「髪、オレと同じ匂いがするな」
「えっ……う、うん」
ギュッと引き寄せられた、次の瞬間。
抱き締められたまま、ベッドの上に押し倒される。馬乗りになった状態で、下にいるライへ、舐めるような視線を這わした。
「あんた初めてだろ? 安心しな。ちゃんと、優しくしてやるからよ」
ニノの指が、ライの体を滑る。
腹の辺りから胸の間を通り、口の中へ侵入してきた。確かに、動きは“優しい”。 だがそれは、男の色欲を嫌悪するライにとって剣の如く痛さを覚えるものだった。
(やっぱり、こんなこと嫌だ)
泣き出しそうな顔。それすらも、ニノには効果がない。いや、それが更に思いを掻き立てたのだろう。吐息が、異常に熱い。
口腔から指を抜き、顔を近づけてくる。
「ねぇ、ニノ。もう一度、約束して? あの秘密は守るって……」
「やぶらねぇよ。あんたが、大人しくオレのモノになるんなら、な」
ライの反応を楽しんでいるらしい。ニノが動く度に、身を跳ねさせるライを堪らないといった具合で、再び強く抱き締めた。 |