君が幸せになるには

※新開がゲスい



「それ、可愛いね」
「これね、彼から貰ったの」


首につけているネックレスに触れ、にこりと笑う彼女はとても可愛かった。自分が言ったことなのに、聞かなければ良かったと後悔する。

ドロリ、憎悪。

俺は彼女が好きだ。1年の頃からずっと彼女を想ってきた。優しくて、笑顔の可愛い彼女。ゆっくりゆっくり彼女と仲良くなり、いつ告白しようか、いつ彼女と関係を持とうか、ずっと考えていた。なのに、後から現れた名前も知らない男に彼女を横取りされた。純粋な彼女を奴が汚した。俺が先に見つけたのに、俺が最初に好きになったのに。許せなかった。

でも、そろそろ潮時。
俺はまず彼女の彼氏と接触をとった。性格上、俺は誰とでも仲良くなれる。すぐに仲良くなった俺と男。そこで露になっていく男の性格。奴は気性が荒い。彼女の前だと優しい彼氏を気取っているが、男友達といると意味もなくキレることがある。

そこを利用させてもらうぜ。
俺はまず彼女が他の男といたことを話した。あくまで曖昧に。すると他の男友達はそれは浮気じゃないかと言う。彼女がそんなことするわけないだろ?でも奴は信じた。馬鹿な男だ。奴は思ったよりも早く行動を示した。
男は怒りやすい。彼女を殴ったりしたのだろう。許せなかったが、我慢だ。俺が付き合ったら、真っ先にお仕置きしないとな。
日に日に痣や怪我を作る彼女を俺は心配し、支えた。彼女は徐々に彼氏に愛想を尽かしている。そして明らかに俺への気持ちが変わっている。


そしてついに来た。待ち望んでいた日が。

俺は空き教室に向かっていた。男はキレるとよくその部屋で彼女に暴力を奮っていた。今日は特に荒れていたからなぁ。彼女の気持ちが切れてしまうのにピッタリだ。

ガラリと教室を開けると予想通り、彼女がいた。隅にうずくまって、涙を流していた。ああ、可哀想に。俺が慰めてあげるよ。


「日向」
「っ!は、やとくん…?」


大きな瞳を潤わせ、俺を見つめる顔は可愛らしいウサギのようだ。ぞくぞくする。まだダメだ。まだ。


「やっぱりね。どこかで泣いてるんじゃないかと思った」


そっと近付き、彼女の頭を撫でてやると、彼女は大粒の涙をぼろぼろ流す。綺麗だ。その綺麗な顔に傷をつけた男に腹が立つ。仕向けたのは俺だけと。


「も、無理だよぉ…、彼ね、私を殴るの。私っ…!何もしてないのに…!ちゃんと好きだったのに、浮気したって言うの…、」


どうしてと彼女は嘆く。
羨ましいなぁ。こんなに彼女に想われていたんだ。ドロリ、ドロリ黒い感情が俺の中に生まれる。でも、その感情を今度は俺に向けてくれないか。

俺は彼女をぎゅっと抱き締める。


「隼人くん…?」
「俺じゃダメ…?」
「えっ…?」


戸惑いながらも彼女は俺を拒絶しない。小さな体。柔らかくて、いい匂い。


「弱味につけこむわけじゃないけど、俺はずっと日向が好きだった。俺なら日向を幸せに出来る。忘れろとは言わない。だけど、俺と新しくスタートしてみない?」


この台詞を言いたくて堪らなかった。忘れろとは言わない?いや、忘れてもらうよ。あんな男よりずっとずっと愛してる。幸せに出来る。ほら、彼女の手が俺のシャツを握る。


「隼人くん…、私、隼人くんと新しくスタートしたい。でも、私ってズルい女だよね…」
「全然。それが正解」


彼女が笑った。その笑顔が俺に向けられた。彼女は今の彼氏に別れを告げると言う。ついてきてくれるかとも言われた。当たり前だ。彼女をそんな危険な男と2人にされられない。


「ああ、こんなに可愛い顔に傷をつけて…、」
「あのっ、傷…、顔だけじゃないの…」
「見せて」
「えっ…?」
「全部見せて。俺は日向のどんな姿でも愛せる」


最初は困っていた彼女だが、やがてはこくりと頷く。彼女のシャツに手をかける。白い肌。首にも鎖骨にも傷があった。


「首にも鎖骨にも…、ああ、胸にも」
「隼人くんっ…、恥ずかしいよ…」
「全部俺が消毒してあげる」


制服をゆっくり脱がせていく。段々見えてくる彼女の肌に奮えた。彼女の膨らんだ胸が見えてくる。可愛い下着。胸にまで傷をつけるということは男も見たのか。ムカつくなぁ。


「好きだよ。全部好き。可愛い、可愛いよ日向」
「んっ…、ひゃ、隼人、く、ん…」


やっと俺のものだ。キスをして、胸を揉むと可愛い声で俺の名を呼ぶ。スカートを捲ると、また傷があった。ちゅ、ちゅ、と全てを無くすように唇を落とす。


「あぁん…!だめぇ、隼人、くん…、こんなとこで…!」
「っは、俺、我慢出来ないや。ごめんよ」


下で喘ぐ彼女を下着姿の彼女を俺が俺だけが見ていられる。

優越感、幸福感。

愛してるよ、日向。
こんな形でしか告白出来ない俺を許してくれるよな、おめさんなら。


次の日、男に別れを告げる彼女と俺は一緒にいた。男は俺を見て心底驚き、ヒステリックに怒り出した。おいおい、彼女が怖がってるだろ?それに俺だって怒ってる。彼女を汚しやがって。エーススプリンターの俺がおめさんみたいなのに負けるわけねぇだろ?きっちりお仕置きはしなきゃな。


彼女は俺が幸せにするよ。

お前が最低な男で良かったよ。

まぁ、俺も最低な男だけど。







ハッピーエンド?
まあ、新開隼人は彼女が好きで好きで仕方ないという。


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