――騒ぎを納め、一行は宿へと向かう。
その道すがら不意に立ち止まったガイラスが、消沈の面持ちを浮かべ頭を下げる。
「すまねぇな。止めてくんなきゃ、俺ぁ、親父の名前を汚しちまうとこだったぜ」
「分かってくれればいい。しかし、これに懲りて、馬鹿騒ぎは自粛してくれよ」
リョウがガイラスの肩を数回叩く。あの手刀が、相当堪えたらしい。視界の端にある手を見た途端、ブルッと背を震わせた。
「それにしてもさ、僕ら以外にも討伐をしようって人がいるんだね」
「……カルロス、か。何があったか、遂に語りはしなかったな」
あの直後、“呉々も自暴自棄になるな”と告げ別れたが、どうも引っ掛かることが多過ぎると……目を見合わせ、首を捻る。
「俺らは刺客に狙われてんだから、ただで逃がすわけねぇんだけどなぁ」
「うん。朝がどうとか言ってたでしょ。それがね、なんだか凄く気になるんだ」
「まあ、考えても仕様がない。我らは我らで突き進む、それしかないだろう」
リョウが“締め”とばかりに言った。
ライだけはカルロスが心配で堪らないのだろう。胸へ刻まれた心悲しい顔を思い出しながら、立ち直れる日を祈るのだった。 |