがって…!)」
「ユキちゃ〜ん…ってあれ?日向さんだ」
「葦木場くん。うわわ、すごい量!いっぱい食べるね」
「最近、すごくお腹すくんですよ」
「練習をたくさんしてる証拠だよ。みんな本当にすごいよ」
「ううん。日向さんのおかげで練習たくさん出来てるんです。前まで洗濯とかやらされててし…」
「僕も日向さんに色々助けられて今があると思ってます」
「お、俺も日向さんのおかげで本当に色々見つけることが出来ました」
「や、やだなぁ。照れちゃうよ…、」


ほのぼのとしている時、近くの渡り廊下から荒々しい声と落ち着いた声が聞こえた。


「日向チャン。昼終わるヨ。ナァニしてんのォ?」
「お、何か珍しい面々だな」
「荒北くん!新開くん!」
「福ちゃん待ってるし、東堂がウゼェから行くヨ」
「あっ、うん。わざわざありがとう」
「日向ちゃんのためならこのくらい」
「3人共、お話してくれてありがとう。また部活でね」


いつの間にかやって来て、あっという間に去ってしまうのが彼女である。3人は荒北と新開の間に挟まれ去っていく彼女の背中を見つめていた。
荒北にギランと睨まれたのは気のせいか、いや気のせいではないだろう。新開の優しい笑顔も今は少し怖い。


「…行っちまったな」
「ユキは本当に日向さん好きだね」
「なっ…!わ、悪いかよ!あの人は俺の憧れで、天使みたいな人なんだ!」
「天使ってユキちゃん…」
「まぁ、日向さんをそう思う気持ちは僕も分かるよ。彼女は箱学にとって大きな存在だ」
「俺も日向さん好き。優しいし、可愛いし、俺に勇気をくれた」
「…だな。つか塔一郎ばっか仲良くてずりーよな!お前いつの間にあんなに仲良くなったんだよ!」
「ええぇ…、そうかな?でも練習の時に何度か声かけてくれて…」
「いいな〜。俺もよく話しかけてくれるけど、3年の先輩が邪魔するんだよね」
「先輩ばっかずりーよなぁ…、絶対に超えてやるけど」
「ああ、必ず」
「うん!」



(でもその前に先輩達より日向さんと仲良くなってやる!)





2年生からも尊敬されている彼女。勿論、1年からも3年からも。





黒田くんはこんな話し方でいいのでしょうか。泉田くんと葦木場くんが出番少なかったかも。

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