もしもの話 | ナノ



私の彼はとても優しくて、私のことをとても大切にしてくれている人です。
誕生日や何かの行事があるたびに私を驚かせるようなサプライズをしてくれます。勿論いい意味で。私は記念日などは気にしないタイプです。だから何もしなくても大丈夫だと彼に言ったことがあります。それでも彼は毎回何かをしてくれました。プレゼントをしてくれたり、色々してくれました。

そして、今日はサプライズに某テーマパークのチケットを用意してくれていたのです。しかもホテルまで。当日言われたから更にびっくりでした。嬉しすぎて舞い上がりながら、急いで支度をした。

到着した瞬間、夢の国だ。
彼、新開隼人くんはウサギの耳を付けていた。妙にウキウキしてて、何だか可愛らしい。私はと言うと何故だか黒いリボンのカチューシャを隼人くんから貰って付けていた。腕にはお揃いのブレスレット。


「ねえ、隼人くん、どうしてこのカチューシャなの?」
「ん?そりゃあ俺がウサギだから、おめさんはアリスに決まってるだろ」


彼氏彼女っぽいだろ?とバキュンされた。そう言われると嬉しくて、何だか恥ずかしい気持ちになる。


「こりゃ可愛いアリスだな。可愛すぎて困る」
「そ、そんな。隼人くんこそ素敵なウサギさんだね」


互いにぎゅっと手を握り、笑い合う。隼人くんは私をいっぱい褒めてくれる。可愛いとか平気で言っちゃうから本当に心臓に悪い。


「私、ちゃんと隼人くんの彼女に見えてるかな?」
「どうした、急に」
「さっきから周りの女の子達がこっち見てるんだもん。隼人くんを見て、格好いいって言ってるの聞こえたの、」


周りにいる可愛い女の子達は隼人くんを見て、ヒソヒソと格好いいと言ってるの。学校でもよくあることだけど、それでもやっぱり嫌だなぁって思っちゃう。


「もしかして嫉妬してる?」
「…嫉妬、してるよ。だって、隼人くんは私の、だもん…」
「…俺は日向が1番。ぜーんぶ、おめさんのものだ。あぁ、キスしたい。しちゃうけど」


隼人くんはちゅっと私の唇にキスをした。たちまち真っ赤になる私を隼人くんは可愛いとまたキスをする。うぅ、恥ずかしい。でも嬉しい。女の子達は残念そうにどこかに行ってしまった。私って、嫌な女かな。


「でも俺はさっきからずーっと嫉妬してるけど」
「えぇ、どうして?」
「あの男もあの男もみんな日向のことを見てる。いやらしい顔してずーっとな。おめさんをそういう風に見ていいのは俺だけ。日向は俺の」


隼人くんはぽわっとしているように見えて、実はとても嫉妬深い人だった。私が男の子と話しているのを極端に嫌がる。業務連絡でも、些細な挨拶でも唇を尖らせて私を静かに抱き締める。部活の仲間にも同じような反応だった。このブレスレットは私と彼がどういう関係なのかを記す証みたいなものだった。


「でも、私は大して可愛いわけでもないから大丈夫だよ」
「(…俺が裏でどれだけ他の男に釘さしてるか分かってないからな、この鈍感ちゃんは)」
「あ!隼人くん、あれ食べたい!」
「じゃあ行くか」


隼人くんは笑顔で何か語っていたようだけど、よく分からなかったのでいいとしよう。私は近くにあった、チュロスを買いに向かった。隼人くんもついてきてくれた。


「買ってもらってごめんね…?次は私が奢るよ!」
「はは、ダーメ。こういうときは格好つけさけてくれなきゃ。可愛い彼女のためなんだから」
「そ、そういうこと、さらっと言わないで。恥ずかしいから…」
「はいはい」


隼人くんが買ってくれたチュロスをがぶりとかぶりついてやる。甘い味がふんわり広がって、すごく美味しかった。


「日向の何味?」
「シナモンだよ。隼人くんはメープルだっけ?」
「うん。一口ちょうだい」
「えっ!」


片手をひょいと取られ、私のシナモンチュロスは彼の口の中に入る。うわわ、色っぽい。ペロッと舐める仕草まで格好いいよ。


「美味しい。日向のだから余計に」
「こ、これはチュロスが美味しいからです」


一言一言が心臓に悪すぎる。付き合って随分経つのに未だに慣れない。隼人くんは人前で平気でキスとかするので、彼が初めての恋人である私は毎回ドキドキです。

ですが今、それ以前に困ったことがあります。


「あ、私お土産見てくるね。隼人くんは外で待ってても、」
「一緒に行く」
「レジ行ってくるね。隼人くんは外で、」
「一緒に行く」
「私、お手洗いに行ってくるね」
「俺も一緒に、」


嬉しいことですが、彼はどこでも必ず一緒に行くと言い、ついてきてくれます。流石にお手洗いは拒否しました。気を付けてねと言われましたが、一体何に気を付けたらいいのかは分からなかったです。


「あのっ、隼人くん、その…、近くないかな…?」
「おめさんがトイレ行ってて離れた分のための充電」
「たった5分くらいだったような…って、ど、どこ触ってるの!?」
「…日向のおっぱい」
「も、もう!離して!」


前から勢いよく抱き締められたと思えば、彼は何と胸をもにゅもにゅと触り始めた。こんな夢の国で絶対にダメだと思い何とか離れたけど、隼人くんは拗ねていた。


「そうだ、ホテル行くか」
「えっ?でも時間、」
「もうすぐ閉園時間だぞ」


全然気にしてなかったけど、いつの間にか時間は経っていた。気付けば閉園時間が近付いていたらしい。時間が経つのは早いと言うが改めて実感した。


「な?」
「そうだね。行こっか」


隼人くんの笑顔がとてもキラキラしていた。何だろう、とってもいい笑顔。



ホテルって、2人で同じ部屋だよね。

私、何も考えていなかったけど、よく考えたら男女付き合ってる彼氏彼女が一晩過ごすということは、あれ?そういうことなのかな?






「日向、早く」
「あっ…う、うん」
「楽しみだね」




彼女が大好きで大好きでデレデレでベッタリで表に出しちゃうタイプの彼氏

続きはまた後程


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