もしもの話 | ナノ


俺には彼女がいる。すっげェ可愛くて、優しい大切な彼女だ。俺は素直じゃないっつうか、口が悪いのに、いつも笑顔で受け止めてくれる奴だ。

新開に日向チャンが某テーマパークに行きたいと言っていたと聞き、マジで恥ずかしかったけどチケットとホテルを予約した。日向チャンはすっげェ喜んでくれた。可愛い格好して、俺と手を繋ぐと、頬を赤く染め、にこり笑う。可愛くて可愛くて仕方がないのに、素直になれない自分が嫌になる。でも、最後ネックレスを渡せて良かったと思う。キスされた時はビビって怒鳴ったけど、本当は嬉しかった。



で、今はホテル。



「アー…風呂あがったけどォ…」
「あっ、じゃあ入ろうかな」


先にどうぞと言われ、風呂に入った。何故か念入りに体を洗った。何に期待してる、俺。
パタパタと風呂に向かった日向チャンを見送り、ベットに突っ伏した。
ヤベェェェェェ!!!あんま考えてなかったけど、いざ2人きりと思うと興奮する。変態か俺は!!


「…!」


シャワーの音が耳に届く。
音が聞こえるだけなのに、膨らむ妄想。日向チャンのシルエットが頭に浮かび、離れない。いちいち聞こえる音にこうも敏感に反応してしまうのは、重症だ。


「靖友くん、あがったよ」
「ア?あぁ…」


日向チャンの風呂あがりに思わず言葉がつまる。濡れた髪の毛に少し赤い頬、ちゃんと拭いてないからかピタリとくっつく服。俺の本能を刺激するにはピッタリだった。


「今日はいっぱい走ったから疲れたねぇ。でも、すっごく楽しかった」
「あっそォ…、明日も早いから早く寝ればァ?」
「同じベット?」
「ハ、ハァ!!?ンなわけねーだろ!!」


俺は満更でもなかった自分の顔を見られたくなくて、布団に潜る。本当はそうしたいくせに、素直になれねーとか馬鹿じゃねーの俺。日向チャンは何で俺と一緒にいてくれンのか分かンねー。いや、別れるとかぜってェ嫌だけど…、でも、



「靖友くん」


日向チャンの声が近くに聞こえた。潜ってるから分からないけど耳元くらいに。


「本当に楽しかった。靖友くんとこうしていられること、夢みたい。ありがとう、大好き」
「なっ、」


布団をやんわり捲られ、まず目に入ったのは日向チャンのドアップだった。何か言おうとした矢先、日向チャンによって口を塞がれる。軽い優しいキスだった。


「おやすみなさい」


自分のベットに行く日向チャンを俺は止めていた。細い腕を掴んでいた。日向チャンは不思議そうに俺を見ていた。


「これだけで…、足りるわけねーだろォ!!」
「え、えっ…?」


ぐいっと引っ張ると軽い彼女は意図も簡単に俺のベットに引きずり込まれる。小さな体を力一杯抱き締めてやった。


「優しく、してやれなくて、わりぃ…、本当は、日向チャンのこと、マジで好き、だからァ…」


口にすンのってすげー勇気いる。日向チャンはいつも俺にこんなこと言ってくれてると思うと、何か罪悪感。

日向チャン、マジで好きだから。大好きだから。


「えへへ…、ありがとう、」


求めるように俺に抱きつく日向チャン。これからは言葉にしねーとダメだと思った。じゃねーとこんな可愛い彼女、新開や東堂に盗られちまう。



「明日もあるし、寝るか…」
「そうだね」
「おやすみィ…、大好きだせ、日向チャン」
「ふふ、私も」




よく考えたら、この体制で寝るの?え、俺…、理性保てないかも。

…襲っても、怒らないでヨ。
日向チャン。






頑張れば素直になれる彼氏とやっぱり優しい彼女

彼は優しい彼女に助けられてます
だから頑張れ理性


このあとどうなったのかはご想像して下さい


prev next
back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -