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闇を駆ける馬 暁に鬻ぐ猫(3/29)
 
「過保護過ぎやしねぇか? ライはまだガキんちょなんだから、気紛れなんだよ」

「しかし……」

 町へ目を馳せれば、露天商から賑やかな声が聞こえてくる。それらに興味を抱かないのが最早異変だと、思案に眉を顰めた。

「あははっ、お前さんは母親みてぇだな」

「母親!?」

「そうそう。さっきのあやしてた姿なんかよぉ、まんま駄々っ子と母ちゃんだぜ」

 父親ならまだしも……である。

 比喩にムッとしたリョウが可笑しかったのか、ガイラスは馬鹿笑いを立てている。

 そんなやり取りも聞こえていないのか、ライは数歩遅れて附いてきていたが……。

「眠り……たい」

 ……と、覇気のない声で呟いた。

 声だけでは無く、見れば瞳は輝きが失われている。足の方は力が入らないらしい。

「危ない!」

 ふらついた所を、リョウが抱き止めた。

 まだ、時刻は昼を越したばかり。普段よりは幾分早めだが、宿を取る事となった。
 


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