今日も1日頑張れます
※ちょっと未来設定(同棲してます)
「ほんまにごめんな…!」
今日は彼女と出かける予定やった。せっかく可愛くお洒落してくれた日向にめっちゃ申し訳ないが、突然行けんくなってもうた。
医者になるために勉強している俺は急に休みがなくなることがある。患者さんの様態が悪うなったり、いろいろあるからしゃあないことや。俺かて患者さん大切やし。
せやけど日向には悪いことしとるなぁ思う。こうしてドタキャンするのも一回ではなく、結構な頻度ですることがある。
「ううん。気にしないで」
いっつもいっつも日向は笑顔でこう言う。何かこの笑顔見ると、胸がきゅうってなる。しゃあないことやけど、もっともっと我が儘とか言ってもええのになぁって思ったり。
俺がなかなか行かへんからか、はたまた複雑な顔しとったからか彼女は俺の背中をぐいぐい押した。
「謙也くんのこと待ってる人がたくさんいるよ。早く行ってあげなきゃ。私は困ってる人のために一生懸命になれる謙也くん大好きなんだよ」
ふわりと微笑む彼女はやっぱり最高やなって思った。
いつも笑顔で見送ってくれる彼女のためにも俺が頑張らんとアカンやろ。この笑顔のために俺は頑張る。この笑顔を見るために俺は生きとるんや!大好きやって言うてくれたし、今日も頑張れる!
「よっしゃ!ほな頑張ってくるさかい、待っとってな!はよ帰ってくるで!俺かて大好きっちゅー話や!」
家で待っとってくれる彼女のため今日も俺は頑張る。はよ終わらせて夜くらいゆっくり出来たらええなぁ。行ってくると玄関を開けようとすると彼女は「あっ」と声をあげ、俺の服の裾をくいっと掴む。
「謙也くん、忘れ物」
「ん?何やね…」
ちゅっと唇に柔らかいモノが触れる。少し頬をピンクに染める彼女ははにかみ行ってらっしゃいと奥の部屋まで逃げてしまった。
残された俺はもっと真っ赤だったと思う。
…今日、絶対はよう帰ったる
(行ってらっしゃいのキス、)
(出来ればただいまのキスもお願いします)
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