男の剣を易々躱すと、リョウの手刀が男の首筋、続いてガイラスの首筋へと入る。
もはや、説明はいらないだろう。
手刀を食らった男とガイラスが、そのまま、重なり合うようにして、ぶっ倒れた。
「技……解けよぉ」
嘆きに近い声を上げ、ひっくり返させた天道虫の如く、手足をバタバタとさせる。 男の方は、この状態にありながらも威嚇を止めない。負けん気だけは強いようだ。
「喧嘩の理由が正当ならば解いてやろう」
シレッと言い放つが、リョウの表情には怒りを湛えてる。それを見るなり、ガイラスの額が、玉のような脂汗で満たされた。
「ねぇ、ガイラス。ちゃんと言わないと、リョウは、ぜーたい解いてくれないよ?」
「う、うむぅ……し、しかしだなぁ」
やたらと厳しいリョウの事だ。恐らく、ライの言う通りの結果になるだろう。言い倦ねているのか、言い難いのか、ガイラスは口を曲げて奇妙な唸り声を上げている。
「この兄ちゃんはな、俺達にゃバラモスを倒せねぇって……絡んできやがったんだ」
「それだけか。下らん」
「く、下らなかねぇよ! それで勝負を持ち掛けてきたんだからよぉ!」
悔しさが収まらないらしい。自由の利かない身を捩り、背負った斧へ手を掛けた。 |