王様ゲームをする

どうして私は






『王様だーれだ!』





王様ゲームをしているのでしょうか。



事の発展は友達のかなちゃんが割り箸を大量に持ってきたことから始まった。何故そんなに持ってきた。

私は教室に残っていたため強制的に参加。…そして、お付き合いをしている白石蔵ノ介君もいる。

どうして恋人がいる人達にも王様ゲームをやらせようと思ったのだ。





…それに



「あ!白石君とだあ!」

「え、また俺かいな。よお当たるわぁ」



白石君はやたら当たる。しかも女の子とイチャイチャするお題ばっかり出す。女の子も満更じゃないし、私を見て「ざまぁみろ」って呟くの。何て意地悪なんだ。


ハグしたり、お姫様抱っこしたり、ポッキーゲームしたり…

ゲームだから仕方ないけど、私がいるのにどうして平気でするのって思ってしまう。

私は普段、我が儘を言わない。テニスをしている彼が好きで、邪魔な存在になりたくないから、嫌われたくないから、干渉したりせず、デートだって忙しい彼を考えて、我慢してる。

告白したのは白石君からなのに、私が嫌われたくないってどうして心配してるんだよ。



「白石君ってば、いい匂いがするぅ〜!もっとギューッてして〜!」

「ちょっ、勘弁してぇな。ジュースで酔っとるんか?」


ギャルっぽい女の子は白石君とバクが当たって、ここぞとばかりにぎゅってしまくってる。



…それは私の特権なのに。


何て弱虫で臆病な私には言えるはずもなく、女の子に勝ち誇った顔をされるのを黙って見ていることしかできない。




「じゃあ凄いの言っちゃうよー!三番と五番の人がキス!」

「えっ!?」



五番って私だよ!?
かなちゃん最低!!裏切り者!(?)



「あらら、五番は日向だったの?うわ、ごめん!でも王様は絶対だし〜。はい、三番は?」

「かなちゃん…!」

「あ、三番俺」

「あ、朝倉君!?」



朝倉君とは同じクラスのチャラい男の子です。(かなちゃん曰く)

というかキスってどうしたらいいの!?



「まっ、ちゃちゃっとキスしちゃおうか。日向ちゃん可愛いし俺的には得やし」

「えっ…!あ、ぅ…」


ニコニコと朝倉君は私に近付いてくる。…逃げられない。


…いや、でも白石君も女の子と色々したわけだし、ゲームだもん。私だって仕方ないよね。


「いやー、日向ちゃんって近くで見るとマジ可愛いな。俺、めっちゃタイプやわぁ」

「朝倉くーん、あんま日向虐めんなよー」


かなちゃんの冷やかしも軽く流す朝倉は顔をググッと近付け、キスをする体制にバッチリ入る。


ど、どうしよう!


「あ、朝倉君…やっぱりちょっと待って…」


今更ながら嫌になってきました。やっぱり白石君とじゃなきゃ嫌…!


「大丈夫。すぐ済むから、ちょっと我慢しててなー」


私は目を瞑った。
自分が他の人とキスしてる所なんて見たくなくて、目を強く瞑った。




でもその一瞬、ふわりと私の大好きな香りが鼻を掠めた。


そして唇に柔らかいモノが当たる。


数秒して離れた唇と同時に私は目をゆっくり開いた。



「えっ…?」



でも、そこにいたのは朝倉君じゃなかった。

私の大好きな大好きな人。







「白石君…」

「すまんなあ」



白石君はぎゅうぎゅう私を抱き締め、髪をさらりと撫でてくれる。



「こいつは俺しかキスしたらあかんのや」



それだけ言ったら白石君は私を引っ張って、教室を出て行く。私はただついて行くだけ。






狡いよ。狡い狡い。






「白石君は良くて、私はダメなの…?」

「えっ?」



こうなったら、もう止まらない。



「私だって焼き餅妬くもん!白石君に抱きついたりキスしたりしていいのは私だけだもん!なのに…白石君、女の子と…」



嗚呼、言ってしまった。あまりに勢い良く言ったので息が切れた。しかも涙出てきた。
やだやだ。うざい女だなんて思われたくないのに。


しかし白石君は何故か抱き締めてきた。




「可愛いすぎやろ…」



何でそんなに優しいこと言うんだろう。もう涙止まんないよ…



「ゲームだから仕方ないって思っとった。日向は何も言わんから大丈夫やって思っとった。せやけどいざ日向が当たって他の男とキスって聞いたらめっちゃ腹立ってしもた。ほんまごめんな…日向の気持ち考えてなかった」


白石君の香りが私を包み込む。それが私は酷く安心して、許すしか選択肢がなくなった。


「もっといっぱい我が儘言ってええよ。言ってくれへんから俺嫌われてると思っとったやないか。可愛い日向の我が儘なら何でも聞くで?」


白石君は私の顔をじっと見つめる。綺麗な瞳に吸い込まれそう。




「キス…してほしい、」

「そんなんやったらお安い御用や」



そして彼は整いまくっている顔を近付けて、ちゅっと軽いキスをしてくれ…



「んん!?白石、君、苦し、い…ふ、ぁ…」


なかった!
長いキスが襲ってくる。息苦しいし、涙目になるし、もう嫌!



「ぷはっ!」


やっとのことで離してくれた唇。顔が熱い。初めてこんなキスした。


「堪忍な。せやけど日向が可愛すぎるからやで」


ニヤリと笑う白石君。
うわわ、こんな顔初めて見た。何て言いますか、妖艶な感じ。




「もっと過激なお願いしてもええんやけど、」




白石君は変態だった。








ちなみに朝倉君は白石君により、(心に)深い傷を負ったらしい。








(人の彼女に何しようとしたんや、あ?お前、キス以上する気やったやろ)

(し、白石?)

(覚悟しとけや)

(ギャアアア!?)







end
標準語なのは気にしない気にしない。


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