――天と海を彩る蒼、白亜の家並み。
自然と人工が創り出した、蒼と白のコントラストが幻想的で絵画のように美しい。
此処は、世界有数の港町ポルトガ。
恐慌の世にありながら生きた港を持ち、造船業では他の追随を許さない西の国だ。
「美しい町だ。見ろ、あそこで船を造っているようだよ」
「本当だ……。お船、いっぱいあるね」
気の入らない声。まるで、用意した台詞を読み上げているだけのように聞こえる。 いつものライなら、大燥ぎで喜ぶ市場や大道芸が今日は目に映っていないらしい。
見ると無しに、地面へ目を向けている。
「どうした。最近、元気ないではないか」
「そんなこと……ないよ」
「いや、顔が青い。体調が悪いのか?」
心配のあまりか、リョウは立ち止まると子供をあやすかのように屈んで除き込む。
身長差も相俟って、親子に見えなくも無い。更にリョウはライの扱いが貴重品を扱うかの如く丁寧なので、余計そう見える。
傍目に見ていたガイラスが噴き出した。 |