冬の寒さは大分無くなり、暖かい陽射しが春の訪れを知らせる。以前まで蕾を膨らませていた木には美しい桜が満開に咲いていた。



私は3年になった。


慣れたはずの大きな校舎が何だか新しく見えて、私も緊張してきた。



「クラス、誰と一緒かなぁ…」


クラス表を見るこの瞬間が一番ドキドキする。あぁ、心臓五月蝿い。


ザワザワ。
クラス表の前には人、人、人。お陰で自分のクラスを見ることが出来ない。



「見えない…」



一応人混みの中に入り込んでは見るものの、すぐに追い出されてしまう。ぴょんぴょん飛んでみても、私の身長では無理がある。




「日向ー!」
「絢音ちゃん!…と、さつきちゃん…?」


困っていた私を助けてくれたのは絢音ちゃんとさつきちゃんだ。笑って手を振ってくれる絢音ちゃんは相変わらず美人だ。一方、さつきちゃんはズーンと沈んでいる。2人に温度差がありすぎて不思議に思う。さつきちゃんはいつも元気なのに。


「さつきちゃん、どうしたの…?元気なさそうだけど…体調悪い?」
「あー、違う違う。さつき、拗ねてるだけだから」
「拗ねてる?」


絢音ちゃんはやれやれといったように肩を竦める。さつきちゃんはそれに対して膨れっ面に。



「うるさい柴崎め!何で私は日向と同じクラスじゃないんだよ!」
「知らないわよ。そんなこと私に文句言っても仕方ないでしょ」


私は驚いた。
クラス表を見る前に絢音ちゃんとは同じクラスでさつきちゃんとは違うクラスだということが判明してしまう。そんな…ショック。因みにさつきちゃんは感情が高ぶると絢音ちゃんを柴崎と呼ぶ。



「さつきちゃんとクラス違うんだ…何だか、寂しいね」


また3人、同じクラスが良かった。だから凄く凄く寂しい。


「うぅ、日向ー!私も寂しいよー!可愛い可愛い日向を毎日授業中眺められないなんて〜!」
「あんた、そんなことしてたわけ…?」


わんわんと泣き真似をするさつきちゃんはぎゅっと私に抱き付いた。



「さ、さつきちゃん、抱き付いてくれるのは嬉しいんだけどっ…へ、変なとこ、触らないで…」


さつきちゃんはいつもいつも抱き付く時、腰とか胸とか触ってきます。スキンシップが激しいというか何というか…恥ずかしいので止めてもらいたい。


「ぐへへ。クラス遠いから触っとかなきゃ。あ、日向はB組だよ!私は2つ隣!」
「そんなに遠くないじゃない」
「黙れ変態!」
「死ね単細胞」


絢音ちゃんの言葉にさつきちゃんは泣いた。そしてまた私に抱き付いた。でも2人はこれが日常です。


「や、やだっ!さつきちゃん、そこはっ、あ」
「はー…日向ってどこもかしこも柔らけぇな…やべ、ムラムラしてきた」
「日向を離しなさい。ムラムラしたなら彼氏と発散しろ」
「下ネタに走るなよ変態!日向に変なこと吹き込まないで!まあするけど!」
「お前がだよ。つか私は変態じゃないわ。理解力ねぇな馬鹿は」
「うっ…日向!」


2人の変わらない日常を見て、私はクスクス小さく笑ってしまう。何だかんだで仲良しな2人が大好き。



「さつきちゃん、絢音ちゃん」
「お、どうした?」
「何?日向」


私が呼び掛けると2人は言い合いをピタリと止め、私の方を向いてくれる。

さつきちゃんは明るい茶色のショート髪で、笑うとクシャリと崩れたように可愛く笑う。明るくて、ムードメーカーでちょっと変態ちっくだけど友達思い。

絢音ちゃんは黒いロングヘアーが凄く綺麗。クールで大人っぽくて、美人さん。いつも困っていると助けてけれる私達のお姉さん。でも時々子供っぽくなるのは可愛い。



「お弁当は一緒に食べようね。一緒に帰って、また遊ぼうね。…えへへ、何か恥ずかしいな、」


違うクラスでも私は3人で一緒にいたいと思う。楽しく3人でまた一年、過ごしたい。


「あったり前!私達はずっと一緒!くぅ〜…可愛いなオイ!ちょっ、もっかい触らせろ!」
「そうね。また3人でカラオケ行ったり、クレープ食べたりしましょうね。ちょっと、私にも抱き付かせなさいよ」


結局3人でぎゅーっとする形になったけど、こういうのが一番好き。とっても温かい。






(さぁ、クラスに行きましょう日向。私と同じクラスに)
(柴崎ィィィ!てめぇ調子乗んなよ自分だけ同じだからって!)
(事実を言ったまでよ。いちいち騒がないでね。ふふん、お馬鹿さん)
(てめぇぇぇ!!)




仲良し、だよね!?


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