「生きて……な。おれが生きてると言えるか。あんたらには分からんだろうけどな」
「ああ、分からぬ。要するに、自棄になっているだけだろう。愚かしいことだ」
「は、ははっ。……自棄にもなるさ。おれは……朝の度に地獄を見るのだからな!」
リョウの、鰾膠も無い言葉が効いたのだろう。仰向けのまま、乾いたような笑いを上げたカルロス。その目へ涙が伝わった。
(多分、理由があるんだと思うけど)
勅命を受けるくらいの人物である。現在はどうであれ、曾ては相応な人間だったというのは想像に難くない。カルロスの落ちぶれた風貌が、ライには痛ましく思えた。
「カルロスさん。僕、頑張って魔王を倒すから。……捨て鉢になっちゃ駄目だよ!」
「ガキが何を……」
「ライを唯の子供と思うなよ。彼こそ勇者であり、オルテガ殿の子息なのだからな」
瞬時に、カルロスの目が見開かれたと思えば、ライに目を向け驚きを露わにする。
「因みに、ガイラスは大魔法使いダルダス殿の息子。もう一人の仲間は、愛弟子だ」
「え、ええっ! そ、そんな凄い奴等なのか……あんた達!?」
続け様に聞かされて、カルロスは混乱しているらしい。頻りに目を瞬かせていた。 |