「過保護過ぎやしねぇか? ライはまだガキんちょなんだから、気紛れなんだよ」
「しかし……」
町へ目を馳せれば、露天商から賑やかな声が聞こえてくる。それらに興味を抱かないのが最早異変だと、思案に眉を顰めた。
「あははっ、お前さんは母親みてぇだな」
「母親!?」
「そうそう。さっきのあやしてた姿なんかよぉ、まんま駄々っ子と母ちゃんだぜ」
父親ならまだしも……である。
比喩にムッとしたリョウが可笑しかったのか、ガイラスは馬鹿笑いを立てている。
そんなやり取りも聞こえていないのか、ライは数歩遅れて附いてきていたが……。
「眠り……たい」
……と、覇気のない声で呟いた。
声だけでは無く、見れば瞳は輝きが失われている。足の方は力が入らないらしい。
「危ない!」
ふらついた所を、リョウが抱き止めた。
まだ、時刻は昼を越したばかり。普段よりは幾分早めだが、宿を取る事となった。 |