……どのくらい、そうしていたのか。
実際は然程、時間は経っていない。しかし、得るものがあれば経過は長く感じる。 ライはベッドからその身を起こすと、少し申し訳なさそうな目で、見上げてきた。
「……お船」
……と、一言。本来の目的だった事を思い出したらしい。直ぐに、ベッドから飛び降りると、リョウの腕を抱え込んできた。
「僕、もう大丈夫だから。お船、買いに行こうよ?」
「それなんだが、あの二人は不在なんだ」
事情を聞いた途端、ライの頬が膨れた。
酒飲みのガイラスはいいとして、ニノに至っては感想も述べられないというもの。
(最低……やっぱりあんな奴、仲間に入れるんじゃなかった)
ライを限界に追い詰めた分際で、いい気なものだ。厚顔無恥としか言い様がない。 ライの憤りは、頂点に達している。判断ミスと後悔の念で、赤い顔になっていた。
「合流するまで待つの? ……ニノなんか置いて行ちゃいたいんだけどな」
「こらこら。それは、流石に酷いだろ」
リョウの方は、顔を綻ばせている。
ライに不貞腐れる元気が戻ったことに、リョウは殊更に嬉しさを感じたのだった。 |