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闇を駆ける馬 暁に鬻ぐ猫(2/29)
 
 ――天と海を彩る蒼、白亜の家並み。

 自然と人工が創り出した、蒼と白のコントラストが幻想的で絵画のように美しい。

 此処は、世界有数の港町ポルトガ。

 恐慌の世にありながら生きた港を持ち、造船業では他の追随を許さない西の国だ。

「美しい町だ。見ろ、あそこで船を造っているようだよ」

「本当だ……。お船、いっぱいあるね」

 気の入らない声。まるで、用意した台詞を読み上げているだけのように聞こえる。
 いつものライなら、大燥ぎで喜ぶ市場や大道芸が今日は目に映っていないらしい。

 見ると無しに、地面へ目を向けている。

「どうした。最近、元気ないではないか」

「そんなこと……ないよ」

「いや、顔が青い。体調が悪いのか?」

 心配のあまりか、リョウは立ち止まると子供をあやすかのように屈んで除き込む。

 身長差も相俟って、親子に見えなくも無い。更にリョウはライの扱いが貴重品を扱うかの如く丁寧なので、余計そう見える。

 傍目に見ていたガイラスが噴き出した。
 


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