後日。
日向、包帯ぐるぐる巻き。眼帯もしているので、大怪我した人になってる。



教室にて、



「どどどどうしたのその怪我!?誰にやられたの?言ってみな!!」
「お、落ち着きなさいよ。日向、正直に話しなさい。私とさつきが成敗…ゴホン、注意してくるから」



吉田の慌てぶりは素晴らしかった。日向を見るなり、飲んでいたジュースを吹いた時は流石に驚いた。

柴崎は日向を見ると、怖い顔で誰の仕業だと迫り、持っていたシャーペン(吉田の)を折った。



「ち、違うよ2人共!あのっ、丸井くんと…」
「丸井くん!?丸井くんがやったの!?あの豚絶対許さん!柴崎、ちょっと殴ってくるわ」
「あら、奇遇ね。私も今から成敗しに行こうと思ってたの」


本当にファンクラブの一員なのかと疑う発言。柴崎に至ってはもう成敗とハッキリ言ってしまっているし。ついつい丸井の名前を出してしまった日向は勿論悪気はない。本当のことは言うにも言えないので、どうしようかと考えている内に丸井と自然に出た。



「えっと、あの…か、階段!私階段から落ちちゃって、丸井くんが助けてくれたの!」


我ながら良い切り返しだと思う、と日向は地味に感動している。助けてくれたというより助けたの方が正しいが。



「え、そうなの?なーんだ!まぁ丸井君とかどうでもいいよ!だって日向が無事だったんだもん!」
「…そういうことにしておきましょ。日向が無事なら何でも良いってことで」


2人はなるべく優しく日向に抱き付く。痛かったけど、日向も嬉しいから何も言わない。



「…登下校は大丈夫なの?」
「おー、そうだよ!私達、一緒に行こうか?迎えに行くよ!」


しかし2人は残念ながら日向とは逆方向。かなり時間がかかってしまう。それでも行くよと言う程、日向が好きなのだ。



「ありがとう。でも大丈夫!怪我治るまで、一緒に帰ってくれる人がいるの」



















放課後。

テニス部にて。



「つ、疲れたぁぁ!」
「これくらいで弱音を吐くとはたるんどるぞ赤也!」「真田うるさい」
「ゆ、幸村…」



テニス部はきつい幸村の地獄の練習を終え、帰る準備をしている最中だった。練習時間が長いテニス部。故に女子はもう殆ど残っていない。



「だって本当のことですし〜…んん!?あー!」

そんな中、赤也は急にぱぁっと嬉しそうに顔を輝かせ、物凄い速さで校門付近へ走っていく。疲れたと言っていたのが嘘のよう。




「赤也が日向を見つけた確率100%」
「日向先ぱーい!!」
「ふっ、当たりのようだ」



柳の確率通り、校門には日向がいた。壁にもたれて誰かを待っているみたいだった。



「先輩何してるんです…ってえええぇぇ!?どどどどうしたんですかその怪我!!」
「あっ…切原くん。部活終わったの?お疲れ様」
「あ、ありがとうございます…って違いますよ!怪我はどうしたんですか!?」


切原の焦りぶりに日向は困ったように笑う。そんな日向に渋々切原は引き下がるしかない。


「つか誰か待ってるんですか?」
「えっとね、」

「日向」


日向の言葉を遮る声が切原にも聞こえた。甘い匂いが鼻を掠める。赤い髪がチカチカ光っていた。




「あっ、丸井くん」
「丸井先輩!?いや、ちょっと意味分かんねえ…」


切原が驚くのも無理はない。相手は丸井だ。ガムを膨らませ日向の元にやってきた。


「あ?何で赤也がいんだよ。おっと…日向、歩けるか?」
「はい、大丈夫です」
「丸井先輩こそ!日向先輩のこと悪く言ってたくせに!名前呼んでるし!」


ギャーギャー言い始めた2人。丸井が「一緒に帰るんだよ」と言うと切原が「はぁぁ!?」と言う。幼稚な争いだ。



丸井が言ったもう1つというのは

『怪我が治るまで俺がお前の世話をする!』

という意味の分からないことだった。



「俺も一緒に帰ります!1人だけ抜け駆けさせませんから!」
「はぁ!?何でだよ!くんなよ!」
「あ、あのぅ…」
「女は嫌いなんでしょ!先輩にも嫌いって言ったし、俺が送る方が良いに決まってるッスよ!」
「あ、あれは取り消しだ!お前だって嫌いって言ってたくせに!それにお前じゃ危ねぇよ!」
「私は、あの」
「帰ろうか、日向」

「「!?」」



現れたのは我らが部長兼魔王の幸村だった。



「ふふ、ブン太、(俺の)日向によくも怪我させたね。明日練習3倍だから」
「えぇ!?幸村くん、それはねぇよ!」
「何?豚が俺に口答え?へぇ…いい度胸だね」
「…すみません」


幸村は黒い笑顔で丸井を見た後、白い笑顔で日向を見た。



「じゃあ行こうか」

幸村は日向の肩を優しく抱いて、丸井と切原を無視して進む。



「ちょっ、幸村くん!それは俺の役目だろぃ!?」
「ま、待って下さいよー!俺も一緒に行くッス!!」



因みにお雪ちゃんと蒼太君は仲良くやってます。


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