は〜い!貴方のハートをロックオン!みんなのアイドル金色小春よぉ!

まぁ本当は、四天宝寺テニス部で書記を務めてるテニス部のアイドル兼お笑い王者ってところかしら。四天宝寺のテニス部はイイ男か多くて女の子に大人気なのよ〜。蔵リンを筆頭にそれはそれはモテモテで、参っちゃうわぁ。だからみんな女の子はちょ〜っと苦手なのよね。


そんなことは今はいいわ!
今、アタシが感心あるのは、ある1人の女の子。女の子と言ってもキャアキャアうるさくて、あまり好感が持てない子とは違うわ。その子はとってもイイ子!


名前は陰野日向ちゃん。
ふわふわしたミディアムの髪、やんわりと優しそうな瞳、小柄な体。充分可愛らしいけど、何よりその人柄。優しくて、温かくて、相手のことをよく考えている素敵な女の子。今時には珍しい純粋な子。

見事にテニス部は彼女に心を奪われちゃったみたい!
蔵リンと光の溺愛っぷりはすごかったわ。あのクールな光もあんなにデレデレするなんて初めて見て、もうびっくり!他のみんなはそうでない人もいるけど、多分恋心を抱いてる人もいるわよ〜。ライバルは多いわね!燃えるわ!

とにかくそんな素敵な女の子の日向ちゃんと私は今隣にいる。何でもテニスしてるとこを見せたい蔵リンが呼んだらしい。ベンチに座ってるところを狙って隣をキープしたわ!だってたくさんお話したいんだもの。



「あら、今日はラフな格好してるのね」
「な、何かお手伝い出来たらと思って…、あとテニスコートはヒールとかだと傷付けちゃうかなぁって、」
「…うふふ、そう。とってもキュートよ!」


控えめに笑う彼女。こんな風に誰かのことを考えることが出来る彼女はやっぱり素敵。華やかな自分を見せたい、お洒落して彼らに会いたいと思う自分勝手な考えとは違う。運動出来るように、テニスコートに入っても大丈夫なようなシューズ。…あらら、ちゃっかりジャージを着せてるのは光かしら?


「アタシねぇ、日向ちゃんとお話したかったの。みんなが格好つけてる間、ガールズトークしましょ!」
「わ、私と…?」
「そうよ〜!日向ちゃんしかいないの!」
「…ありがとう。私もお話したい!」


や〜ん!もう可愛いんだから!これはみんな好きになっちゃうわよね〜!

でも彼女は自分を過小評価することがよくある。アタシはそれが少しだけ気になっていた。だってこんなに素敵な子なのにって思う。


「ねぇ、日向ちゃん。日向ちゃんは自分のこと、どう思ってるの?」
「えっ…?」
「意味はないのよ。変なこと聞いてごめんね?でも、たまに自分のことを過小評価する時があるでしょう?気になって…」


日向ちゃんは少し間を空けると、やがて寂しそうに笑った。それがとても切なくて、綺麗でアタシは彼女がどういう気持ちなのかよく分からなくなっちゃったわ。


「あっ、無理に話さなくてもいいのよ!ごめんなさいね。いきなり変なこと言って」
「そんな全然だよ。私こそ気を遣わせちゃってごめんなさい…、」


日向ちゃんは人のことをよく考えられる子だけど、逆に考えすぎちゃうことがある。昔からの知り合いである蔵リンには少し柔らかいけど、やっぱり慣れたとは言え、アタシ達には少し遠慮してるわ。

日向ちゃんがとても大好きだから、遠慮なんてしてほしくない。



「日向ちゃんはとっても素敵な女の子よ。人のことをよく考えられて、優しくて、可愛くて。アタシはそんな日向ちゃんが大好きよ」
「小春ちゃん…?」
「テニス部のみんなも貴方が大好きなの。だから、自分なんかとか言わないで、もっともっと自信持って!遠慮なんてしなくていいんだから」


彼女はキラキラした瞳をこれでもかと言うほど広げ、その美しい目にアタシを映した。何かを言おうと口を開いたり、閉じたりしており、意を決して息を吸った時、後ろからガハリと彼女を抱き締める影が。
…んもう、本当にタイミング悪いんだから。



「…先輩とばっか話しとらんで、俺の相手もしてくれませんか?」
「ざ、財前くん…!」
「日向さん、俺のジャージ着てくれてはるんですね…、めっちゃかわええです。ぶかぶかなとことかアカンわぁ…」
「コラ財前んんんんん!!!?日向ちゃんに抱きつくなぁぁぁ!!」


あらら。光が日向ちゃんを抱き締めるもんで、蔵リンが怒ってこっちに来てしもたわ。ユウくんもそろそろ来るわねぇ…


「先輩、俺とあっちで話でもしませんか?将来の」
「財前。怒るで?俺、怒っちゃうで?」
「なぁなぁ小春。何の話しとったん?」
「ワイも姉ちゃんと喋りたい!」
「ちょっ…!金ちゃん暴れるなや!み、みんなでお喋りすればええやん!」
「ちゃっかり謙也さんも入るとか…」


銀さんやケン坊が温かい目でこっち見てるわ。日向ちゃん大変やなぁ。好かれすぎても大変っちゅうことやな。


「小春ちゃん…!」


半ば諦めモードで眺めとったら、日向ちゃんがか細い声を張り上げ、アタシの名前を呼んだ。アタシは何かとそちらに顔を向ける。



「私と、お話してくれてありがとう。心配していてくれてありがとう。楽しませてくれたり、笑わせてくれたりしてくれてありがとう。いっぱい、いっぱいありがとう」



それは、ふにゃりとした笑顔だった。アタシ以外のみんなが赤くなってどうするのよ、全く。




やっぱりこの子のこと、すごくすごく大好きみたい。

だからこそ、悲しませたり、泣かせたりしたら許してあげない。それは、アタシだけじゃなくて、ここにいるみんなきっと同じ思いよね。

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