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金色の瞳 紺碧の瞳(5/8)
 
 どの職業が強いか、男としては誰が優秀か、客同士が主張し合う最中、あの魔法使いの入店を境に、空気が一変したという。

 武闘家が、魔法職に難癖を付け始めたのである。絡まれたのは、魔法使いの方だ。
 武闘家に貧弱な体躯を揶揄されても、最初の内は無視を決め込んでいたらしいが。

「突然、“イオ”をぶち噛ますんだから、まいっちゃうわー」

(“まいっちゃうわ”……じゃないよ。大らかっていうか、無責任っていうか)

 呆れ果てるライを見るなり、ルイーダはケタケタと笑い声を立て、酒を仰ぐ始末。
 あの魔法使いを放っておいたら、更なる惨事を引き起こしかねないと思えてくる。

「まったく……仕方ないな!」

 止める気など微塵も無いルイーダに期待しても“無駄”と、考えたのだろう。突如として、ライが男達の間へ割って入った。

「なんだテメェは!!」

 武闘家は、相当酒が入っているようで、焦点が定まっておらず、息が非常に臭い。
 同じ武闘家でもリョウとは違い、優雅さは皆無だ。こちらは唯の破落戸と見える。

「喧しい! こんな騒ぎを起こして、迷惑だと思わないのか?」

 鋭い目で武闘家と魔法使い交互に見た。
 


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