――世界一の造船技術というだけある。
ドックには様々な船が並び、作業に行き交う人々から立ち上るのは、熱気と活気。
中でも目を引いたのは、豪華客船だ。
「凄い。これで旅したら格好いいよね!」
「うーん。これほどの船だと、一日借りるだけでも相当の金がいるぞ?」
「そうなんだー……あっ、あっちにも、お船があるみたいだよ!」
まるで紐を放たれた子犬だ。好奇心で輝いた顔を、リョウが眩しそうに見つめた。
……元気を取り戻したライが他の二人を待っていられる筈などない。結局、ライに押し切られる形で船を買いに来る羽目になったが、結果としては良かったといえる。
落ち着きなく、ドックの中を駆け回るライの姿を見て、リョウもやっと安堵した。
「ねっ、どのお船にするの?」
「ライ。言い難いんだが」
期待に満ちたライの眼差しを受け、リョウが困り顔を浮かべる。旅の資金が詰まった財布へ視線を移して、溜め息を吐いた。 |