「マジで可愛い。あんたを誰にも渡したくねぇ。あいつのことなんか忘れろよな」
「あ……いつ?」
問いかけるライの言葉を聞いた直後。間近にあるニノの顔が意地悪く歪んでゆく。
「リョウの奴。オレらがこんなことしてるって知ったら、どんな顔すっかな?」
脅しと分かる台詞。怒りなのか、羞恥なのか、ライの頬が赤く染まり瞳が揺れた。 約束を守るという、舌の根が乾かない内に、ライの“秘密”を楯にしたのである。
考えに至った目から、涙がこぼれた。
「卑怯者! そういうとこ、大嫌いだ!」
「卑怯――かもな。あんたが手に入るんなら、オレはなんて言われてもいいさ」
グイッと腰を抱き寄せると、ニノの唇から洩らされた吐息が、ライの顔へ触れる。
(リョウ……リョウじゃなきゃ嫌だ!)
唇が合わさる直前、脳裏へ掠めてゆく想い。その想いが強い為だろう。……ライは無意識の内に、ニノを突き飛ばしていた。 一方、ベッドの外にまで跳ね飛ばされたニノ。暫くの間は、呆然としてたが……。
「条件、破んのか。誰のお陰で鍵が手に入ったと思ってんの?」
……強請りの切り札。それをライへ思い出させる為なのか、顔を突き付けてくる。 |